奈良を観光するならまずはココ!「奈良公園」を楽しみ尽くすためのガイド

約1300年前、日本の首都が置かれていた奈良。県全体が豊かな自然や魅力的な名所に恵まれていますが、なかでも歴史的文化遺産など、奈良を代表するスポットが集まる観光地が、奈良市にある「奈良公園」です。今回はその見どころやイベントなどを徹底ガイドします!

奈良公園とは?

約660haの広大な面積を擁する「奈良公園」。敷地内には、雄大な自然に抱かれるような形で、歴史的文化遺産を包蔵する東大寺や春日大社といった有名な神社仏閣のほか、国立博物館をはじめとする文化施設などが点在しており、約1,200頭の鹿が群れ遊んでいます。約1300年前の昔から、信仰や観光を目的として人々が集う場所でしたが、公園として開設されたのは1880年のこと。以来、日本を代表する公園として親しまれています。

東大寺の大仏殿(金堂)

アクセス

今回は、近隣の「京都」・「大阪」からのアクセスをご紹介します。いずれも電車に乗って、公園の最寄り駅である「JR」または「近鉄」の奈良駅まで移動するのがポピュラー。JR奈良駅からは徒歩約20分、近鉄奈良駅からなら徒歩約5分で公園エリアに到着します。

京都

京都駅からはJR奈良線の「みやこ路快速」を利用して、JR奈良駅まで向かう方法(所要時間:約44分)と、近鉄京都線で京都駅から大和西大寺駅を経由して(途中で近鉄奈良線に乗り入れ)、近鉄奈良駅に向かう方法(所要時間:特急約35分、急行約50分)があります。

大阪

大阪駅から「大和路快速」でJR奈良駅まで向かう方法(所要時間:約50分)と、「近鉄線」で大阪難波駅から大和西大寺駅を経由して、近鉄奈良駅に向かう方法(所要時間:快速急行約40分)があります。

奈良公園と鹿

奈良公園では、いたるところでたくさんの鹿の姿を見かけます。彼らは国の天然記念物に指定されている野生動物で、古くから手厚く保護されてきました。なぜこのようにたくさんの鹿が生息しているかというと、園内に位置する「春日大社」に祀られている神様の使いとしての伝説が残っているから。現在では奈良を代表するマスコット的存在として愛されています。

注意したいこと

鹿たちのかわいらしい姿を見ていると、ついついエサをあげたくなってしまうはず。けれど、あげていいのは園内の売店で売っている「鹿せんべい(10枚1組200円(税込))」だけ。米ヌカ・小麦粉のみでできている、鹿にとって安全なおやつです。「鹿せんべい」をあげるときには焦らすと怒って攻撃してくることもあるので、すぐに与えるようにしましょう。また、体や頭を叩いたり、後ろから追いかけたりする行為や、彼らが口にしてしまいがちなゴミを放置することもNGですのでご注意を。

奈良公園の見どころ・周り方

とても広大な面積を有する奈良公園。観光のメインとなるエリアは、3つの世界遺産を中心に区分されています。第1は「東大寺」があるエリア、第2は「春日大社」があるエリア、そして第3は「興福寺」があるエリアです。各エリアは徒歩で移動できますが、例えば「東大寺」-「春日大社」間であれば約20分ほどかかりますし、それぞれ多くの見どころにあふれているため、じっくり見るには1エリアで2〜3時間かかる場合も。事前に各エリアの特徴を把握し、訪れたい場所を吟味してから効率よく観光するのがおすすめです。

東大寺・東大寺周辺の見どころ

奈良公園の北東に位置する「東大寺」エリア。有名寺院「東大寺」は、巨大な大仏像のほか、お寺の門としては日本最大級である「南大門」や、貴重な建築物「二月堂」など多くの国宝を有しています。境内はとても広いので見どころをポイント的にピックアップ。さらに、周辺のおすすめスポット「正倉院」についてもご紹介します。

東大寺

前身寺院は8世紀の創建とされ、時の聖武天皇が発願して建立された古刹「東大寺」。何よりも有名なのは、奈良を代表するアイコン的存在である「大仏様」で、世界最大級の木造建築「大仏殿」のなかに、高さ約15mの大きな姿で鎮座しています。
その威風堂々としたたたずまいを拝観したあとは、大仏殿名物「柱くぐり」にも挑戦してみましょう。建物のなかにある一部の柱に、大仏様の鼻の穴と同じ大きさとされる穴があいており、それをくぐると、無病息災のご利益があるといわれています。
そのほかにも境内には、関西に春を呼ぶ法会「お水取り(修二会)」の舞台となる国宝建築「二月堂」などがあり、見どころには事欠かないスポットです。

入堂・拝観料例:「セット券(大仏殿・東大寺ミュージアム)」大人(中学生以上)1,000円、小学生400円

大仏殿に鎮座する大仏像

二月堂

正倉院

「東大寺大仏殿」の北西に位置する「正倉院」は、皇室ゆかりの宝物・貴重な古美術が収められた倉庫。東大寺を創建した聖武天皇の遺品や、東大寺の年中行事用の仏具など、約9,000点もの宝物を1260年以上にわたって守り伝えてきました。建物は「校倉造(あぜくらづくり)」と称される建築様式で、1997年には国宝に指定されています。建物内部および宝物の拝観はできませんが、宝物の一部は、毎年秋に「奈良国立博物館」で行われる「正倉院展」で公開されています。外構見学は無料です。

春日大社・春日大社周辺の見どころ

奈良公園の東の端、御蓋山(みかさやま)の麓一帯に広がるエリア。世界遺産「春日大社」を中心に、植物園や原始林、「若草山」など、自然豊かなスポットが目白押しです。

春日大社

当時の日本の都であった「平城京」の守護と、国民の繁栄を祈願するため、768年に建立された古社。境内はさまざまな見どころにあふれています。例えば、朱色が鮮やかな本殿は、4つの社殿が東西に横並ぶ存在感のある造り。さらに、国宝352点・重要文化財971点を含む約3,000点の宝物などを収蔵・公開する国宝殿や、重要文化財「一之鳥居」なども必見です。

本殿前特別参拝初穂料:500円
国宝殿拝観料:一般500円、大学生・高校生300円、中学生・小学生200円

浮雲園地

公園の中心部に広がる芝生広場です。多くの観光客が行き交う場所にあり、憩いの場として知られるほか、多くのイベントも開催されるスポットです。ベンチや休憩所が点在しているのでゆったりとくつろいだり、若草山など遠くに見える風景や、鹿たちとの記念撮影を楽しんだりと、思い思いの時を過ごせます。また、春には桜、夏にはサルスベリ、秋には紅葉で彩られるなど、季節ごとの自然景観も満喫できますよ。

春日大社神苑 萬葉植物園

「春日大社」の本殿などがあるエリアの西側に位置する植物園です。こちらの園では、「万葉集(※)」で詠まれた、日本古来の植物(草花)約300種を植栽しています。敷地面積は約3ha。大きな池や老巨樹のある「萬葉園」、春日大社の社紋である藤の花にちなんだ「藤の園」など、大きく4つのエリアに分かれており、四季折々の萬葉植物について楽しみながら学ぶことができます。

※7世紀後半〜8世紀後半にかけて編集された、現存する日本最古の歌集

拝観料:大人500円、小人250円

浮見堂

「春日大社」から「浅茅が原の林」を抜けて行くと、つきあたりに現れる、六角形をしたお堂です。日中は水辺の憩いの場として親しまれ、夜間には幻想的にライトアップされます。最初に建立されたのは1916年でしたが、老朽化によって1966年に修復・1994年に再建。周辺には多彩な植物が咲き誇り、春には桜、夏にはサルスベリ、そして秋には紅葉が水面に映え、多くの観光客にとって絶好の撮影スポットとして人気を博しています。池が結氷する冬の朝方や、雪化粧がほどこされた周囲の山々の情景もきれいですよ。

若草山

奈良公園を訪れた際、まずはじめに目に飛び込んでくるのが、芝生に覆われた、標高342mの小高い山「若草山」です。山頂には、5世紀頃に築造されたとされる史跡「鶯塚(うぐいすづか)古墳」があるほか、東大寺などを望む美しい眺めを楽しむこともできます。また、毎年1月には「山焼き」と呼ばれる有名な行事が開催されることでも知られていますが、こちらは行事紹介の見出しで後ほど詳しくご紹介します!

入山料:大人150円、小学生80円

春日山原始林

1000年以上もの長い間、狩猟・伐採が禁じられ、春日大社の聖域として守られてきた春日山。カシやシイ類を主とした常緑広葉樹の原始林となっている、国の特別天然記念物に指定されているエリアです。また、日本人の伝統的な自然観、そして自然に対しての原始的な信仰と深く結びついた景観であることから、自然遺産ではなく文化遺産の一要素として、世界遺産にも登録されています。原始林を周回する全長9.4kmの遊歩道があるので、うっそうと茂った巨木の間を深呼吸しながら散策してみてはいかがでしょうか?

興福寺・興福寺周辺の見どころ

8世紀〜15世紀頃までの長きにわたって、「大和」と呼ばれていた奈良の領主だったお寺「興福寺」。境内には、この地域でかつて絶大な勢力を誇っていたことが分かるような、巨大な歴史的建造物が立ち並んでいます。近くにある奈良国立博物館を訪れて、奈良が歩んできた歴史をさらに深く学ぶのもおすすめです。

興福寺

1300年以上前に創建して以来、奈良の街と密接につながりを持ちながら発展した寺院です。最盛期には175もの建物を有していたという規模の大きなお寺で、現在でも多くの歴史的建造物を見ることができます。例えば、高さ約50mの「五重塔(国宝)」や、多くの国宝・重要文化財指定の像が安置されている「東金堂(国宝)」といった圧倒的な大きさを誇るものや、7度の火災に遭い仮再建のみがなされていたのですが、2018年に約300年ぶりの復興を果たしたお堂「中金堂」などは必見です。有名な阿修羅像をはじめ、多くの文化財などを収蔵・公開する「国宝館」にもぜひ立ち寄ってみてください。

拝観料例:
「国宝館・東金堂連帯共通券」大人・大学生900円、中・高校生700円、小学生350円
「中金堂」大人・大学生500円、中・高校生300円、小学生100円など

中金堂

東金堂と五重塔

奈良国立博物館

奈良公園の一角にあり、興福寺のほか、東大寺、春日大社などにも隣接する場所に位置する博物館。1894年に建てられた歴史ある本館を中心に、付属棟となる4つの展示館で構成されています。収蔵・公開しているのは、仏像や中国古代の青銅器など「仏教美術」を中心とした名品の数々。年に1度特別展示が行われる「正倉院展」でも、その名を広く知られています。

観覧料(名品展のみの料金。特別展および共催展の観覧料金は別途・都度変動):一般520円、大学生260円

見逃せない!季節のイベント

四季を通じて、たくさんのイベントが開催されている奈良公園。毎年多くの人々が楽しみにしている有名なものを、春・夏・秋・冬でそれぞれピックアップしてご紹介したいと思います。

春の「二月堂 修二会(お水取り)」・「お花見」

「お水取り・お松明(たいまつ)」という名で親しまれる、東大寺・二月堂で行われる行事。1260年以上休むことなく続けられてきた伝統的なもので、世界平和と国家の安泰、人々の幸せなどを祈る法要です。毎年3月1日より2週間にわたって毎晩、長さ約7mもの大きな松明を「童子」と呼ばれる人がかつぎ、観客の頭上に火の粉を散らしながら舞台を回ります。春の訪れを告げる行事として有名です。
また、奈良公園には約1,700本の多様な種類の桜が植えられているので、例年3月下旬~4月下旬頃には園内のいたるところで次々に開花。お花見を楽しめるスポットとしても知られています。

2020年の開催予定:2020年3月1日(日)〜3月14日(土) ※拝観料は無料

夏の「なら燈花会」

奈良の「夏の夜の風物詩」といえば、「なら燈花会」が有名です。奈良公園内8つの会場で、期間中毎晩約20,000本のろうそくがともされ、ロマンティックな輝きに彩られます。会場を巡ったり、灯りをじっくり見つめたり、自分でともして参加するのもOK。例年は飲食ブースも出店されるので、軽食を楽しむのもおすすめです。

2020年の開催予定未定 ※例年は8月5日〜8月14日

「一客一燈(ろうそく参加)」協力金:500円
受付会場:浮雲園地会場、および甍~I・RA・KA~会場

秋の「紅葉」

歴史的な神社仏閣、そして愛らしい鹿たちと、あでやかな「紅葉」とのコントラストを楽しめる、秋の奈良公園。敷地内のいたるところで、イチョウやモミジが次々と色づき、美しい姿で魅了します。おすすめは、水面に写った紅葉がひときわ美しい吉城川。公園を横切る清流で、特に「春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA」の前から、東大寺参道にいたるまでの場所が絶景です。例年の見頃は11月上旬~12月上旬頃。

冬の「若草山焼き」

毎年1月の第4土曜日に開催される有名な伝統行事。澄み切った冬の夜空を鮮やかに染める大きな花火が打ち上げられ、その豪快な号砲を合図に若草山全体が燃やされる「山焼き」がスタートします。山頂にある古墳に宿った霊魂を鎮めるための祭礼や、供養のためにはじまったといわれています。迫力満点で体感できる山麓や、山麓にほど近い「浮雲園地」などから眺めるのがおすすめです。

2020年の開催予定:2020年1月25日(土)

いかがでしたか?深みを感じさせる歴史に触れるもよし、鹿たちと芝生の上でのんびり戯れるのもよし。いろいろな楽しみ方ができる「奈良公園」、ぜひ一度足を運んでみてくださいね!

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