農業指導で東南アジア支援 西田精麦 生産性向上で経済発展 自社の事業拡大も

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西田精麦の社員(右)から、ハトムギ加工について説明を受けるミャンマーの政府担当者たち。右から2人目は通訳=1日、八代市

 県内で農作物の栽培や加工を手掛ける企業や農業法人が、東南アジアで農業技術指導に力を入れている。自社の事業拡大と併せて現地の産業発展にも貢献しようと、政府開発援助(ODA)などを活用し、息の長い支援を目指している。

 10月上旬、精麦業の西田精麦(八代市)の本社工場。高さ約10メートルの加工用の機器が音を立ててハトムギの殻を取り除いていく。

 「1時間でどれぐらいの量が加工できるのか」「殻は再利用するのか」。視察に訪れたミャンマーの役人が同社担当者に矢継ぎ早に質問した。11月にも、国際協力機構(JICA)がODAを使ってミャンマーに同じ型の機器3基を設置予定という。

 大麦や米などの加工を手掛ける西田精麦は、2016年からハトムギ加工に乗り出した。ハトムギの原産地のミャンマーに現地法人を構え、少数民族計約500戸(計約400ヘクタール)と契約して栽培技術を指導。生産したハトムギを飲料メーカーに売り込む加工用として買い入れている。

 「栽培だけでなく現地で加工もすることで付加価値を高め、現地農家の手取りアップに貢献できる」とJICAの支援事業に企画を申請し、採択された。加工機器の設置後は加工したハトムギも仕入れる計画だ。

 少数民族の経済振興を担当するミャンマー国境省のティンコーウィンさん(38)は「日本の高い技術を生かし、少数民族がより良い生活を送れるようサポートしたい」と話す。

 西田精麦によると、国内でのハトムギの需要はお茶や医薬品が主で食用としての利用は未開拓に近く、伸びしろがあるという。西田啓吾社長(36)は「支援継続のためにも新しいニーズを開拓し、新たな事業の柱に育てる」と意気込む。

 一方、南阿蘇村でイチゴ栽培などに取り組む木之内農園は、17年からJICA事業でインドネシアでの農業支援を進める。

 インドネシアでは近年、イチゴ種苗の病気がまん延し、10年ほど前には200ヘクタールあった栽培面積が10分の1以下に激減。知人を介して窮状を知った木之内均会長(58)が支援を決めた。

 現地の農業系学部で学ぶ大学生を受け入れ、病気に強い苗の増殖方法などを指導。20年にも現地で量産し定植後の栽培指導にも当たる。将来的には現地法人を設立し、自社でも苗を栽培するほか、栽培方法も含めて販売する農業コンサルティングも展開する方針だ。

 JICA九州・市民参加協力課の勝田幸秀さんによると、開発途上国の発展には、基幹産業である農業の支援が欠かせないという。「農業の生産性が上がれば、農家の次男や三男が別の仕事に就くことが可能になり、経済発展が進む」と意義を説明する。

 木之内会長は「国内では農業の担い手不足が深刻化している。今後は働き手や土地、消費者が豊富な海外で農業をビジネスとして展開することも農家の選択肢になる」と話している。(福山聡一郎)

熊本日日新聞 2019年10月28日掲載