執行猶予中の清原和博氏にトライアウト監督を打診した理由「再起してほしい」

ワールドトライアウトの監督に就任した清原和博氏【写真:編集部】

元プロ野球選手の清原和博氏が11.30開催「ワールドトライアウト」の監督就任「感謝しかない」

 西武、巨人、オリックスで通算525本塁打を放った清原和博氏が30日、都内で行われた「ワールドトライアウト2019」の開催発表会に出席した。現場監督を務める清原氏は黒のスーツ、ネクタイ姿で登場。時折笑顔を見せながら、「正直、驚きましたが、自分は執行猶予中の身ですし、このような大役を、そして野球に携われることができることを本当に感謝しながら。正直感謝しかないです」と意気込みを語った。

 清原氏は2016年に覚醒剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6か月、執行猶予4年の判決を受けた。執行猶予中の清原氏に球界復帰のオファーした理由は――。30分超の会見で、加治佐平代表取締役CEOは監督を打診した理由を明かした。

「ワールドトライアウトを行うに当たって、(清原氏は)最もマッチしたお方だと考えました。ワールドトライアウトは、選手であっても監督であっても、挫折しても這い上がって勇気を持って再チャレンジするというところにファンは感動して応援すると考えています」

「日本人は海外に、海外選手は日本に。ワールドワイドなオーディションのプラットホームを作ろうと考えております。現役時代に清原選手は伊良部選手、野茂選手、佐々木選手、松坂選手といった大投手と名勝負を繰り広げることによって、彼ら(投手)はメジャーで活躍した。ある意味、(清原氏が)清原さんとの名勝負、真剣勝負によって、投手を世界に送り出した、というイメージがあります。ワールドトライアウトが(オーディションの)プラットホームとして世界に羽ばたく可能性を清原さんに発信していただきたくてオファーさせていただきました」

 加治佐CEOは東大野球部出身。清原氏が現役時代に見せた豪快なアーチに魅了された1人なのだろう。個人的な思いも打ち明けた。

「プロ野球ファンとして再起して欲しい。プロ野球の監督に戻って欲しいということではなくて、現場に戻って現場で必死に復活したいという姿を見せることで……。どこまでいけるかは分からないが、その場に出て欲しいという気持ちがありました」

清原氏の球界復帰への熱い思い「絶対にやるんだという意思を感じた」

 田中聡代表取締役COOは清原氏の球界復帰への熱い思いにも突き動かされたという。清原氏と会談した際の姿勢に“感動”したという。

「清原さんは(オファーを)受けないことを考えていなかった。やる前提で一生懸命に考えるんですけども、この選手たち、投手を回せるかなと非常に悩んでいた。その姿に力強いものを感じました。受ける、受けないで悩んでいるんじゃない。絶対にやるんだという意思を感じた。それが非常に嬉しかったです」

「再チャレンジに『ここからはじまる』というのはないと思うんです。失敗した次の日から取り返さないといけない人生が始まっているので。(清原氏は)その都度その都度、反省を繰り返されている。我々が(清原氏に)提案できるものは何なんだ、と考えて、野球が一番チャレンジしていただくのに最高のツールと感じました。野球を一緒にやりたいなと思ってオファーしました」

 清原氏は11月30日に神宮球場で行われるトライアウトで、再びユニホームに袖を通し、打順など選手起用に関わる予定。投手コーチ、打撃コーチもワールドトライアウト社が調整していくという。田中COOは「(受験選手に)清原さんがいることで『真剣勝負をしないといけないんだ』ということが伝わると思います。これだけの注目を浴びた中で、またトライアウトしていけたらいいかなと思っています」と思いを語った。

 この日の取材後、清原氏は再びマイクを握り、「今日は甲子園よりも、日本シリーズの打席よりも緊張しておりました。みなさん、ありがとうございます。またがんばりますので、よろしくお願いします」と再起を誓った。野球人・清原和博の復活を期待したいところだ。(Full-Count編集部)

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