2020年からインディカー参戦のマクラーレン。オワードとアスキューのインディライツ王者コンビ起用を発表

 アロウ・マクラーレンSPとして2020年からインディカー・シリーズに参戦するマクラーレン・レーシングは、30日にパトリシオ・オワードとオリバー・アスキューと契約したことを発表した。

 8月にマクラーレン・レーシングは、シュミット・ピーターソン・モータースポーツとパートナーシップを結び、インディカーに2020年シーズンからフル参戦することを発表。チーム名はアロウ・マクラーレンSPとして、シボレーエンジンを使用し2台体制で挑むことを明らかにしていた。

 ドライバーに関しては、シュミット・ピーターソン・モータースポーツと契約が残っていたジェームズ・ヒンチクリフが有力と報道されていたが、30日にインディライツ王者ふたりを起用することを発表。

 アロウ・マクラーレンSPのステアリングを握ることになるのは、パトリシオ・オワードとオリバー・アスキューのふたりだ。

 オワードは2018年にインディライツでチャンピオンを獲得すると、ソノマで開催されたインディカー最終戦でインディカーデビューし非凡なスピードを披露。

 2019年もカーリンからインディカー数戦に参戦する予定だったが、5月にレッドブルの育成ドライバーに抜擢されるとインディカーは7戦の出場にとどまり、F2にスポット参戦し、さらにダニエル・ティクトゥムの代わりにTEAM MUGENから全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦した。

 着実にスーパーフォーミュラを学習しているようにみえたオワードだったが、最終戦はユーリ・ビップスにシートを奪われる形となってしまった。レッドブルの育成から外れてはしまったが、マクラーレンと契約しオワードは再びインディカーに復帰することになる。

「アロウ・マクラーレンSPでインディカー最初のフル参戦ができるなんて、こんなにうれしいことはないね。2019シーズンはすばらしい機会をいくつか得ることができたけど、これは僕のキャリアにとって最大の出来事だ」

「今季はじめはインディカーを経験することができたし、アロウ・マクラーレンSPという最高のかたちで2020年にフル参戦することが待ちきれないね」とオワードは喜びを語る。

 オワードとコンビを組むアスキューもインディカーの育成街道であるロード・トゥ・インディをステップアップしてきたドライバーだ。

 2019年のアンドレッティ・オートスポートからインディライツに参戦し、18戦で7勝を挙げチャンピオンを獲得。そしてアロウ・マクラーレンSPからインディカーへのデビューを掴むことになった。

「夢が叶ったよ。新しいチームは3人の素晴らしいパートナーが集結している。チームと僕のキャリアの新しいチャプターの代表となることができて光栄だね。エキサイティングな新しい挑戦であり、今季インディライツを制した後の自然なステップだ。待ちきれないね」とアスキュー。

 アロウ・マクラーレンSPの共同オーナーとなるシュミット・ピーターソンは、「アロウ・マクラーレンSPのストーリー最初を章を欠くとき、こんな良いペアーは考えられない。ロード・トゥ・インディでスキルを証明し、それぞれインディライツのチャンピオンシップを獲得。インディカーフル参戦のシートを得るのに十分だ。オリバーとパトがチームを前進させることは間違いない」とコメント。

 マクラーレン・レーシングのスポーティングディレクターを務める元インディ王者のジル・ド・フェランも若いふたりへの期待を語る。

「ふたりの若い才能をチームに迎えることができてうれしいね。オリバーとパトは、新世代のインディカードライバーであり、2020年に向け素晴らしいペアリングを形成することは間違いないよ」

「両ドライバーは2シーズンで16勝を挙げるなど、インディライツで非常に印象的だった。我々はドライバーの選定に時間と注意を払っており、アロウ・マクラーレンSPの長期的な利益にとって最善だと信じている」

 シュミット・ピーターソン・モータースポーツがインディカーに参戦した時からドライバーを務め、3つの勝利を挙げ、2016年にはインディ500のポールポジションも獲得したヒンチクリフはチームを離れることとなる。

 ともに歩んできたサム・シュミットは、「5年間、ジェームズは、我々のチーム、そしてこのスポーツにおって偉大な大使だった。我々の歴史は、彼のインディライツ時代にさかのぼり、一緒に途方もない旅をしてきた」

「もっとも印象的だったのは、2015年にインディ500で大怪我を負ってから復帰する彼の決意だ。ジェームズに最大限の敬意を払い、彼のハードワークと業績に感謝している。彼の将来を祈っているよ」

「ジェームズは、とても意欲的であり、確固たる競争者だ。インディカーでも他のシリーズでも、彼がドライブできるためなら契約を解除することを我々はためらわないよ」と語っている。

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