ラグビー日本代表「田中史朗」妻が語るスパイクの刺繍秘話

©株式会社光文社

田中選手と妻・智美さん

「アイルランド戦が終わった後に、主人が私と子供たちが泊まっているホテルに来てくれて。会った瞬間、2人ともハイテンションで、『よかったね~』って、思いっきりハグしました(笑)」

史上初のベスト8進出を果たし、“桜旋風” を巻き起こしたラグビー日本代表。快挙は、この男なくしてはあり得なかった。W杯3大会連続出場、バックス陣最年長、田中史朗(34)の妻・智美さん(30)が、夫の “死闘” 秘話を明かしてくれた。

右足には自分と家族の名前を刺繍。左足には、W杯開催国名が

「あとで知ったのですが、スパイクに家族4人の名前を刺繍して試合に臨んでいたんです。

『家族と一緒にグラウンドで戦うんだ。家族も “ONE TEAM” という意味で入れた』と、そう言ってくれたことがすごく嬉しかったです。『もうちょっと早く教えてよ』と思いましたけどね(笑)」

これまで、田中は大舞台に臨む際に、智美さんに “遺言” を伝えてきたという。

「初めて言われたのは、スーパーラグビー挑戦を表明した7年前。『命を懸けて戦うから、もし俺が死んだらいい人見つけてね』って。当時、新婚だったので、びっくりして涙が出てしまいました。

2回めが前回のW杯で、今回が3回め。メンバーが発表されて、日の丸を背負って戦えるとなったときに言われました。驚きは、なかったです。『日本ラグビーのために体を張るのは、主人の任務』というのが、この4年間で理解できましたから」

166cmと小柄ながら、試合では2m近い大男に怯まずタックルを仕掛ける田中。一方、南アフリカ戦後、松島幸太朗(26)がSNSに上げた田中の号泣写真が話題になるなど、涙もろい一面もあるという。

「自分が苦しかったというか、W杯までの経緯もありますし、努力が報われて結果が出て、そして日本中が盛り上がってくれて……、感極まったんだと思います。家でもけっこう泣いてますよ。

過去のつらかった時期の番組や、日本ラグビーの苦難がテーマの番組を観ては、『日本ラグビーがよくなってくれれば……』と泣いています。主人のその姿を見て、私も涙が出ちゃって(笑)」

日本ラグビーを愛し、普及を第一に考える。今大会のフィーバーを一過性のものにしたくないと、すぐに普及活動を始めるという。

「前回のW杯でも、南アを破る大金星で盛り上がったのに、トップリーグが始まると、スタンドには空席が目立っていました。それを見た主人は、自ら協会に電話して『選手はこれ以上、何をしたらいいんですか!』と、涙ながらに訴えていました。

主人は『日本ラグビーのために』という思いが人一倍強い。代表にまた呼ばれれば、『もちろん行く』と言っていますし、『世間が自分の名前を知ってくれているうちに、もっと日本にラグビーを普及させたい、そのために全国を駆け回る』と。

田中史朗にしかできないことで、ラグビー界に貢献してほしいですね」

最後に、「ベスト8のご褒美は?」と聞くと――。

「少しは家族でゆっくりできそうだから、主人が大好物のチキン南蛮を作ってあげたいな」

写真・Starview agency

(週刊FLASH 2019年11月12日号)