日韓有志が「対馬宣言」 草の根交流 重要性指摘

 日韓関係の好転を願う「対馬宣言」を発表した有志4人は30日、対馬市で記者会見し、長年にわたり日本と朝鮮半島の仲を取り持ってきた対馬の歴史などをひきながら、草の根交流の重要性を指摘した。
 日韓の有志4人は外交資料「朝鮮通信使に関する記録」の「ユネスコ世界の記憶」登録を推進してきたメンバー。記者会見で、日本側の推進部会長だった松原一征氏(74)は「7月から日韓関係が泥沼のようになっていく中、何かできることはないか」と長年の友人で韓国側の学術委員長だった姜南周(カンナムジュ)氏(80)に相談し、対馬宣言を練り上げたと明かした。
 姜氏は、対馬が朝鮮通信使が日本に上陸した最初の地であったことを挙げ「両国の中間に位置する対馬が役割を果たすことが重要」と指摘。日本側学術委員長だった仲尾宏氏(83)は第2次世界大戦で敵同士だったドイツとフランスが戦後、姉妹都市縁組などを通じて関係修復した例を示し、自治体や個人間での交流の大切さを語った。
 韓国側の推進委員会共同委員長だった南松祐(ナムソンウ)氏(66)は今年8月、開催が危ぶまれていた朝鮮通信使行列に参加するため、釜山市から訪れ正使役を務めた。会見後の取材に「参加前は心配な気持ちだったが、対馬のみなさんに歓迎してもらい、うれしい気持ちでいっぱいになった。両国ともに葛藤をあおるのではなく、解決に向けた提案をすることが必要」と述べた。

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