新たな産業創出へ 長崎県、渋谷交流施設と連携 関係人口拡大 県内課題解決も

 長崎県は、東京・渋谷に建設された複合高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」(11月1日開業)内の産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」と連携し、渋谷のIT・ベンチャー企業などの人材を県内企業や大学などと結び付ける取り組みを始める。
 都市部に住みながら地方と交流する「関係人口」を増やし、人口減少など県内の課題解決に向けたビジネスや新産業創出につなげる狙いだ。
 同ビルは東急やJR東日本などが出資。渋谷で最も高いビルで地上47階建て(高さ約230メートル)。15階に入る渋谷キューズは会員制施設で、IT企業やベンチャー企業などの多様な人材が交流し、新たな価値を創造することを目的としている。
 県内でも、富士フイルムやデンソーウェーブが人工知能(AI)やQRコードの研究開発拠点を新設したり、長崎大が情報データ科学部を来春開設したりするなどイノベーション(技術革新)の新たな動きが出ている。産学官の連携により大きな効果を生み出す「イノベーションの森」の形成へ期待が高まっている。
 県内は人口減少や過疎化が全国より早いペースで進み、特に離島・半島部は医療や交通の分野で課題が多い。県はこのような課題を渋谷キューズでのイベントを通して広く知ってもらい、課題解決に意欲的な企業や人材に目を向けてもらいたい考えだ。
 手始めに11月2日、渋谷キューズでお茶を飲みながら参加者が意見交換する「茶ッカソン」(伊藤園主催)を開催する。テーマは「長崎の熱い人を応援しよう! ~関係人口が街を元気にする」。長崎、佐世保、雲仙各市などの市民も参加して議論する。
 県新産業創造課は「渋谷と県内の双方でイベントを実施し、本県に興味を持って来てもらいたい。課題解決に向けたプロジェクトやビジネスモデルにつながってほしい」としている。

© 株式会社長崎新聞社