ホームフィールド・アドバンテージを無効化 ナショナルズの快進撃

ナショナルズが4勝3敗でアストロズを破り、球団史上初の世界一に輝いた第115回ワールドシリーズでは、全7試合でビジターチームが勝利するという新たな歴史が誕生した。レギュラーシーズンでのビジターチームの勝率は46.5%であり、この数字で計算するとビジターチームが6連勝する確率はわずか1.01%である。7連勝となれば、その確率は0.47%であり、今回のワールドシリーズは1000回のうち5回ほどしか起こらないような「奇跡」を成し遂げたことになる。

今季のナショナルズは、現地時間5月24日の時点で19勝31敗と低迷し、ポストシーズン進出を危ぶまれる状況だった。また、ポストシーズンでは、ブリュワーズとのワイルドカード・ゲーム、ドジャースとの地区シリーズ第4戦と第5戦、アストロズとのワールドシリーズ第6戦と第7戦、合計5試合も「負ければ終わり」の試合を制してきた。何度も逆境をはねのけたナショナルズは、ホームフィールド・アドバンテージすらも無効化してしまったのだ。

今季のアストロズは、レギュラーシーズンのホームゲームで両リーグ最多の60勝を記録していた。ポストシーズンに入ってからも、地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズのホームゲーム6試合で5勝をマーク。ホームで圧倒的な強さを誇ったチームだった。しかし、ナショナルズと対戦したワールドシリーズでは、ホームで1度も勝てなかった。

最大7試合制(4勝先取制)のポストシーズンのシリーズで、全7試合でビジターチームが勝利するのは、MLBのみならず、NBAとNHLを含めても今回のワールドシリーズが初めて。しかも、ワールドシリーズでは、昨年の第4戦からビジターチームが9連勝となった。今年のポストシーズンでは、ビジターチームが20勝17敗と勝ち越し。162試合という長いペナントレースを戦って獲得したホームフィールド・アドバンテージは、少なくとも今年のポストシーズンでは、「ホームフィールド・ディスアドバンテージ」となっていた。

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