千曲市 冠水の要因?「霞堤」とは 伝統的治水 効果は・・・ 長野

今回、市役所周辺の広い範囲が冠水した長野県千曲市。岡田市長は大正から昭和にかけて整備された千曲川の「霞堤」から水が流れ込んだのが要因との見方を示しました。伝統的な治水は機能しなかったのでしょうか。

千曲市・岡田昭雄市長:

「まさか“霞堤”から水が出てくるとは考えていなかった。それだけ水の量が多かった。災害を防ぐための“霞堤”が災害をもたらしてしまったということになる」

岡田市長が、会見で何度も言及した「霞堤」は、本堤防が途切れて枝のように伸びた堤です。増水すると遊水地としての機能を発揮する他上流で堤防が決壊した場合は水を再び川に戻す効果が期待されています。

市によりますと大正から昭和にかけて整備されたということです。伝統的な治水工法の一つですが、今月12日の夜は...。

(リポート)

「千曲市では橋脚が見えなくなるほど、千曲川の水位が上がっています」

市内にある観測所の千曲川の水位はピーク時、6.4メートル。氾濫危険水位の5メートルを大きく超えました。やがて川の水は「霞堤」の遊水区域の外にも溢れ出しました。「霞堤」の機能を超える水の量だったと見られ、溢れた水は支流や道路を伝って市役所方面へ流れ一帯が冠水したとみられています。

避難所となっていた「更埴文化会館」も浸水。1階の市民は2階に移動し、停電の中、不安な一夜を過ごしました。

(リポート)

「これだけ見ても泥水がかなり入ってきたことがわかります」

千曲市文化課・宮坂敏課長:

「どうしようもないような量で水が入ってきてしまった」

これまで「霞堤」から水があふれたことはなく、市は想定外だったとしています。

千曲市・岡田昭雄市長:

「ここまで千曲川の水が増水するのは私も初めての経験。上流から決壊以外で水が来るというのは考えていなかった」

住民:

「切れた堤防があるのは道路通れば分かるけど、それが影響したなんて考えたことなかった」

「その堤防も直していただいて、逆流するような堤防だったらいらないですね」

市は今後、堤防を閉じることも含めて国や県と協議していくということです。

千曲市・岡田昭雄市長:

「私どもとしては閉鎖してほしい。しかし閉鎖したときに、どういった影響が出るか川全体で考えないといけない。県、国含め千曲川の安全管理は議論しないといけない」

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