世界へ羽ばたくアスリートを支援 ロサンゼルスで暮らす人々-vol.812

By Yukiko Sumi

浅野 吉隆/Yoshitaka Asano カイロプラクター/鍼灸師/ ファンクショナル・カッピング・ メソッド考案者

「世界へ羽ばたくアスリートをサポートし、米国の日本人の健康な生活を助けるためにもFCMを日米で浸透させたい」という浅野吉隆さん。2009年からアーバインにてクリニックを開業(drasano.com)し、自ら考案したファンクショナル・カッピング・メソッド(FCM)の普及に務める

アスリートのパフォーマンス向上には、当然のことながらトレーニングが欠かせない。しかし、時にはそれ以上に重要となるのがコンディショニングなど体のケア。

浅野吉隆さんは米国公認カイロプラクターおよびカリフォルニア州公認鍼灸師としてカイロ&鍼灸を併用した治療、そして自ら考案したファンクショナル・カッピング・メソッド(FCM)を用いて、日本のアスリートをサポートする。

「少子化が進む日本ではスポーツ人口も減少傾向にあり、少数精鋭になってきている今、けがをしない体を作り世界を目指すぐらいの高い目標を置くことが大事。そのサポートをしたいと思った」。

 

渡米当初は語学留学が目的だったが、2000年から移り住んだカリフォルニアでカイロプラクターと知り合ったことが、現在の道へのきっかけになった。

2009年に独立しアーバインでクリニックをオープン。

同年からプロサッカーチーム、LAギャラクシーの選手の治療を開始し、プロゴルファーやMLBを目指す若い選手、体操やスケート選手も診るように。自身もさまざまなスポーツ経験を持つこともあり、アスリートの治療に興味を持ち始めた。

「自分の知識を上げていかないといけないから難しいし、全部が全部治せるわけではない。それでも患者さんが良くなって、その声を聞くとうれしくなる。人の助けになっている実感がある」と話す。

 

浅野さんが考案したFCMとは、シリコン製カップによる施術方法だ。大小の筋肉にアプローチし、凝りや痛みの原因となっている萎縮または癒着した筋膜を解きほぐす。

これによって柔軟性を取り戻した筋肉はスムーズに動くようになり、関節の可動域が改善されて体の機能が向上する。もともとカッピング自体は存在したが、浅野さんが目をつけたのはガラスやプラスチック製ではなく、より柔らかく、関節の上や際にも使用できるシリコン製のもの。

カッピングセミナーでその使用方法に疑問を抱いたことからあれこれ研究を重ね、その特性を生かしてアスリート向けにアジャストした独自のメソッドを開発し、日本での独占販売許可も取得した。

 

2018年にはFCMの本を出版。セミナーは東京と大阪をベースに月4回ほどのペースで開催している。セミナー情報など詳細はウェブサイトで(fcm-store.com)

2年前からは「日本の選手を海外で活躍させたい」という目標のため、日本で柔道整復師やトレーナーなど医療従事者向けのFCMセミナーを定期的に開催している。

医療従事者には幅広い知識から成るさまざまな引き出しを作ることが求められる。

「その引き出しの一つとしてFCMを取り入れ、競技をやりながら体を整えることをさまざまな方向から見て、自分の治療を組み立てられる医療従事者が日本に増えていってほしい。それがアスリートの支援にもつながるから」。

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