MotoGP:イタリア人ライダー初のMoto3王者に輝いたロレンツォ・ダラ・ポルタのレースキャリア

 MotoGP第17戦オーストラリアGPのMoto3クラスでロレンツォ・ダラ・ポルタ(Leopard Racing)が優勝、2019年シーズンのチャンピオンを獲得した。

 ダラ・ポルタはイタリア中部、フィレンツェ近郊のプラトという街の出身で、1997年6月22日生まれの22歳。本格的なロードレース活動は2012年、15歳のときにスタート。イタリア選手権(CIV)のGP125クラスにアプリリアで参戦し、1年目で2勝を記録しチャンピオンを獲得した。

 2013年にはCIVのMoto3クラスに参戦、1年目はイタリアのオラルエンジニアリング製のマシンを駆り、ランキング11位。2年目の2014年にはプジョー(マシン自体はマヒンドラ)に乗り換えると、1勝を記録してランキング3位を獲得。マルコ・ベゼッチ、ファビオ・ディ・ジャンアントニオらがイタリア選手権時代のライバルだった。

 2015年より、Moto3ジュニア世界選手権に参戦。スペインのラグリッセ・アカデミーに所属し、ハスクバーナ(マシン自体はKTM)を駆り、ランキング9位を獲得。さらにこの年のシーズン中盤の世界グランプリのインディアナポリスGPから、所属するラグリッセのGPチーム、ハスクバーナファクトリー・ラグリッセを契約解除されたMoto3ライダーの後任として残りのレースに参戦。グランプリ3戦目となるイギリスGPで8位入賞を果たし、ランキング25位を得た。

 2016年にはMoto3ジュニア世界選手権に引き続き参戦しながら、世界グランプリのMoto3クラスには開幕戦カタールGPではフィリップ・エッテルの代役としてKTMで、オランダGPではホルヘ・ナバーロの代役としてホンダで参戦。さらにオーストリアGPでチームを解雇されたロマーノ・フェナティの後任として、イギリスGP以降はスカイVR46よりKTMで残りのレースを戦った。

 2016年に続いてラグリッセ・アカデミーよりハスクバーナで参戦したMoto3ジュニア世界選手権では4勝、2位3回、3位2回、全戦で入賞してチャンピオンを獲得する。

 そして、2017年にはようやく世界グランプリMoto3クラスにチーム・アスパーよりレギュラー参戦するが、マヒンドラのマシンに苦戦。オーストラリアGPの10位入賞をベストに、ポイント獲得は2度に止まり、ランキング28位でシーズンを終えた。

 しかし、2018年には前年度のチャンピオンチーム、レオパード・レーシングに移籍し、ホンダのマシンを駆ると、開幕戦カタールGPでグランプリ初表彰台となる3位を獲得。サンマリノGPで初優勝を達成するなど頭角を現し、ランキング5位に浮上した。

 同じ体制で参戦した2019年は、シーズン中盤までなかなか勝てないレースが続いたが、サマーブレイク前の第9戦ドイツGPで1勝を記録してランキングトップに浮上。続く第10せんチェコGPではチャンピオン争いのライバル、アロン・カネトに逆転されてランキング2位に後退するが、第11戦オーストリアGPで再逆転、以後はランキングトップをキープし、第16戦日本GP、オーストラリアGPと2連勝を達成。この2戦でカネトがノーポイントに終わったことにより、3戦を残してチャンピオンを確定させた。

 2012年にスタートしたMoto3クラスにおいて、ダラ・ポルタはイタリア人ライダーとして初のチャンピオンとなる。2019年シーズンのMoto3クラスは開幕戦から第7戦まで7人の異なる勝者が誕生する混戦だった。

 そのなかでダラ・ポルタはなかなか勝てないレースが続いたものの、前半戦で5回の2位入賞を果たしており、これまでの17戦でノーポイントが1回しかない安定性の高さがチャンピオン獲得の要因となった。

 勝てそうで勝てないレースが続いたものの、シーズン終盤に2連勝を飾ってタイトルを確定させ、ここまで2019年シーズン最多となるカネトに並ぶ3勝を記録し、ダラ・ポルタは勝負強さも証明した。

 残り3戦、チャンピオン争いのプレッシャーから解放されたダラ・ポルタが、どんなレースを見せるのかに注目が集まる。

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