VRで地方の教育格差・情報格差をなくす!水戸の進学塾「典和進学ゼミナール」が目指す未来

当サイトでも度々取り上げているVR(仮想現実)やMR(複合現実)。コンテンツを体験する際の臨場感を高める手段として、建築業界や不動産業界を中心に活用が進んでいます。一方で、一般の家庭にはまだまだVR/MRデバイスが普及しておらず、普段の生活には縁遠い存在というのが実情かもしれません。

そんな中、茨城県水戸市の進学塾「典和進学ゼミナール」では、通常の授業とは異なるITを活用した教育の一環としてVRの導入を進めています。身近なところでVRがどのように活用されているのか、典和進学ゼミナールの事例を取材しました。

典和進学ゼミナールでは、360度写真を活用した発見型の授業と職業体験にVRを取り入れています。発見型授業では、VR空間内に360度写真を表示させ、生徒さんたちは自分の周囲を見回しながら問題のヒントを探すという体験を通して教科書で学んだ知識をどう使えばよいのかを学ぶことができます。

一方の職業体験では、VRのコンテンツを使って宇宙飛行士になって無重力空間を移動しながら宇宙ステーションの修理ミッションをこなしたり、ドクターになって様々な器具を使いながら模擬手術をしたりと、日常生活で体験できない職業を身近に体感しています。

また、東京にいる東京大学の学生さんからオンラインで授業をうけるコースも設けており、地域の教育格差・情報格差をなくすための取り組みにも力を入れています。

10月5日には、東京の大学生(東京大学・一橋大学・慶応義塾大学・早稲田大学)と水戸の高校生をオンラインでつなぐイベントも開催しています。このイベントでは、VRを使って各大学を紹介するVRオープンキャンパスと、VR空間内で高校生と大学生がアバターを介してコミュニケーションを行うVR進路相談会という試みが行われました。

VRオープンキャンパスでは、事前に撮影した360度写真を使いながら各大学のキャンパスの様子を紹介していました。高校生たちは、表示された写真を見回しながら大学生の話を聞くことができ、大学生活の様子やキャンパスの雰囲気を感じられていたようです。

また、VR進路相談会では「高校生のうちにやっておいたほうがいいこと」や「文学部を目指すなら慶応と早稲田のどちらがいいか」など受験のことや大学のことについて高校生が活発に質問していました。質問に答える大学生にとっても、普段なかなか交流できない水戸の高校生とのコミュニケーションは良い経験になるのではないでしょうか。

今回の取材では、授業やイベントが終わった後の生徒さんたちの笑顔が印象的でした。VRという目新しいテクノロジーに触れることができて楽しいというだけでなく、360度写真やアバターによるコミュニケーションを通じてよりよい体験が得られたという喜びがあったように感じます。

VRはビジネス化が難しいといわれていますが、今回取材した典和進学ゼミナールのような具体的な活用事例が見つかっていくなかでビジネスとしての形が定まっていくのかもしれません。

Ubergizmoでは、これからもテクノロジーの活用についてウォッチしていきます!

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