「ロフト三つ巴ライブ2019〜幸せな耳鳴り〜」ドラマストア、ラックライフ、藍坊主が残した明日への活力とバイタリティ!

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続けていれば夢は叶うかもしれないし、理想も現実に変わるかもしれない。歩んだり進んだりしなければ出会えないかもしれないし、辿り着くこともできない。そう、成就はけして向こうからはやってきてはくれない。

バンド、ブッカー、ライヴハウス、そしてお客さんの応援のたゆまぬ継続と前進…。ライヴ中にラックライフのPON(Vo.&G.)も語っていたが、それらの継続があったからこそ、この日のライヴは成立したし、集ったお客さんもそこに新しい出会いも含め、かけがえのないストーリーや明日への活力を見い出し得てくれたに違いない。

新宿ロフト歌舞伎町移転20周年記念の一環として「ロフト三つ巴ライブ2019〜幸せな耳鳴り〜」なるライヴが行われた。各々しっかりと歌が中心にある求心力の高い音楽性も特徴的な今回の3組。藍坊主と彼らを深くリスペクトする共に関西在住でよく共演し合っているラックライフとドラマストアの共演は、まさに三つ巴の体を魅せてくれた。

新宿ロフトのベテランとロフトスタッフが協力して選出したのも興味深い今回のラインナップ。ロフトスタッフがつけた副題の「幸せの耳鳴り」は、まさに観終わった後も幸せの余韻や、各楽曲や歌が身体の中にしばらくは在り続け、残り続けるという深意でもこの晩にピッタリでもあった。

一番手は関西発正統派ポップバンド、ドラマストアが務めた。長谷川海(Vo.&G.)、松本和也(Dr.&Cho)、鳥山昂(G.& Key.)、髙橋悠真(B.)、がSEと共にステージへ。まずはメンバー全員で満場のフロアへ深々とお辞儀。鍵盤の音色と歌から「至上の空論」が始まると、エレガントな鍵盤にエモ気味なギターと躍動感溢れるベースが場内にグルーヴィーさと生命力を寄与。綺麗に響く歌の滑り出しと共にライブが走り出していく。ノンストップで「イリーガルハイ」に入ると、先の疾走感に切なさが加わっていく。また鳥山もギターに持ち替え、2本のギターが更なるエモさを醸し出した「スイミー」がシチュエーションを夏へと引き戻していった。

「20年も続いたこの場所で今日も最高の耳鳴りを鳴らして帰ります!」と長谷川。「ガールズルール」ではポップさと軽さが場内に呼び込まれ、楽しい雰囲気を場内に広がらせば、ミディアムな「Lostman」ではちょっとした後悔と取り戻せない尊い時間を思い起こさせ、秘めていた想いが堰を切ったかのように溢れ出していく様を見た。

同期のエレピの音色も合わせて「きえないまぼろし」が始まると優しい後悔が歌われる乙女心に乗り場内に染み渡っていく。ここでは鳥山も情景感のあるギターソロを織り交えてプレイ。また「ラブソングはいらない」に入ると牧歌性が場内に満ち、ファルセットをおり交えて歌われる<ずっと一緒>との安堵感を与えてくれた。そして場内を一緒にしっかりと引き連れ、その先の再会をしっかりと信じさせてくれた「世界はまだ僕を知らない」、セカンドラインのリズムを交え、楽しい雰囲気が場内を包んだ「三月のマーチ」が弾みとそのラグタイム感にて、みんなの下を駆け抜けていった。

2番手は「かつては藍坊主のコピーバンドをやってた」と語るラックライフが担った。残念ながらこの日はギターのikomaが療養のため不参加。田中勇二郎(Self-Portrait)がサポートを務めた。そこには残った3人のみやキャンセルも出来たであろうが、あえてより万全に近い体制にてこのイベントに出たい。そんな気概も伺えた。

まずは長めのドラマティックなイントロから「リフレイン」が。LOVE大石(Dr.)の生み出す4つ打ちのリズムと、たく(B.)のベースによる躍動感が場内を惹き込めば、「初めの一歩」がサビでの開放感や爽やかさを交え、期待も不安も飛び越えた先の素晴らしい景色を見せてくれた。

「心に刺さって抜けない歌を届けに来ました」とPON。続くいつまでも無くしたくない想いを歌った「Naru」では、ラテンポップさが場内にブレイブを寄与。聴き手の心のど真ん中にその歌をぶっ刺しにかかる。

ロフト移転20周年への祝福の言葉の後、彼らを育ててくれたライヴハウスに贈られたかのような「名前を呼ぶよ」では、その野太く存在感溢れる歌声も手伝い、その歌通りの彼らのこれまでの実践もオーバーラップ。対してラブソングの「アイトユウ」では、これまでありがとうと、これかもずっと一緒に歩いていこうと響き、こちらはファンに対しての感謝の意にもとれた。

後半はPONにより今回のメンバーの療養を受け、「メンバーがずっと一緒にずっといられることは当たり前じゃない。そう考えると当たり前って言葉は素晴らしい。ライブハウス、あなた、バンドどれが一つ欠けても、今日のような光景は成立しないし、ライヴも面白くない」的な言葉が告げられ、「自分たちは寄りかかってもらえる歌を作ってきたし、これからも歌っていく。またお互い日常を暮らし、その先にお互いまた出会えることを信じて」と続け、最後は「ハルカヒカリ」を誇らしく気高く響かせていった。

2バンドからのバトンを受けアンカーは藍坊主が飾った。hozzy(Vo.&G.)、田中ユウイチ(G.)、藤森真一(B.)、渡辺拓郎(Dr.)、そしてサポートのツタナオヒコ(Key.)がステージに現れる。神々しいデモンストレーション音の中、「嘘みたいな奇跡を」が現れ、会場中を惹き連れるように彼らのライブは走り出していった。ドキドキワクワクした気持ちとどこか潜んでいる刹那。その向こうに待つ♪生まれ変わってもあなたを思い出すから心配しないで♪とのフレーズが安堵感を呼び寄せていく。

「新宿ロフトはスタッフも箱も心開いているライブハウス」と田中が新宿ロフトへの印象を述べる。続く「スプーン」からはhozzyがハンドマイクスタイルにて歌唱。同曲が駆け出していきながらもちょっとしたセンチメンタリズムを混じらせ、前出のラックライフのMCにも似た、当たり前の大切さを思い起こさせてくれれば、「アンドロメダ」では彼ら独特のロマンティックで永遠性を擁した楽曲特性も楽しめた。また、ツタのピアノの美しい旋律と田中のギターソロも印象的だった「マザーツリー」では自身の起源へと想いを馳せさせ、希望や夢、自分のこの先に向け会場中がステージへと手を伸ばす光景も印象深い。

「今夜は俺らのことをよく知ってる人たちがブッキングし、だからこそ成立した奇跡のような3マン」と田中。続いて久々に「テールランプ」が聴けた。追いかけても追いつけず、つかもうにもつかめず、願ってもなかなか手に入れられない。だけどもそれが自分のモチベーションやバイタリティになっていることを改めて感じさせてくれた同曲に会場中が想いを重ねていく。鮮やかな光から今度は儚く明滅するような歌へと変わる。

続く「ホタル」では会場もその一瞬の刹那を謳歌するように合わせて呼応&歌唱。最後は「魔法以上が宿ってゆく」が牧歌的なノリに合わせて、ハメルンの笛吹きの如く場内を惹き連れるように、ワンダーさ溢れるその最後の魔法を会場の隅々にまでかけていった。

アンコールは1曲。「ハローグッバイ」がまるでこれからもよろしく的に場内を響き駆け抜け、しっかりとした明日への活力とバイタリティを残し彼らはステージを去った。

お客さんにとっても、出演した3バンドにとっても、かけがえのない、この日ならではの幾つものストーリーを多分に得たであろう当イベント。ことお客さんに関しては、目当て以外のバンドのグッズや作品を終演後に買い求める方が多く見られたのもそれを物語っているように映った。

まさにバンド、ブッカー、ライヴハウス、お客さんにとっても、演り続け、働き続け、歩み進み続け、見守り続け、応援し続けた先に、こんなご褒美のような日が待っていた、そんな感慨が去来した日だったのではないだろうか。人はこんな日が突然訪れるからこそ日々ものごとを続けていられる。そんな信憑性をこの日のみなの顔からは感じ取れた。

この日に放たれた幾つもの歌を糧に、みんなまた明日へと歩を進ませていく。そして昨日より今日、今日より明日と、毎日のバイタリティや活力を育くませていく。こんな日がたまにやってきたり、待っていてくれるからこそヤメられないし続けていける。なんてことを行く際よりも数段軽くなった気持ちや足取りと共に帰路、何度も思った。

セットリスト

ドラマストア

1.至上の空論

2.イリーガルハイ

3.スイミー

4.ガールズルール

5.Lostman

6.きえないまぼろし

7.ラブソングはいらない

8.世界はまだ僕を知らない

9.三月のマーチ

ラックライフ

1.リフレイン

2.初めの一歩

3.Naru

4.サニーデイ

5.名前を呼ぶよ

6.アイトユウ

7.ハルカヒカリ

藍坊主

1.嘘みたいな軌跡を

2.スプーン

3.アンドロメダ

4.マザーツリー

5.テールランプ

6.ホタル

7.魔法以上が宿ってゆく

Encore

En.ハローグッバイ

text_池田スカオ和宏 Photo_ Mami Naito