引退したあかね号の座席も 近江鉄道ミュージアムは明日11/2オープン

近江鉄道ミュージアムは明日11月2日(土)、八日市駅2階にオープンします。その前日となる本日11月1日(金)にはメディア向けの内覧会が行われました。

同施設では彦根の近江鉄道ミュージアムから引き継いだ鉄道部品およそ30点を展示するほか、2019年5月に引退した700形あかね号の座席などで再現した運転席BOX、ご自身の車両を持ち込んで遊べるプラレールコーナー、近江鉄道の歴史や車両のパネル展示、沿線の観光スポット紹介コーナーなどが用意されています。実車両の展示こそないものの、方向幕の操作盤などを実際に触って楽しめるミュージアムとなっています。

10:00〜16:00開館、年中無休。入場料は無料です。もし徒歩や他の交通機関で来た場合は、八日市駅の改札にて駅員に申し出て「ミュージアム記念入場券」をもらってください。

普段は無人で展示が行われていますが、ミュージアムを使ってイベントを行う際は近江鉄道のスタッフが案内します。団体での見学も受け付けているとのことですので、希望する場合は近江鉄道の鉄道部まで。

なぜ八日市駅へ?

近江鉄道ミュージアムがオープンする八日市駅

近江鉄道ミュージアムはもともと彦根駅にありました。

旧ミュージアムがオープンしたのは2007年3月21日。彦根城天守閣完成400年を記念して彦根市が企画した「国宝・彦根城築城400年祭」にあわせての開館でした。

作業員の詰所を改装し、「近江鉄道ミュージアム」として毎月第二土曜日に開放(※)。毎月100人ほどのファンが訪れており、留置施設には貨物輸送を支えた電気機関車などを展示していましたが、施設の老朽化に伴い2018年12月8日に閉館となりました。

※400年祭期間中を除く。

移転先については決まっていたそうで、旧ミュージアムの閉館日には八日市駅にて開館する旨アナウンスが行われていましたが、時期についてはまだ告知できる段階ではありませんでした。近江鉄道は水面下で準備を進め、閉館からおよそ10ヶ月後の2019年10月下旬、新ミュージアムの内容と開館日を公開しました。

八日市駅は米原や彦根、近江八幡、貴生川などとは異なり、JR線のみでは辿り着けません。しかしながら近江鉄道の「湖東近江路線」「水口・蒲生野線」「万葉あかね線」三路線が交わるハブであり、ある意味では近江鉄道の中核に相応しい駅と言えるでしょう。そんな場所への移転には「来館のため近江鉄道に乗っていただきたい」「八日市駅こら近江鉄道沿線の観光スポットへも足を伸ばしていただきたい」といった想いも込められています。

触れる操作盤、プラレールは持ち込み可

展示内容にも触れていきましょう。近江鉄道の歴史を綴る年表は彦根時代にもありましたが、今回のオープンに合わせて新調しています。モノクロの車両写真・駅舎の写真は有志の方から許可をいただいて展示しているものもあります。ギャラリーコーナーには現在フォトコンテストの写真が飾られており、壁沿いに進むと沿線の観光案内情報も。

部屋の中央にある鉄道部品等の展示は彦根時代から継いだもので、基本的には展示物に触れることはできませんが、行先方向幕の操作盤とタブレットは直接触っても良いそうです。こうした機器類を自分で操作するチャンスはそうありませんし、なかなか楽しいですよ。

運転席BOXは廃車になった車両から部品を集めて再現。また同コーナーに設置されている転換式クロスシートは今年2019年5月に引退した700形あかね号で使用されていた座席です。

プラレールコーナーでは自分で持ち寄った車両を走らせることも出来ます。ちなみに写真に(ひっそりと)写っている「赤電」と「あかね号」は市販品ではなく、近江鉄道の社員さんが塗装した非売品。普段は施錠されたボックスに封じられていますが、ミュージアム内にスタッフがいるときは動かせるそうです。

開業初日にはキャンペーンも

11月2日の開業日にはくす玉割りや太鼓の演奏などのオープニングイベントも行われます。また、開館先着500名には「開館記念ポストカード」もプレゼント。来館目標は月200人とのことでしたが、旧ミュージアム閉館日には何百人も詰めかけたと聞きますし、三連休だけでなくなってしまうかもしれませんね。

ちなみに金土日に訪れる場合は900円の1デイ・スマイル・チケットを買うのがおすすめです。記者は米原からJRで彦根、彦根からスマイルチケットで八日市と移動し、取材後に近江鉄道を乗り潰しました。気が向いたときに改札を出られますし、「多賀大社」や「豊郷」などへふらっと足を伸ばすのにも最適です。

記事/写真 一橋正浩

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