ミルクイ養殖強化へ 山口県、マニュアル作成

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養殖のノウハウが書かれたマニュアルを手にする小柳主査
県がオリジナルブランド化を目指すミルクイ

 瀬戸内海を代表する高級食材だった二枚貝のミルクイを山口ブランドとして復活させようと、山口県が養殖の拡大に力を入れている。専用機材や養殖方法をまとめたマニュアルを作成し、県漁協と連携して初めて臨んだ昨年度は270キロを生産した。県内で年約1400トンの水揚げがあった半世紀前には遠く及ばないものの、「順調な滑り出し」と手応えを感じている。

 養殖の手法はプラスチック製の籠に流出しにくい土と稚貝5匹を入れ、沖合のいかだやいけすからつるすだけ。ミルクイは海中を漂うプランクトンを捕食し、手間いらずで大きくなる。

 昨年度は県漁協東和町支店(周防大島町)と下松支店(下松市)が養殖した計270キロが首都圏の市場に出荷された。県から養殖機材の提供を受けた他の13支店も既に試験養殖に乗り出しており、年末までにさらに2支店が加わる。県は今後、生態や養殖方法の詳細をまとめたマニュアルを県内の漁業者限定で広め、総合計画「やまぐち維新プラン」の最終年度の2022年度には生産量を1トンまで伸ばす計画だ。

 ミルクイは北海道から九州にかけての内湾の砂泥に生息するバカガイの一種。水管が刺し身やすしねたとして重宝され、首都圏の市場では1キロ3千円前後の高値で取引される。県内では最盛期の1971年に1420トンが水揚げされたが、その後は乱獲やエイ、タコの食害で激減。近年はほとんど採れなくなったため、県は卵をふ化させる技術を開発し、2015年度に国内で初めて養殖を成功させた。

 県水産振興課の小柳隆文主査は「漁業者にアピールして養殖エリアをさらに広げ、独自ブランドとして首都圏に送り出す流れをつくりたい」と話している。