【ラグビーW杯】 ニュージーランドが3位に ウェールズを6トライで倒す

©BBCグローバルニュースジャパン株式会社

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は1日、東京スタジアム(東京都調布市)で3位決定戦があり、ニュージーランド(世界3位)が6トライを奪って40-17でウェールズ(同4位)を突き放して勝利した。

この敗戦を最後に、ウェールズのウォーレン・ガトランド監督は、代表チームでの12年間に幕を下ろした。一方、ニュージーランドのスティーヴ・ハンセン監督は3位を確保し、勝利でオールブラックス(ニュージーランド代表の愛称)に別れを告げた。

ニュージーランドはWTBベン・スミスが2トライを挙げたほか、PRジョウ・ムーディー、FBボウデン・バレット、CTBライアン・クロティ、SOリッチー・モウンガもトライラインを越えた。ウェールズはFBハラム・エイモスとWTBジョシュ・アダムズがトライを奪った。

連勝(と連敗)止まらず

ニュージーランドは相手を上回る容赦のないプレーを披露した。ウェールズは地域獲得率、ボール保持率ともに61パーセントという優位を生かせなかった。ウェールズのディフェンスコーチ、ショーン・エドワーズは30以上のミスタックルがあったことを不満に思うだろう。

ウェールズは2011年大会に続いて4位で大会を終え、1987年大会の3位が過去最高成績となっている。ウェールズのオールブラックス戦連敗は66年間続いている。

これでオールブラックスはウェールズに対して31連勝となった。

感傷的な試合

ウェールズ、ニュージーランドともに決勝を戦いたかったところだが、準決勝でそれぞれ南アフリカとイングランドに敗れたことで彼らの夢は潰えた。このため、東京スタジアムでの試合は、3位のメダルを争う戦いよりも去りゆく人への感傷が多くを占める一戦になった。


ウェールズのガトランド監督は12年間務めたポジションを、この試合を最後に退任する。任期中、シックスネイションズ(欧州6代表対抗戦)で2度のグランドスラム(全勝優勝)を含む4度の優勝と、W杯で2回の準決勝進出に導いた。

一方、ハンセン監督はニュージーランドが優勝した2011年W杯の後、グラハム・ヘンリー監督の後を継いでアシスタントコーチから昇格。4年後の大会でオールブラックスを連覇に導いた。

続出した負傷選手

中5日の試合となったウェールズは、31人の選手中出場可能は26人だけで、敗れた南アフリカ戦から9人を入れ替えた。

そのうち何人かの入れ替えは負傷によるもので、ジョージ・ノース、リー・ハーフペニー、アーロン・ウェインライト、トーマス・フランシスがリアム・ウィリアムズ、ジョシュ・ナヴィディ、コーリー・ヒルとともに欠場した。

ギャレス・アンスコム、タウルペ・ファレタウ、エリス・ジェンキンスはW杯自体に参加できなかった。

カーディフブルーズに所属する控え選手のWTBオウエン・レインが右ウイングで先発し、トモス・ウィリアムズとリース・パッチェルがスクラムハーフとスタンドオフのハーフ団を組んだ。

ハカには横一列で

ニュージーランドは7人の入れ替えやポジションチェンジを行い、NO8キーラン・リードが127キャップ目を獲得するとともに、オールブラックスで最後の試合を迎えた。選手を入れ替えながらも、バックスにはCTBソニービル・ウィリアムズ、クロティ、ボウデン・バレット、WTBベン・スミスという経験豊富なスター選手がそろった。

ニュージーランドが試合前にハカを披露した際には、ウェールズはイングランドの先例にならうことなく、10メートルライン上で向かい合った。

目まぐるしく展開

試合はバタバタとした様相で始まった。

ニュージーランドのFLシャノン・フリゼルが相手NO8ロス・モリアーティに激しいタックルを見舞ったかと思うと、ウェールズのアダムズが鋭い突破でニュージーランド陣深くに攻め込んだ。そのラックでオールブラックス(ニュージーランド代表)のFLサム・ケインがボールに絡み、ペナルティーキックを獲得した。

この前半3分過ぎのペナルティーゴールは、モウンガがゴールポストに当てて外したが、そこから最初のトライが生まれた。ウェールズのキックへのカウンター攻撃でできたラックからリード、LOブロディー・レタリックとつなぎ、レタリックが巧みなオフロードパスを放った。これを受けたムーディーが約25メートル独走して、この試合初トライを挙げた(モウンガのコンバージョンゴール成功)。

ニュージーランドのSHアーロン・スミスはラックからボールを持ち出すと、ボウデン・バレットとのシザースプレー(ボールを持つ選手と味方選手が交差するように動く)でチャンスを作り出し、バレットはそのままウェールズディフェンスを易々と走り抜けてポスト直下にトライした。

トライで追い上げムード

ウェールズもすぐさま反撃に転じた。ゴールを狙える位置でペナルティーキックを得たが、キックは選択せず、ニュージーランドゴールライン目前のタッチに蹴り出して、トライを狙った。ラインアウトからの攻撃でPRディロン・ルイスはインゴールに飛び込んだかに見えたが、押さえ込まれてボールをグラウンディングできず、トライはならなかった。

しかし、ウェールズは引き続きニュージーランドのゴール前で攻め続け、前半18分に粘り強い連続攻撃の末、パッチェルからのパスを受けたエイモスがチーム初トライを挙げた。


パッチェルはトライ後のコンバージョンゴールに続いて、前半26分のペナルティーゴールも成功。ウェールズは10-14と点差を詰めて追い上げムードとなった。

連続トライで突き放す

しかし、ニュージーランドはハーフタイムを迎える前に、スミスが2トライを挙げ再び差を拡大。ウェールズにスキルの高さを見せつけた。

この2トライはまず、ウェールズボールのラックでニュージーランドのウィリアムズが力強いカウンターラックをみせボールを奪取。これをレタリックが持ち出した後、ベン・スミスがウェールズの甘いディフェンスを突き破ってインゴールに飛び込んだ。

もう1つのトライは、前半終了のドラが鳴った後、右タッチライン際でフリーになっていたベン・スミスにアーロン・スミスが絶妙なパスを通して生まれた。モウンガのゴールも決まって、ニュージーランドが28-10とリードして折り返した。

攻撃の手を緩めず

オールブラックスは4回の攻撃で4トライと容赦ない攻撃を見せた。一方で、ウェールズは前半だけでタックルミスが21回もあり、このW杯を通じて見られたディフェンス力の欠如を露呈した。

ニュージーランドはハーフタイムが終わっても、引き続き猛攻撃を続けた。

後半開始直後の1分、突破したウィリアムズがタックルを受けながらCTBのペアを組むクロティにつないでチーム5トライ目を記録。さらに後半7分、再びウィリアムズの突破からベン・スミスが3トライ目を挙げてハットトリックを達成したと思わせたが、これは直前のスローフォワードの反則で取り消しになった。

後半途中からは両チームとも選手交代が相次いた。ウェールズのキャプテン、アルンウィン・ジョウンズはおそらくこれが最後となるW杯のフィールドから退き、オールブラックスのウィリアムズとクロティは代表選手としてのプレーに終止符を打った。

7トライでチーム記録更新

ウェールズは第3列のFLジャスティン・ティプリクとアーロン・シングラーが突破を見せながら、なかなか得点には結びつかなかった。


しかし後半18分、大会最多トライのアダムズがラックサイドを突き、今大会7トライ目を挙げた。これで、2007年大会でシェイン・ウィリアムズが記録した1大会6トライを超えた。

後半35分、ニュージーランドはモウンガがチーム6つ目のトライを挙げ、快勝を締めくくった。


「強いほうが勝った」

ウェールズのガトランド監督は、「残念な結果だ。ハーフタイム前に10-21だったなら、そこまで悪くはなかっただろう。ハーフタイム直前に得点を許してしまったことは残念だった」と試合を振り返った。

選手起用については「3~4人の選手にとってこの試合まで戦うのは負担が大き過ぎ、少しばかり疲れていた。元気な選手を投入した後半は、素晴らしい攻撃のオールブラックスに対して、より良いプレーができた」とコメント。

さらに、「私は選手たちを誇りに思う。2つの素晴らしいトライを挙げ、さらにいくつか奪う機会があった。中5日で戦ってW杯を4位で終えた選手たちと、この大会での彼らのパフォーマンスを、本当に誇りに思っている。強い方のチームが勝った。私たちは敗戦を素直に受け入れなければならない」と話した。

一方、ニュージーランドのハンセン監督は「大切なことは、私たちが敗戦から立ち上がって(オールブラックスの)ジャージーとファンに敬意を表し、先週の失望を乗り越えたことだ。両チームにとって厳しい試合で、ウェールズに対してもおめでとうと言いたい」と話した。

この試合で生まれた記録

  • ニュージーランドはウェールズに31連勝。これはティア1のチームに対する連勝の歴代最長記録。対戦相手の対象をティア1以外にも広げると、アルゼンチンがウルグアイに39連勝、チリに36連勝している。
  • ジョシュ・アダムズは今大会7トライ目を記録。これは、2007年大会でのシェイン・ウィリアムズの「6」を抜き、ウェールズ代表選手のW杯1大会での最多トライ記録。大会記録はニュージーランドのジョナ・ロムー、南アフリカのブライアン・ハバナ、ニュージーランドのジュリアン・サヴェアの「8」。
  • アダムズのトライ数「7」は今大会のトライランキングで2位に「2」差をつけるトップで、ウェールズ代表選手として初めてW杯のトライ王になる可能性がある。南アフリカのマカゾレ・マピンピが「5」で2位につけている。
  • この試合の総得点「57」は2003年大会(ニュージーランド40-13フランス)の「53」を抜いてW杯の3位決定戦で最多。
  • ニュージーランド、ウェールズともにそれぞれ17回のオフロードパスを行い、総数の「34」は今大会最多
  • ベン・スミスは2トライを記録したものの、TMO(テレビ判定)で3トライ目は認められずにハットトリックはならず。これにより、2019年W杯はオールブラックスが初めてハットトリックを記録できなかった大会になった。
  • ニュージーランドは今大会の試合で自ボールの39回のスクラムすべてでボールを確保し、スクラム成功率100%を記録した。
  • ウェールズのキャプテン、アルンウィン・ジョウンズはブリティッシュ・アンド・アイリッシュライオンズを含む143キャップ目を獲得。イタリアのセルジオ・パリセを抜き、148キャップのリッチー・マコウに次ぐテストマッチの歴代キャップ数2位になった。

この試合の最優秀選手:ブロディー・レタリック(ニュージーランド)


この試合の最優秀選手には、両チームのフォワードで最長の35メートルを前進し、18回のタックルをするなど攻守に活躍したニュージーランドのLOプロディー・レタリックが選ばれた。

(英語記事 New Zealand hammer Wales to clinch third