初ポールのMcLaren 720Sパロウ「ここ3~4戦はつねに予選に手応え」/スーパーGT第8戦 GT300ポール会見

 11月2日に行われた2019年シーズンのスーパーGTシリーズ最終戦、第8戦もてぎの公式予選を終え、スーパーGT GT300クラスのポールポジションを獲得したMcLaren 720Sの荒聖治とアレックス・パロウが、マクラーレンにとって、そしてチームにとってもシーズン初ポールとなった予選をふり返るとともに、決勝に向けての展望を語った。

McLaren 720S
荒聖治
「今年の開幕戦、2019年最初のレースとなった岡山では全力で走ってドベ(最下位)だったんです。スーパーフォーミュラでいつもポールポジションを争ってる、本当に“バカみたいに”速いチームメイトである、アレックス選手が走ってもビリだったんですよ」

「それが最終戦に来て、こうしていい位置で戦えるようになったということで、すごい進化ですよね。うれしいというより驚いています」

「もともとクルマとしてはすごくパフォーマンスが高いんですけど、これまではそれがなかなか発揮できる状況になく、苦しい戦いが続いて、悔しい思いもしてきました。結果的にポールポジションを獲れてチームのためにもよかったし、個人的にQ1を通過できてよかったです」

「もし(Q1で)落ちていたらコレ(ポールポジション)もなかったわけですから、ちょっとホッとしてます。すごく速いドライバーにパフォーマンスを出してもらえて、僕としても感謝しています」

「(ポールポジション獲得の要因は)BoP(性能調整)はレースに合わせて課せられるルールで、それに従って我々も戦ってきたわけですが、それと同時に日本のヨコハマタイヤに合わせた車体面のセッティングですね。周波数を合わせるというか、動きを合わせるというか」

「それをチームが全力で進めてくれて、クルマは格段に乗りやすくなった。その上で、BoPのバランスも取れてきたことでいいレースができるようになってきた感触はありますね」

「予選前の段階では『上位には行けるかな』という手応えはありましたが、それにしてもこのドライバー(アレックス)は何度も言いますが本当に速いので、もしかしたら行っちゃうかなと。Q1のタイム差を見た瞬間に『これは、アレックスなら……』という感じはありました」

「それぐらい驚異的な速さを安定して発揮できるドライバーですし、(Q2は)全セクター赤(=タイム更新表示)で行っていましたので、見ている方としては結構ワクワクしました。楽しませてもらいました、ありがとうアレックス」

「レースとなれば、予選とは違う難しさはあるし、チャンピオン争いをしているような強いチームがたくさん走っているわけですから、そう簡単にいくとは思っていないんですけど、そのなかでもこのもてぎはクルマとしての仕上がりが一番の状態で臨むことができている。今季ベストなレースができるよう、この流れを維持したいなと思っています」

アレックス・パロウ
「僕たちにとってすごくいい1日になったね。岡山では本気でアタックしても最下位だったけれど、そのあとのレースを通じて進化できたのはすごいこと。とくに僕たちは1戦スキップしているからね(第4戦タイは欠場)」

「少し残念なのは、今のBoP(性能調整)がシーズンの始めから適用されていたら、これまでのレースも少し楽しめたかもしれないという点。だけど、今はハッピーだよ。シーズン最後の予選でポールポジションを獲れたんだからね」

「今シーズンは周囲からの大きなプレッシャーもあり、苦しい状況のなかで戦ってきたけれど、そんななかでも高いモチベーションを失わず、チームの全員がベストを尽くしてきた。僕自身もうれしいけれど、そんな彼らのためにもポールポジションを獲れてよかったよ」

「BoPによるパフォーマンスの変化は正直言ってほんのわずか。ゲインはそれほど大きくない。それよりもクルマとタイヤのマッチングを進め、セットアップが進化したことは大きかった」

「このクルマはヨーロッパではミシュランタイヤやピレリタイヤを履いていたけど、ヨコハマタイヤはそれらとは特徴が違っていて、履いただけで秒単位で速くなる。それにクルマの方を合わせたことで、ポテンシャルを発揮する手応えが出てきたんだ」

「僕はただ全力でドライブしているだけで、とにかくミスをしないよう心掛けていた。ここ3~4戦はつねに予選ラップに手応えがあって、クルマのフィーリングも完璧。乗っているときは『これは完全にポールポジションだ』と思って戻ってくるのに、無線で『P20(20番手)』とか言われて『オーマイガッ!!』なんてことが続いていたんだ」

「でも今日は同じように聞いたら『P1(ポール)だ』と言われて『えっ、本当?』って聞き返したくらい、逆に驚いたよ。クルマの性能が上がってきて、ようやく狙っていた位置に来ることができた」

「明日の決勝はドライでもウエットでも、僕たちとしてはどちらでも問題ないと考えている。もちろん優勝できたらいいけれど、ポールポジションだけでも幸せさ」

「このコースではドラッグの大きさは不利になるし、少し苦戦する部分もあるだろうからね。そういうレースでの不利を乗り越えて、ポディウムに上がれたら最高だね」

© 株式会社三栄