「超リアル!食欲そそる“食品サンプル”の秘密」

飲食店の店先を彩る“食品サンプル”。食欲をそそる“本物そっくり”をどうやって作るのか?

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 飲食店の店先を彩る「食品サンプル」。サンプルなのに食欲をそそられ、ついつい店に足を踏み入れてしまう。そんな“本物そっくり”をどうやって作るのか?胃袋をわしづかみにする“秘密”は徹底したリアルの追求にあった。

“本物”を工場にお持ち帰り!?

 取材したのは食品サンプルで日本一「いわさき」の名古屋工場(名古屋市中村区)。営業マンが車に段ボールを積み、取引先の飲食店へと向かう。どうやら新しい食品サンプルの注文が入ったようだ。すぐ商談が始まるかと思いきや、営業マンの元に運ばれてきたのは、ハンバーグやステーキなどの“本物の料理”。しかも出来立てホヤッホヤ!するとデジカメを取り出し写真を撮り始めた。

 「料理の色や盛り付けを忠実に再現するために、出来立ての状態を写真に記録するんです。」(いわさき営業担当)

 さらに肉の部位やソースの種類まで細かくメモすると、ラップを取り出し料理を包み始めた。

 「工場に持ち帰り、型取りをします。」(いわさき営業担当)

 まさか本物の料理で“型”を取るとは…。徹底的にリアルを追求するのが食品サンプルの世界なのだ。

リアルの追求!水で洗って“型”づくり

 工場に戻ると、料理と写真を職人に渡し、メモした情報も伝える。職人は付け合わせの野菜の数や具材など料理をさらに細かく観察し、仕様書と呼ばれる書類を仕上げていく。観察を終えた材料を全てトレイに移すと、なぜかシンクへ移動。なんと水でステーキ肉を洗い始めたのだ。

 「かかったソースを落とすことで肉本来の肌が見えるようになるんです。」 (いわさき名古屋工場)

 ハンバーグも水洗い。確かにひき肉の質感がくっきりと現れる。材料をすべて洗い終えると、いよいよ“型”づくり。材料にたっぷりシリコンをかける。

 待つこと約8時間。固まってゴムのようになったシリコンから中の材料を取り出すと、食品サンプルの“型”が出来上がるのだ。

リアルに必要な職人の“想像力”

 完成した型は次の職人が受け取り、今度は型に液体の樹脂「ゾル」を流し込んでいく。肉とナスでは色が違うので、ゾルの色も使い分けていた。こだわるのは色だけではない。手に持った“ステーキ肉の型”に何かを描き始めた。

 「肉の脂身をかいています。表面の色は着色で出せますが、肉の中の油はゾルで描いたほうがリアリティが出るんです。」(いわさき名古屋工場)

 なんと肉の脂身を、型の内側に一つ一つ描くのである。本物をイメージする想像力もリアルの追求に欠かせないのだ。オーブンに入れて待つこと10分。固まったゾルをエアを吹き付けながら取り出していく。ステーキ肉がポコンと飛び出した。表面は肉そのもの。しかも脂身がしっかりついている。ハンバーグも、ひき肉をこねた感じが本物そっくり!

質感の決め手は“色の濃淡”

 そっくりを追求する最後の関門は“色づけ”。ステーキ肉の色づけを見てみた。明るさの違う絵の具を微妙に使い分けながら、焼き色や焦げ目をつけていく。目指すのは写真通りの見た目。カギとなる道具が「エアブラシ」だ。絵の具を霧状に吹きかけることで色の濃淡を表現する。ステーキ肉のちょっとレアなあの質感は、赤色の濃淡で生み出されていたのだ。

食欲そそる“盛り付け”の技!

 お化粧を終えたサンプルたちが整列。いよいよ盛り付けである。使う器は店で使われているものを用意。リアルの追求には器だって手を抜かない。写真通りに配置すると、最後にソースをのせた。ちょっと固めのソースだが、オーブンに入れて溶かすと…なんとツヤが加わって一層リアルさが増したのだ。言われないと、どっちが本物かわからないほどの出来栄えである!

 こだわり抜くニッポンのものづくり。本物そっくりの出来栄えに食欲のスイッチを何度も押された取材だった。

                         【工場fan編集局】