11月2日(土)東京六大学野球秋季リーグ戦 早大1回戦 @神宮球場
3季ぶり37度目の優勝を決めた
令和元年11月2日、東京六大学野球秋季リーグ戦の最後を飾る華の早慶戦が行われた。ここまで4カードを8連勝で勝ち進む慶大が最後に戦う相手は宿敵・ワセダだ。1勝すれば優勝、という大事な試合で先制点こそ早大に奪われてしまうがその後は首位打者争いをする下山悠介(商1・慶應)の活躍や郡司裕也(環4・仙台育英)の2打席連続本塁打などで流れを呼び込んだ。投げては髙橋佑樹(環4・川越東)や津留﨑大成(商4・慶應)など盤石な投手陣により失点は最初の1点のみ。7―1と大差をつけての勝利で見事3季ぶり37度目の優勝を決めた。
慶大 0 0 1 0 0 1 0 4 1 7 早大 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1
慶大バッテリー:○髙橋佑、津留﨑、増居、石井―郡司
早大バッテリー:●早川、柴田―岩本
慶大本塁打:郡司1号ソロ(6回)、2号ソロ(8回)
◆慶大出場選手
1 [9] 中村健人(環4・中京大中京) 2 [5] 下山悠介(商1・慶應) 3 [8]7 柳町達(商4・慶應) 4 [2] 郡司裕也(環4・仙台育英) 5 [7] 正木智也(政2・慶應) 1 津留﨑大成(商4・慶應) R 水久保佳幸(総3・慶應) 1 増居翔太(総1・彦根東) H 杉本京平(理4・中央中等教) 1 石井雄也(商4・慶應志木) 6 [4] 小原和樹(環4・盛岡三) 7 [3] 嶋田翔(環3・樹徳) 8 [6] 瀬戸西純(政3・慶應) 9 [1] 髙橋佑樹(環4・川越東) 8 渡部遼人(環2・桐光学園)
慶大の先発はエース・髙橋佑。初回、得意の打たせて取る投球で三者凡退に抑えた。激しい投手戦が予想される中、先制したのは早大だった。2回裏、守備の連携がうまくいかず先頭打者の加藤に思わぬ出塁を許してしまう。すると1年ながらスタメン出場の中川卓に適時打を放たれ、先制を許してしまった。続く早川の打席も右前に運ばれたが、右翼手・中村健人(環4・中京大中京)が気迫のこもった本塁刺殺をみせ、最少失点で切り抜けた。続く3回表では今季大活躍のルーキー・下山が1死一塁から見事な三塁打を放ち、すぐさま同点に追いついた。
しかしその後は両校、投手の好投が続き、試合はこう着状態に。ロースコアの試合になるかと思われたが、その沈黙を破ったのは慶大が誇る4番・郡司だった。6回表、先頭打者の郡司の打った球は、本人が「打った瞬間『行ったな』と感じた」と振り返るほど綺麗な放物線を描いた。これが勝ち越し打となり慶大に流れを呼び込んだ。
郡司は2打席連続本塁打を放ち頼もしい活躍を見せた
6回裏、ここまで好投を続けていた髙橋佑が同じ川越東高出身の福岡に安打を打たれ、マウンドを降りたが代わりに津留﨑が登板。3週間前に東北楽天から3位指名を受けた津留﨑に観客は大きな声援を送った。安定した投球で相手に安打を許さず早大打線を封じた。迎えた8回表、郡司が早川の146キロの内角の直球を振り抜き、2打席連続となるソロ本塁打を放ち会場を盛り上げる。その後も津留﨑など3人の打者が次々に出塁し、1死満塁のチャンスで打席に入ったのは瀬戸西純(政3・慶應)。今季、打撃が不調の瀬戸西だったが1球目から思い切り振り、その打球は左中間に落ちた。走者一掃の適時打を決め、久々にガッツポーズが飛び出た。
早慶戦男・瀬戸西が吠えた
その後も慶大の勢いは止まらぬまま9回表、柳町が出塁すると、2死一、二塁の場面で今季絶好調の小原が適時二塁打を放ち、ダメ押しの追加点を決めた。最終回、慶大のマウンドに上がったのは守護神・石井雄也(商4・慶應志木)。その名に恥じぬ投球で三者凡退に抑え、3季ぶり37度目の優勝を決めた。
猛打賞の活躍を見せた小原
“黄金世代”とまで言われた今年の慶大だが、昨秋、優勝のかかった最後の早慶戦で破れ三連覇を逃した。その雪辱を味わったからこそ、チーム郡司は“ワセダに勝って優勝”することを目標に掲げていた。今日の勝利で優勝こそ決定したが、目標はまだ達成されていない。あの日の悔しさがあるからこそ、今の慶大野球部があるのだ。
大久保監督は試合後の監督インタビューで目を赤くした
ここまで9戦全勝。しかしひとつたりとも楽な試合などなかった。日々の練習あっての、“鍛勝”なのだ。明日、慶大は91年ぶりの10戦全勝優勝という偉業に挑戦する。慶大野球部のストッキングに歴史を刻むために、そして昨年の雪辱を果たすために、慶大野球部は止まらない。
(記事:左近美月、写真:竹内大志、堀内大生、小林歩)
◆打撃成績
1 [9] 中村健 空三振 二ゴロ 一犠打 一飛 遊ゴロ 2 [5] 下山 二飛 中3① 二ゴロ 三飛 空三振 3 [8] 柳町 中安 中飛 見三振 空三振 左安 4 [2] 郡司 空三振 左安 左本① 左本① 右安 5 [7] 正木 遊ゴロ 中飛 空三振 1 津留﨑 遊安 R 水久保 1 増居 H 杉本 見三振 1 石井 6 [4] 小原 右飛 中安 二安 死球 左安① 7 [3] 嶋田 空三振 空三振 遊飛 空三振 8 [6] 瀬戸西 二飛 一邪飛 左飛 中3③ 9 [1] 髙橋佑 中安 四球 8 渡部遼 左飛 遊ゴロ
◆投手成績
○髙橋佑 5 2/3 22 76 6 3 0 1 1 津留﨑 1 1/3 4 17 0 1 0 0 0 増居 1 5 22 1 0 1 0 0 石井 1 3 16 0 0 0 0 0
◆監督選手・コメント
大久保秀昭監督
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちは
優勝を目標にしてやってきたので、それを達成できたことは本当にうれしいの一言です。
――監督インタビューでは涙ぐむ様子も見られました
おじいちゃんだからね(笑)。歳とると涙もろくなるから。
――今日の試合を振り返っていかがですか
先制されて苦しかったけれどすぐ追いついて、郡司が効果的な2発を打ってくれたので、郡司以下4年生が頑張ってくれたかなと思います。
――8回にも4得点しました
ダメ押し的な点数になったので、少し余裕が持てたかなと思います。
――6回2死で津留﨑選手に交代しました
それは僕の決断で、相手に流れを渡したくない、その一心でやりました。
――明日への意気込みをお願いします
優勝はリーグ戦閉会式が終わってから喜びたいと思うので、明日で決めたいと思います
郡司裕也主将(環4・仙台育英)
――優勝おめでとうございます
もう報われたな、やってきてよかったなという感じです。
――勝てば優勝、どんな意気込みで試合には臨みましたか
いろいろな意気込みがあっだのですが、去年のリベンジが一番思いとしては強かったです。
――6回表の勝ち越し本塁打を振り返って
打った瞬間「行ったな」と思ったのですが、仲間の分析が僕の狙いを定めていてくれる要因になったので、仲間に感謝したいなと思います。
――その「狙い」というのは
ストレートが来るなというカウントでストレートが来たのでそれを狙い打ちしました。
――8回表の本塁打もストレートでした
同じような感じでインコースのストレート来るかなというところで当たったので皆さんに感謝です。
――5打数4安打と絶好調です
打席で考えて打つタイプなので、狙いがはっきりしていたりや考えがまとまっている時はいい結果が出るという感じです。
――早大打線を1失点に抑えた投手陣をリードをしていていかがでしたか
1点は先制されましたけど、大量失点する気配はなかったので安心してリードできました。
――明日の試合への意気込みをお願いします
91年ぶりがなんだということになりますけども、完全優勝したいということはずっと言い続けてましたし、今までずっと勝ち点4できていて、やっと明日勝ち点5になるチャンスなので絶対ものにしたいです。
柳町達副将(商4・慶應)
――優勝おめでとうございます。率直なお気持ちを
本当に、ただうれしいです。
――今日の試合を迎えるにあたって
ここまでいい形で来られたので、初戦を絶対に取って早稲田の前で優勝することを意識してきました。
――2本の安打を振り返って
どちらもランナーはいなかったのですが、後ろの郡司が当たっていたので、しっかり回していこうと思っていました。
――明日も勝てば10戦全勝での完全優勝です
優勝はしましたが、まだリーグ戦は続きます。明日も勝てるようにしっかり準備したいです。
津留﨑大成(商4・慶應)
――優勝おめでとうございます、今の気持ちは
素直に嬉しいですが、チームが始まった時からワセダに2連勝して優勝、というのを目標にしているのでまだ達成できていません。気を引き締めて明日に臨みたいと思います。
――今日の試合を振り返って
ベンチに入っている人も、スタンドにいる人も全員が自分自身の役割を全うした結果が勝利だと思います。
――登板した時の気持ちは
今シーズンは仲間のために全力で投げとうと決めていました。試合前から、スタンドを見てこんなに沢山の人が応援してくれているのだなと実感しましたし、打たれる打たれないを別として仲間のために一球一球全力で腕を振ろうと決意して登板しました。
――8回には安打もありました
次の回どうやって抑えようかと考えながら打席に立ったのであまり覚えてないです。
――明日に向けて
91年ぶりと言われていますが、チームとしてはワセダに連勝して優勝する、ということだけなので気負いすぎずに、塾生一丸となって早稲田を圧倒したいと思います。
小原和樹(環4・盛岡三)
――優勝おめでとうございます。率直に今の気持ちは
本当に嬉しい、それだけです。僕らの代で優勝できたことが嬉しいですし、それ以上に昨年の先輩方が残してくれたものを受け継ぎながら、今までの先輩たちの気持ちを背負って優勝できたのでよかったです。
――5打席3安打と見事なバッティングでした
どこで回ってくるか分からないのですが、4年生の力というのは優勝するためには本当に大事になってくると思っていて、その中でもまぐれですが打ててよかったなと思います。
――今日は6番での出場でした
打順はあまり気にしていないですが、後ろに信頼できる3年生がいるのでそいつらにつなごうという気持ちでした。実際に後ろの二人も結果を残してくれたので助かりました。
――死球もありましたが
指から血が出てしまったので治療に入りましたが、タイムをかけてしまったので申し訳なかったなと思っています。ただ、僕が当たって出塁できれば最高なので、またボールが近くに来れば体を張ってチームのために塁に出たいと思っています。
――瀬戸西選手とのコンビプレーも光りました
普段から一緒に練習しているので、いつも通りできてよかったです。
――全勝優勝が目前まで迫っています
優勝は決まりましたが、2つ勝たないと勝ち点は取れないです。勝ち点5で優勝、その結果として91年ぶり、とかが付いてくると思うので、明日は全力で勝ちたいと思います。
髙橋佑樹(環4・川越東)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか
うれしいです!
――今日の試合を振り返って
また先制されてしまったんですけど、(中村)健人がホーム刺してくれて助けてくれたりして、何とか粘り強く1個でも多くのアウトを取ろうと思っていました。勝ったから良いかなという感じです。
――3回には福岡選手を抑えた後にガッツポーズも見られました
福岡だからというより、3アウト目取れたのでうれしかったなという感じです。
――ご自身でヒットも放ちました
あれが一番うれしかったです(笑)。
――次への意気込みをお願いします
何とかして明日勝てるように、登板機会あるかも知れないので、全力で頑張ります。
中村健人(環4・中京大中京)
――優勝おめでとうございます。率直な今のお気持ちは
小さな事を積み重ねた優勝だったと思います。
――試合を振り返って
先制されるかたちになってしまいましたけど、僕らも先制されてしまったけど慶大らしい野球をして今日勝たなきゃな、という感じになりました。
――2回裏のバックホームはお見事でした
結果的に今日打てなかったので、守備で良いプレーが出来てよかったなと思います。
――明日勝てば完全優勝となります
ここまで来たので10連勝いきたいですって言いたいんですけど、この勢いのままでいけるほど簡単ではないと思うので今日しっかり帰って準備したいと思います。
嶋田翔(環3・樹徳)
――優勝おめでとうございます。率直な今の感想は
去年、三連覇目前で負けてしまった悔しさから今年のチームが始まって本当に優勝できて素直に嬉しいです。
――今日の試合振り返って
最初は苦しい展開だったんですけど守備からリズムを作ってなんとか一本返すという慶大らしい粘りの野球ができたと思います。
――ご自身のバッティングは
あまり調子が良くなくてなんとか一本というところで練習してきたんですけど、ちょうど僕が打って、瀬戸西が打ってつながったので良かったです。
――明日勝てば完全優勝となります
今日優勝出来たのは本当に嬉しいんですけど、自分達が歴史を作るという意味でしっかりミーティングして明日迎えたいなと思います。
正木智也(政2・慶應)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお願いします
チーム全員で戦ってきたので、今日もチーム全体で勝った勝利ですし、その喜びが本当に大きいです。
――今日の試合を振り返って
序盤先制されて厳しい戦いだったのですが、追加点取られそうなときに(中村)健人さんが刺してくれて下山が打って追加点取って、チーム全員で勝ちをもぎ取ったなという感じの試合でした。
――明日への意気込みをお願いします
優勝はしましたが、まだ早稲田には勝ち点取れていないので、明日絶対勝って早稲田から勝ち点取って全勝優勝を決めたいと思います。
下山悠介(商1・慶應)
――優勝おめでとうございます。率直に今の気持ちを
もう率直に嬉しいですね。
――今日の試合を振り返って
序盤結構苦しい展開続いたんですけど、それでも後半突き放せたんで良かったですし、何より勝てたことがすごい嬉しかったです。
――同点適時打を放った3回の打席、どのような心境で打席に入りましたか
正直長打が出たのは自分でもびっくりしていて、たまたま早川さんの球が高めに浮いたので弾き返せたっていうのは良かったんですけど、後ろの柳町さん、郡司さんにつなぐっていうそれだけの気持ちで打席に入りました。
――今日優勝を決めましたが、今季振り返って
正直上手くいきすぎてるっていう感じがあるんですけどやっぱりここまで来たら全勝優勝っていうのを挑める権利があるので、本当に先輩方ともう一回いい思いしたいのでまた明日頑張りたいです。
――明日は首位打者を4年のチームメイトと争うことになります
首位打者は取ろうとして取れるものじゃないと思うので、打率は全く気にせずその場その場での、その打席の役割に徹したいと思います。
――明治神宮大会の出場が決まりました
僕自身は初めて出るんですけど、本当に4年生と出来る最後の大会なので本当に一番いい形で終われるように、何とか日本一目指して頑張りたいです。
――明日への意気込みを
今日は今日で終わったので、明日勝つ準備っていうのを、やるべきことをしっかりやっていきたいと思います。
増居翔太(総1・彦根東)
――優勝おめでとうございます、率直に今の気持ちを
優勝の瞬間にプレイヤーとして立ち会えたのですごく嬉しいと思います。
――今日はリードしてからの登板でしたがどうでしたか
点差はあったんですけど、自分の中ではあって無いくらいの感覚で緊張感というか、初めての早慶戦ということもあって雰囲気に飲み込まれかけたと思うんですけど踏ん張ることが出来て良かったと思います。
――やはり優勝のかかった早慶戦というのは緊張しましたか
点差はあったんですけど、ちょっとした綻びから一気に流れ変わるので。早慶戦は去年の秋の話を聞いていたりして本当に点差以上に気が抜けない展開だったので自分的に空回りする部分もあったんですけどなんとかなって良かったなと思います。
――今季無失点です
結果そういう風になっているんですけど、1年の春に比べたらヒットの数と多くて、思ったところにボールがいかないとか、スピードが出ないとか色々課題が出てきた秋だと思うんで、結果に過信せずというかもっと自分のピッチングの内容を見つめて、あともう一試合、神宮大会に向けてやっていければいいなと思います。
――今季を振り返って
やっぱり上手くいかない部分が多くて、試合の中だったら野手に助けてもらったり、後ろのピッチャーに助けてもらったり、色々自分が投げる中で迷惑をかけているのでここからの試合はまた切り替えてやって、また来年以降はしっかり向き合って頑張りたいなと思います。
――明治神宮大会に向けて
そこからはトーナメントで負けられない試合が続くと思うんですけど、今まで通り特別なことが無くいつも通りしっかりとした準備をして試合に臨みたいと思います。
――明日への意気込みを
今日の勝ちは今日の勝ちで、またしっかり準備をして明日の試合に臨みたいと思います。