「出会いに感謝」 W杯ボランティア・横浜の佐藤里佐さん

日産スタジアムへの案内などボランティア活動に励む佐藤さん=JR新横浜駅前

 決勝が行われた2日も、多くの大会ボランティアが観客をサポートした。

 「こんにちは」。日産スタジアム(横浜市港北区)に近い新横浜駅前ペデストリアンデッキでは、笑顔で声を掛け続ける会社員佐藤里佐さん(49)=同市泉区=の姿があった。「シーズン中は、ずっと秩父宮ラグビー場に通っている」という30年来のラグビーファン。W杯の日本開催が決まった際、「奇跡に近い。もう一生あり得ない」と、参加を即決した。

 スポーツボランティア歴は約5年。中学、高校とバスケットボールに打ち込み、全国優勝も経験した。大会に携わるボランティアの姿を見て、「試合ができるのはこの方たちのおかげ。いつか恩返ししなければと思っていた」。

 W杯では、他のボランティアの様子を見ながら声を掛け、手助けするリーダーを主に務めた。笑顔を絶やさず、自ら率先して動く。活動中は必ず「楽しんでいますか?」と尋ねた。「新たにボランティアをした方に、もう一度やりたいと思ってもらいたい」からだ。

 10月26日の試合では、ニュージーランドから来た観客をバス乗り場に案内したところ、「ありがとう」の言葉とともにオールブラックスのボールペンなどを贈られ、ハグして別れた。「その温かさが心に残った。ボランティア冥利(みょうり)に尽きると感じ、大泣きしてしまった」と振り返る。

 「楽しく充実していたし、出会えた皆さんに感謝の気持ちしかない」と佐藤さん。来年の東京五輪・パラリンピックもボランティアで参加する予定だ。

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