神宮第二で最後の高校野球 帝京・前田監督感慨「ずいぶん勝たせてもらいました」

帝京と日大三のメンバーが試合後に記念撮影を行った【写真:安藤かなみ】

ラストゲームは帝京VS日大三、五輪、パラリンピックの再開発で解体

 秋季東京都高校野球本大会の準々決勝が行われ、帝京と日大三が対戦した。竣工から58年間にわたって東京の高校野球の舞台として様々なドラマの舞台となってきた神宮第二球場だが、来年に迫った東京五輪、パラリンピックに伴う再開発での解体が決定している。神宮第二球場で行われる最後の試合が、大会屈指の好カードとなり、試合前から入場規制がかかるほどの大盛況に。試合は帝京が6回に勝ち越し、1点のリードを守り切って4強入り。神宮第二球場はその約60年の歴史を、帝京の校歌とともに終えた。

 超満員の観客が、選手の一挙手一投足に揺れていた。高校野球ファンで2階席までぎっしりと埋め尽くされた神宮第二球場は、両翼91メートルと狭く、長打が出やすいのが特徴だ。夏の甲子園へ続く都大会も、多くがこの球場で行われていた。帝京・前田監督は「ここではずいぶん勝たせてもらいましたね」としみじみ。明治神宮外苑ゴルフ練習場としても使われているこのグラウンドで自身もプレーした経験があるという前田監督は「(ゴルフボールの跡で)つまづいたこともありましたね」と懐かしんだ。

 満員のファンの中で行われたこの日の準々決勝で好ゲームを演じた両チーム。勝って4強入りを決めた帝京がスコアボードを背景に記念撮影を行った後、関係者の計らいで日大三のメンバーもグラウンドに表れ、両校メンバーが勢ぞろいで記念撮影。最終試合だからこそ実現した両校の粋な計らいに、スタンドからは拍手が沸き起こっていた。

 この日も試合が終了して1時間も経たないうちに、グラウンドは白いゴルフボールが飛び交うゴルフ練習場に早変わり。球場の外では、多くの高校野球ファンが「神宮第二球場」と書かれた球場正面の入り口を、名残惜しそうに写真に収めていた。前田監督は「いいゲームになりましたね。たくさんのお客さんが入って、(最後に)ふさわしいゲームになったと思います」と話し、数々の名勝負に恥じない接戦を演じた選手たちを称えていた。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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