オリーブオイルでおいしく減塩 引き立つ素材の味/産地別でメニューに幅

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オリーブオイルとニンニクだけで焼いたカボチャとパプリカ、ピーマン。皿に盛って一口食べてから、塩を振るかどうか考えて

 減塩というと、味気ないイメージがあるかもしれない。けれど、香り豊かなオリーブオイルをバターやしょうゆの代わりにうまく取り入れると、おいしく減塩できる。原料となるオリーブの実の収穫が大詰めを迎え、もうすぐ「新物」が出回る季節。上手に生かして塩分を控えるこつを産地の江田島などで教えてもらった。

 江田島市と呉市で約4400本のオリーブの木を育てる江田島オリーブ。寺本克彦専務(61)は「塩分を含むしょうゆを使わずオリーブオイルをひと掛けすれば、おいしい減塩料理になります」と勧める。

 寺本専務自身、毎朝の食卓でも、オリーブオイルを好んで使う。納豆に卵かけご飯、冷ややっこや焼き魚にひと垂らし。素材の味がぐっと引き立つという。「カルパッチョとして刺し身に掛けるなど洋風のイメージが強いですが、和食にもよく合うんですよ」と話す。

 料理に直接掛けるのは、精製されていない「エクストラバージンオリーブオイル」がお薦めだ。香りがよく、さらっとしていて油っぽくない。特に秋の収穫を終え、11月中旬ごろから店に並び始める新物は、いっそう華やかな香りを楽しめる。

 産地によっては、香りも味も変わる。うまく使い分けることができれば、減塩メニューの幅も広がりそうだ。例えば、イタリア・トスカーナ地方のオイルはピリッとした辛みが爽やかで、サラダや鶏のささ身に合う。一方、江田島オリーブの国産オイルは辛みと苦みのバランスが良く、どんな料理にも使いやすい。

 減塩の専門家も、オリーブオイルの力を認める。呉市で10年ほど、飲食店と減塩メニューの普及に取り組んできた日下美穂医師は「塩気以外の味わいにもっと関心を持って」と促す。「香りやこくがあれば料理はおいしくなる。オリーブの果実の風味を凝縮したオイルもその一つです」と語る。

 そもそも日本人は塩分を取り過ぎている。日本高血圧学会が推奨する1人1日当たりの食塩摂取量は6グラム未満だが、日本人の平均は約10グラム。薄口しょうゆ大さじ1杯でも2.9グラムを含む。高血圧に加え、脳出血や心筋梗塞を防ぐためにも、1品だけでも塩分を控えるなど「ちょっとした工夫の積み重ねが大切」と日下医師は強調する。「食パンに塗る有塩バターをオリーブオイルに変えるだけでも一歩前進です」

 塩こしょうを使いがちな炒め物も、オリーブオイルなら減塩がかなう。広島市中区のレストラン「AGRI(アグリ)」のオーナーで料理研究家の黒田千晴さん(63)は、オリーブオイルとみじん切りにしたニンニクだけで、カボチャやパプリカを焼いたひと皿を提案してくれた。盛り付けた後、仕上げにもオリーブオイルを垂らせば、いっそう香りが際立つ。

 物足りなければ少しだけ塩を振ってもいい。大切なのは、そのタイミング。料理の途中ではなく、皿に盛った料理を食べてから塩が要るか考えよう。黒田さんは「食材がオイルでコーティングされていると、少ない塩でも表面にとどまる。口に入れたとき、すぐに味を感じておいしく食べられます」と教えてくれた。(福田彩乃)