鎌倉市制施行80周年 元号考案者招き記念式典

山口県萩市を訪問して学んだことを報告する生徒ら=鎌倉市の鎌倉芸術館

 鎌倉市は3日、市制施行から80周年を迎え、市内各地で節目を祝った。鎌倉芸術館(同市大船6丁目)で開かれた記念式典には、新元号考案者とされる中西進氏が駆け付け「『令和』の令の字には、自らを律する鍛錬の意味が込められている。その精神で自分やまちをつくり上げることが日本人の役目」と呼び掛けた。

 式典には市民ら約430人が出席。学生ら若者も多く登壇し、未来への決意などを語った。

 5月にラトビア共和国であった国際合唱コンクールで総合グランプリに輝いた清泉女学院中学高等学校(同市城廻)音楽部は4曲を披露し、「市の明るい未来を担えるよう努力したい」とあいさつした。

 市内の中学生15人は記念行事の一環で7月、姉妹都市で明治維新発祥の地の山口県萩市を訪問して得た学びを報告。江戸時代の藩校跡地に立つ「萩・明倫学舎」などを巡り、市立御成中1年の小野朔さんは「江戸から離れた萩で、歴史を動かす力がなぜ生まれたのか疑問だったが、現地を訪れ、教育がエネルギーを生み出したと実感した」と話した。

 万葉集研究に貢献した学僧・仙覚を顕彰する碑が妙本寺(同市大町)に立つことなどから、市は万葉集関連書籍を集めた「鎌倉仙覚文庫」を設立。それを記念して、国際日本文化研究センター名誉教授で、新元号の考案者とされる中西氏を式典に招いた。中西氏は「令和の時代と万葉の心」と題して講演し、「万葉集は愛の悲しみやその尊さをうたった、人間の存在証明の歌集」などと解説した。

 JR大船駅周辺でも節目を祝うイベントが開かれ、地元飲食店の屋台などが盛り上げた。20年後の100周年に開封するタイムカプセルに手紙を投函(とうかん)する企画もあり、小学2年の近藤莉乃さん(8)と伊岡志優君(8)は「開けるのが楽しみ」と笑顔を見せた。

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