慣れないクセ球に過酷な移動―DeNA関根が定位置奪取へメキシコ奮闘中

ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしているDeNA・関根大気【写真:福岡吉央】

慣れないクセ球の外国人対策に移動12時間「やるべきことは何か、探しながらやっています」

 メキシコのウインターリーグに参加し、ヤキス・デ・オブレゴンでプレーしている横浜DeNAベイスターズの関根大気外野手が2日(日本時間3日)、敵地で行われたスルタネス・デ・モンテレイ戦でメキシコ初打点を記録した。関根はこの日、前日1日(同2日)に続き、2日続けてスタメンを外れたが、8回に途中出場。9回にダメ押しとなる9点目を奪う犠飛を放ち、チームの勝利に貢献した。試合はオブレゴンが11-2で大勝。連勝を飾り、前期リーグ11勝8敗とした。

 試合を決定づける一打だった。関根は8-2で迎えた9回1死一、三塁のチャンスで中堅への犠飛。三塁走者をかえし、チームを勝利へと近づけた。

「犠飛の選択肢が増えるので、1死で回ってきてくれたらいいなと思っていた。気楽に(打席に)立つことができました。監督からも、本塁打を狙っていけと言われていたので、犠飛になるような大きな当たりを打てということだと理解していました。メキシコの投手は球が動くので、これまでは引っ張りにいって二ゴロになるという失敗をしていましたが、今日はセンター方向に強く打ちにいきました。結果、初打点になってよかった。1打席だけでもチームに貢献できるのは嬉しいです」

 10月31日(同11月1日)のアギラス・デ・メヒカリ戦では打線がわずか4安打に抑えられる中、関根はチーム唯一となる2安打。だが、翌1日の試合は4試合ぶりにベンチスタートとなり、8回に代走として出場。その後、センターの守備固めを務めたが、打撃は1打数0安打だった。この日は8回1死一塁の場面で代走で起用されると、2死一、二塁から三塁に盗塁。そして9回の打席でもしっかりとベンチの期待に応えた。

「メキシコの投手はボールが動くので、どんなボールなのか情報がない中で打席に立たないといけない。打席の中でいかに対応するか。今日は1球、ボール球を見ることができたので対応できたが、本当に投手ごとに新たな戦いになる」

「メキシコは練習方法も違う。こういう練習もあるんだなと分かった」

 日本の投手とは違い、メキシコのウインターリーグに参加している投手は直球もクセのある球がほとんど。先発投手は5?6回で降板することが多く、また打者の左右によって次々と投手を送り込んでくる。その中にはメキシコでプレーしたことがないアメリカ人投手もいる。そのため、特に試合の後半は相手投手の持ち球すら分からない中で打席に入らなければならないことも珍しくない。

 だが、そんな中でも関根は結果を残そうと必死だ。同リーグでは11月20日までの前半戦は外国人枠は8人。11月21日から12月30日まで行われる後半戦は6人に減らされる。そのため、前半戦で結果を残さなければ後半戦も試合に出られる保証はないからだ。

 メキシコのウインターリーグは日本のプロ野球よりも移動が大変だ。今回の遠征は、10月31日のナイター後、夜行バスで6時間かけて隣の州の空港に移動し、早朝発の飛行機に2時間かけ、試合会場のモンテレイ入り。チーム宿舎に入ったのは、前夜、本拠地の球場を出発してから12時間後だった。

 そんな移動疲れもある中でも、関根は連日早出練習を繰り返し、打撃を向上させようと地道に努力を重ねている。ここまで打率.162。それでも「メキシコは練習方法も違うし、打撃練習でも打撃投手の投げる間が速く、距離も近い。こういう練習もあるんだなということが分かったし、自分のその時その時の状態で、この練習をすればいいという引き出しをどんどん増やしていきたい」と、とことん前向きだ。

「すぐに結果が出てもそれは一時的なもの。すぐに何かができるようになることはない。(来年1月の)自主トレでやりたいこと、やるべきことは何か、探しながらやっています」

 来年プロ7年目。DeNAは今オフ、打線の主軸だった筒香嘉智外野手のポスティングによるメジャー移籍を容認しており、移籍が実現すれば同じ外野手の関根にとってはレギュラー獲りの絶好のチャンスとなる。それだけに、メキシコでも1日も無駄にできない思いが強い。外野のポジションを争うライバルは多いが、関根は遠くメキシコの地から、定位置を虎視眈々と狙っている。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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