レッドブル・ホンダ密着:フェルスタッペン、手負いのマシンでメルセデスとの真っ向勝負/F1アメリカGP

 今年のF1第19戦アメリカGPは、レース終盤にトップ3が激しくポジションを争う手に汗握る一戦となった。

 残り6周の51周目の段階で、先頭を走るのはルイス・ハミルトン(メルセデス)。2番手がチームメイトのバルテリ・ボッタスで、3番手がレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。このとき、この3台はそれぞれ状況が異なっていた。

 ハミルトンは1ストップ作戦で24周目から履き続けていたハードタイヤを装着していた。そのハミルトンを追うボッタスとフェルスタッペンは2ストップ作戦でミディアムタイヤを装着。しかも、周回数はハミルトンよりも10周以上短かった。

 まず52周目にボッタスがハミルトンをオーバーテイク。このときフェルスタッペンとハミルトンの差は3.7秒。翌53周目、メルセデスはハミルトンにフェルスタッペンとの差を「2.9秒」と伝えると、フェルスタッペンも無線で「もっとパワーが欲しい」とチームに伝える。

「ちょっと」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)だけ、エキストラパワーを使用したフェルスタッペンは、翌54周目にその差を1.2秒に縮め、いよいよDRS使用可能圏内までハミルトンを追い詰める。しかし、ここで16番手を走行していた周回遅れのケビン・マグヌッセン(ハース)がバックストレートエンドのターン12でコースアウト。

 残り2周、フェルスタッペンはDRSを使ってハミルトンのスリップストリームに入りながらも、バックストレートエンドが黄旗区間となっているために、オーバーテイクできなかった。

 レース後、田辺TDは「ラスト2周で出た黄旗がなければ2位も見えていただけに悔しい」と語ったものの、「週末を通して安定した速さを見せられた」と、週末のレッドブル・ホンダの戦いぶりをポジティブにとらえていた。

 クリスチャン・ホーナー代表も「マックスは予選とレースで王者メルセデスと真っ向勝負し、第15戦シンガポールGP以来の表彰台を獲得した。チームメイトのアレックス(アルボン)は1周目に挟み撃ちにあう形でフロントウイングの交換を余儀なくされたが、見事な巻き返しで5位入賞を果たし、チャンピオンシップで6位に浮上。着実に成長している」と、ふたりの戦いぶりを高く評価していた。

 しかし、第15戦シンガポールGP以来の表彰台を獲得したフェルスタッペンは満足していない。

「レース後、マシンを見たら、かなりダメージを負っていた。あれがなければ、もっとコンペティティブな走りができたはずだった」

 2019年のタイトル争いは閉幕したが、レッドブル・ホンダの2019年の戦いは、まだ2戦残っている。

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