ワンチームで熱気継続へ ビジョン明確に改革を ラグビーW杯

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2万8477人の観客が詰め掛けた1次リーグのフランス-トンガ戦=10月6日、熊本市東区のえがお健康スタジアム(上杉勇太)

 日本列島を熱狂させたラグビー・ワールドカップ(W杯)は2日、南アフリカの優勝で幕を閉じた。ピッチ上で繰り広げられる肉弾戦の迫力に魅了され、国内では新たなラグビーファンが一気に増えた。ただ、国民的スポーツの野球やサッカーなどに比べると、ラグビーの地位は低い。関係者が口をそろえる「W杯の熱気を一過性のものにしてはならない」との思いをどう形にしていくか。ここからが正念場となる。

**広がった間口 **  2日のイングランド-南アフリカの決勝。横浜市の日産スタジアムは多くの日本人ファンで埋まった。長野県軽井沢町から訪れた30代の女性は「チームのために自分を犠牲にして力を尽くす姿を応援したくなる。この1カ月半、楽しませてもらいました」と名残惜しそうだった。

 熊本でも1次リーグ2試合が行われ、会場のえがお健康スタジアムでは2日間で計5万5千人が観戦。スポーツイベントとしては2009年のサッカー・アジアカップ最終予選に続く大入りとなった。これまでコアなファンに支えられてきた競技の間口が一気に広がった感がある。

一過性の懸念

 前回のイングランド大会でも日本が南アフリカから大金星を挙げたことでラグビーブームが訪れたが、その熱が冷めるのも早かった。ノンフィクション作家の長田渚左さんはブームを一過性に終わらせないためには、「生で観戦できたり、実際にプレーできたりする機会を提供していくことが鍵になる」と指摘する。

 国内のラグビーの競技人口は約29万人。日本協会に登録するチーム数は1992年度の5103から、17年度は3千を割り込んだ。少子化の影響で高校チームの減少幅が大きく、中学ではラグビー部がある学校が少ないため、途中でやめてしまう子どもも多い。

危機感の表れ

 国内リーグの最高峰、トップリーグの18~19年シーズンの入場者数は1試合平均で5100人余り。地方のスタジアムでは空席も目立つ。1シーズン15億円以上とも言われるチーム経費は企業にとって大きな負担で、「W杯後はトップリーグから撤退するチームが出る」とのうわさは絶えない。日本協会の清宮克幸副会長がプロリーグ構想を発表したのも、そうした危機感の表れからだ。

 ラグビーの持つ魅力が新鮮に映り、多くのファンを生み出した今大会。その熱気を今後も継続できるかは、日本ラグビー界が明確なビジョンに立ち、「ワンチーム」で改革を進められるかに懸かっている。(梅ケ谷昭人)

(2019年11月3日付 熊本日日新聞朝刊掲載)