【MLB】これがストライク? グラフィックで見ると確かに…「ロボ審判」の判定は「高低が課題」

「アリゾナ・フォールリーグ」で「ロボット審判」の導入が開始【写真:Getty Images】

「アリゾナ・フォールリーグ」の一会場で導入、ストライクとボールを判定する

 メジャーリーグ機構(MLB)が、ストライクとボールを電子的に判定する「ロボット審判システム」ABS(Automated Ball-Strike System)を、有望株が集まる「アリゾナ・フォールリーグ」で導入した。MLB公式サイトは「選手やコーチたちの間で話題となったことに疑いはない」と、選手らの感想を伝えている。

 ABSは「ソルトリバー・ラフターズ」と「スコッツデール・スコーピオンズ」が本拠地とするソルトリバー・フィールズで行われた全試合でボールとストライクの判定をするために使用された。このシステムはMLBとの提携の一環として、独立リーグのアトランティック・リーグで2019年シーズンに導入されている。

 球場のピッチ・トラッキング・システムがボールを読み、ソフトウェアが各選手の身長に合わせたストライクゾーンに入っていたかを判定する。ボールかストライクかは音声で球審に伝達され、球審が判定を伝える。

 記事は「ラフターズ」でプレーしたツインズのトッププロスペクトのロイス・ルイスの感想を紹介。「内角と外角の判定はとても良い。高めと低めは改善が必要だと思う。遅く変化したカーブがストライクゾーンの上に入ったり、速く変化したカーブがストライクゾーンの下に入ったりするかもしれない。そうしたことは調整が必要だ。誰か頭の良い人が解決させるはずだよ」としている。

 また「グレンデール・デザートドッグス」でプレーしたレッズの捕手タイラー・スティーブンソンは「特に捕手にとってはとても違う。多くの人が言っているように、最大の変化は高めと低めの判定だ。“普通のストライクゾーン”に慣れているんだよ」と語っている。

低目の変化球のストライク判定に抗議し、退場処分を受けた打者も

 記事は、ジャイアンツのプロスペクトであるジェイコブ・ヘイワードがロボ審判の判定に抗議して退場処分を受けたことを伝えた。捕手は地面に着きそうな位置でボールを捕球。従来はストライク判定にならないようなカーブだったが、グラフィックで見るとストライクゾーンの角ギリギリを通っていると指摘している。

「ラフターズ」でプレーしたレイズの投手シェーン・バズは「野球で本当に大きな変化となるだろう。慣れなければならないことだろうね」としている。

 記事によると、MLBはこの実験をフィードバックして今後に生かしていく。テクノロジーはうまく機能し、大部分は成功と考えられているという。

 さらに議論すべきは、最も公平であるべきボール-ストライク判定とするための「ストライクゾーンの設定」であると指摘。フォールリーグでは、ストライクゾーンは膝窩部からベルトの4.5インチ(約11.4センチ)上までとされたという。これはMLBルールブックで定義されているストライクゾーンに一致する。 記事は更に「この設定に疑問の声が多く上がったため、システムの設定が変更となる可能性がある」としている。

 記事は最後に監督のコメントを紹介。「ラフターズ」のキース・ジョンソン監督は「狙ったところに投げなくてもよくなる。内角に直球を投げさせようとして捕手も内側に構え、反対側で捕球したとしてもストライクゾーンに入っていればストライクになる」と指摘している。(Full-Count編集部)

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