映画祭最終日に「主戦場」上映 「表現の自由の大勝利」

舞台あいさつをするデザキ監督=川崎市麻生区の市アートセンター

 川崎市麻生区で開催された「KAWASAKIしんゆり映画祭」で4日、慰安婦問題をテーマにしたドキュメンタリー映画「主戦場」が上映され、ミキ・デザキ監督が舞台あいさつに立った。「表現の自由の大勝利」と口火を切った発言は以下の通り。

 私の作品が上映できるようになり本当にうれしい。これは日本の表現の自由の大勝利だ。こうした勝利が続き、表現の自由を侵害しようとする者を負かしていけば、トレンドになって勝ち続けられるようになると信じている。

 主戦場も「検閲」を受けた過去から始まったといえる。日本のメディアは差別についてあまり報じないと知り、そのことを語った動画を「YouTube」に投稿した。この動画がバッシングを受けたことが発端になった。

 (英語指導助手をしていた学校の)学生の安全のために削除すべきだと言われて悩んだが、威嚇で口を封じようとする試みに屈してはいけないと思った。差別を扱うような敏感な話題の動画を誰も上げなくなると思ったからだ。

 動画をきっかけに「ネット右翼」の存在を知り、彼らがとあるトピックに圧力を掛けようとしていると知った。慰安婦に関する報道で朝日新聞社の植村隆元記者に圧力がかかっていることも知った。

 メディアが焦点を当てないことを語る大切さを知った。独立の映画館や映画祭が政府の圧力に負けずにこういうものを伝え続けることが大切だ。なぜならこの映画に関するニュースはNHKで報じられないと知っているからだ。上映をサポートし、闘ってくれた皆さんに感謝の意を表したい。

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