前田智徳氏が見る「プレミア12」のライバル国 メジャーと3A選手の違いは「安定感」も…

テレビ朝日系列で解説を務める前田智徳氏【写真:福谷佑介】

ライバル国はメジャーリーガーを派遣せず「3Aとかになってくると、違うのは安定感」

 11月2日(日本時間3日)に開幕する「第2回 WBSCプレミア12」。来年に控える東京五輪の前哨戦となるこの大会で稲葉篤紀監督率いる野球日本代表「侍ジャパン」は悲願の優勝を目指す。侍ジャパンは11月5日、台湾・桃園市でのオープニングラウンド初戦でベネズエラと対戦する。

 この大会を中継するテレビ朝日系列で解説を務めるのが、元広島の前田智徳氏。かつて“天才打者”と称された前田氏がFull-Countの単独インタビューに応じ、今大会の侍ジャパンについてや大会の見どころなどについて語った。

 世界のトップ12の国が出場する「プレミア12」。今大会はWBCのようにメジャーリーガーたちが出場することはなく、アメリカやプエルトリコ、ドミニカ共和国などはマイナーリーグでプレーする将来有望なプロスペクトたち、メジャーでかつて活躍したベテラン選手などが数多く出場している。

 果たして侍ジャパンが優勝を目指す上で、ライバルとなりそうな国々の選手たちのレベルはいかほどのものなのか。MLBのスプリングトレーニングなどにも赴いている前田氏は「メジャーのトップクラスは長打力はある、安定感もある。これは間違いないです。ただ、3Aとかになってくると、違うのは安定感です。やっぱり一番は安定感がメジャーリーガーからは劣ります」と分析する。

 継続して結果を残す安定感こそ劣るものの、根本にあるパワーやスピードなどはメジャーリーガーと遜色はないよう。「3Aだろうが、メジャーに出ていない選手であろうが、外国の選手はやはりパワーはあります。プエルトリコ、ドミニカ、間違いなくパワーあるでしょう。ただ、その確率は悪くなります」と前田氏は語っており、そのパワーには特に警戒すべきだという。

前田氏が見る日本の打線「全員が打ってくれるのがいいですが、そう簡単ではない」

「ランナーを置いての一発は気をつけないといけません。ソロホームランでの一発事故はあると思います。でも、それを恐れていてはいけない。日本の投手にはコントロールの良さがありますし、能力は高い。十分期待できます」

 前田氏が優勝のために鍵を握るという侍ジャパンの投手力。いかにして、北中米のパワー溢れる外国人を封じるかは大事なポイントになる。

 では、日本の打線を前田氏はどう見るか。

「例えば前回大会おかわりくん(西武・中村剛也)が4番に入ったんですけど、彼自体は機能しなかった。ただ、その前後残りの8人がいい形で得点を挙げて、チームが5勝0敗と悪くない形でいきました。もちろん全員が打ってくれるのがいいですが、そう簡単ではないと思います。打線がどういうふうに機能していくのか。そこに注目しています」

 初めて見るような投手を相手に、いきなり全員がポンポンと打つことは難しいと前田氏は指摘する。その中で大切なのは打“線”になること。誰かが打てなくとも、周りの選手がフォローする。数少ないであろうチャンスで、1点をもぎ取っていく。チームとして繋いで攻めていくことが重要だという。

 台湾で行われる5日のベネズエラ戦で幕を開ける侍ジャパンの「プレミア12」の戦い。果たして、どんな戦いを見せてくれるのか。世界の頂点に手を届かせるか、注目だ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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