国体ラグビー会場どこへ…県と市「スクラム」組めず

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滋賀県がラグビー会場として再整備を計画している県希望が丘文化公園の芝生エリア

 2024年滋賀国体(国民スポーツ大会)のラグビー会場が決まらない。主催者の滋賀県は、県希望が丘文化公園が「唯一の選択肢」として地元の野洲市に会場受け入れを要請するが、市は人員不足を理由に「不可能」と固辞し続けている。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が盛り上がる中、国スポの成功に向けてスクラムを組むべき県と市の溝は埋まらず、関係者がノーサイドを呼び掛ける事態になっている。

■すでに2競技 野洲市「人員確保困難」

 関係がこじれるきっかけは7月、三日月大造知事が会場未決定の競技について現状を報告し、協力を打診した県内首長会合だった。
 「野洲市にはラグビーを」との打診に、山仲善彰市長は翌8月、希望が丘での受け入れは困難と表明。既に卓球とバスケットボール(成年女子)の2競技が決まっており、3競技目に対応する市職員を確保できないことを主な理由に挙げた。9月発行の市広報誌でも、市長コラムに「ここに及んで新たな種目の受け入れは不可能」とつづった。
 市の担当者によると、必要な人手は1競技につき1日最大60人。競技日程が重なれば職員全体の4分の1程度が取られる計算となり、本来の業務に支障が出る可能性があるという。
 一方、県は県ラグビー協会の意向を尊重して当初から希望が丘が最有力と考え、市側にも伝えてきたという。大会基準の「芝生の競技場3面」を1カ所で満たせる利点もあり、現在は多目的に使われている芝生エリアに競技場1面を追加整備する計画を進めている。ただ、人手不足への対応策として県職員を市に派遣することについては、他の市町との間に不公平感が生じかねないとして慎重姿勢を貫いている。
 県は「あらゆる方策を検討し、引き続きお願いする」とするが、交渉は手詰まり状態なのが実情だ。
 今月には、再び会場問題を特集した市広報誌で山仲市長が「理解を求める前に自ら理解を」と県の対応を批判。県が市に2競技の内定を出した3年前の段階で、なぜラグビーを優先的に割り当てなかったのか疑問を呈し、「説明もないまま、突然の無理な要請になっている」と不信感を募らせた。
 県は「3競技目を受けてもらえるよう(3年前から)市と協議を続けてきたつもりだ」と説明。ところが市は「県から連絡はなく、うちとしては2競技が内定した時点で終わった話。後出しじゃんけんだ」と、認識は大きく異なる。
 W杯では日本代表が快進撃し、ウェールズとフィジー代表が大津市でキャンプを張ったこともあって、湖国のラグビー熱は高まっている。それだけに今回のゴタゴタで関係者の胸中は複雑だ。
 県ラグビー協会の役員の一人は「市は意固地になっている感じがする。一方、県には協議を任せたのにずいぶん待たされた。行政間の調整不足に巻き込まれた」と漏らし、子どもや選手の思いを代弁する。「県も市もいざこざはやめて、ノーサイドにしてほしい」

≪滋賀国体≫

 日本スポーツ協会と文部科学省、県が主催する。開・閉会式は県が受け持つが、県内の市町が「最低1競技」を原則に準備や運営を分担。調整役の県が2014年から競技団体と市町の希望を聞き取り、担当競技を振り分けてきた。現在、全38競技のうちラグビーなど7競技(一部種目を含む)の会場が決まっていない。「国体」は23年佐賀大会から「国民スポーツ大会」(国スポ)と改称する。

滋賀国体のラグビー会場問題を取り上げた滋賀県野洲市の広報誌