マティングリー、トミー・ジョンら10人が殿堂入り候補に

日本時間11月5日、アメリカ野球殿堂は2020年の殿堂入り選考で対象となる10人の候補者の顔ぶれを明らかにした。2016年以降、ベテランズ委員会による選考は4つの時代区分に従って行われており、今回は1970~1987年の「Modern Baseball Era」が対象となっている。選考委員16名から75%以上(12票以上)の票を得ると殿堂入りとなり、ウィンター・ミーティング期間中の日本時間12月9日に投票結果が発表される予定である。

今回の選考対象となったのは、ドワイト・エバンス、スティーブ・ガービー、トミー・ジョン、ドン・マティングリー、マービン・ミラー、サーマン・マンソン、デール・マーフィー、デーブ・パーカー、テッド・シモンズ、ルー・ウィテカーの10人。このうち、ミラーは選手ではなく、選手会の理事としてメジャーリーガーの地位向上に大きく貢献した人物である。「Modern Baseball Era」を対象とした前回の投票(2018年)では、得票率43.8%で落選となった。

主にレッドソックスで活躍したエバンスは、ゴールドグラブ賞8度、シルバースラッガー賞2度の実績を誇る名右翼手で、通算2446安打、385本塁打を記録。殿堂入りの記者投票では、2年目(1998年)の10.4%が最高で、翌1999年に3.6%に終わって投票対象外となった。ドジャースとパドレスでプレイしたガービーは、10度のオールスター・ゲーム選出経験を誇り、1974年にはナ・リーグMVPに選出。通算2599安打、272本塁打を記録したが、記者投票では初年度(1993年)の41.6%が最高で、ラストチャンスの15年目(2007年)は21.1%に終わり、落選となった。

ジョンは、ドジャースなど6球団で26シーズンにわたってプレイし、通算288勝をマーク。肘の手術から奇跡の復活を遂げ、「トミー・ジョン手術」にその名を残している。記者投票では15年目(2009年)の31.7%が最高で、2018年の「Modern Baseball Era」の投票でも得票率は50%に届かなかった。現在マーリンズで監督を務めるマティングリーは、ヤンキース一筋で14シーズン活躍した一塁手で、ゴールドグラブ賞9度、シルバースラッガー賞3度のほか、1985年にはア・リーグMVPを受賞。通算打率.307、2153安打、222本塁打を記録しているが、記者投票では初年度(2001年)の28.2%が最高で、15年目(2015年)は9.1%に終わり、2018年の「Modern Baseball Era」の投票でも50%未満に終わった。

マンソンもヤンキース一筋でプレイした選手であり、正捕手かつキャプテンとして活躍。1970年に新人王、1976年にア・リーグMVPを受賞したが、現役期間中の1979年に飛行機事故で死亡した。記者投票では初年度(1981年)の15.5%が最高で、15年目(1995年)は6.5%に終わり、ベテランズ委員会の選考でも殿堂入りのラインを超えることができていない。ブレーブス時代の1982~1983年に2年連続でナ・リーグMVPに輝いたマーフィーは、ゴールドグラブ賞5度、シルバースラッガー賞4度、通算398本塁打の実績を誇る名外野手。記者投票では2年目(2000年)の23.2%が最高で、15年目(2013年)は18.6%に終わり、2018年の「Modern Baseball Era」の投票でも50%未満だった。

パイレーツなどで活躍したパーカーは、並外れた強肩を武器とした右翼手で、パイレーツ時代の1977~1978年に2年連続の首位打者を獲得し、1978年にはナ・リーグMVPを受賞。記者投票では2年目(1998年)の24.5%が最高で、15年目(2011年)は15.3%に終わり、2018年の「Modern Baseball Era」の投票でも50%に届かなかった。2018年の「Modern Baseball Era」の投票で殿堂入りにあと1票だったシモンズは、ブリュワーズなどで活躍した両打ちの捕手で、オールスター・ゲームに8度選出。通算2472安打、248本塁打を記録したが、記者投票では初年度(1994年)で3.7%に終わり、投票対象外となった。

ウィテカーは、タイガース一筋で活躍した名二塁手で、1978年に新人王を受賞し、シルバースラッガー賞を4度、ゴールドグラブ賞を3度獲得。通算2369安打、244本塁打をマークした。しかし、記者投票では初年度(2001年)で2.9%に終わり、翌年から投票対象外に。なお、球史に残る名二遊間コンビを組んだアラン・トラメルは、前回の「Modern Baseball Era」の投票で殿堂入りを果たしている。

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