なぜ? 横浜の神社で沖縄の絶滅危惧種が見つかる 一度は見失ったが…

横浜市の星川杉山神社で保護されたリュウキュウヤマガメ=2日(佐藤公定さん提供)

 横浜市保土ケ谷区の神社で、天然記念物のカメが見つかった。2日に住民が保護し、拾得物として神奈川県警に引き渡した。市内の動物園が鑑定したところ、沖縄県のみに生息する「リュウキュウヤマガメ」と5日、わかった。

 環境省によると、沖縄本島、渡嘉敷島、久米島のみに分布し、1975年に国の天然記念物に指定された絶滅危惧種。落ち葉のような甲羅と褐色の体表が特徴だ。鑑定した野毛山動物園によると、体長12センチのメス。けがはなく、元気という。

 星川杉山神社(保土ケ谷区)で最初に目撃されたのは、10月22日。職員が社殿にいたカメを見つけたが、撮影後に見失い、行方がわからなくなった。

 神社が写真をツイッターに投稿すると、区民の佐藤公定さん(36)が「天然記念物ではないか」と反応。佐藤さんは市内のカメショップ店長で、「密猟の危険があり、一刻も早く保護する必要がある」と捜索を願い出た。権禰宜(ごんねぎ)の平岡理恵さん(38)は「まさか、そんな希少種だったなんて」と驚いた。

 このカメの取引はワシントン条約で規制されているが、中国や香港で鑑賞用として需要があり、1匹数十万円の高値で密輸されている。昨年10月には、日本から香港の空港に到着した日本人が手荷物に60匹を隠し持っているのが発覚した。

 神社は今月2日、佐藤さんら住民と境内の隅々を捜索。1時間半後、斜面地の枯れ葉に紛れているところを、佐藤さんが見つけた。佐藤さんは「無事でほっとした」。平岡さんも「佐藤さんの愛情が伝わったのかも」と喜んだ。

 天然記念物は無許可で飼育できない。地元の保土ケ谷署が一時的に預かり、引き渡し先を検討している。

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