消費税増税1カ月

 あまり見ることのないレシートを見るようになった、と昨年の今ごろ、小欄に書いている。米国がイランへの制裁を強めた影響で、ガソリン価格がやたらと高い時期だった▲近頃、またレシートに目を通すことが増えている。先月の消費税率アップに伴い、現金を使わないキャッシュレス決済だとポイント還元されるようになり、生活でいくらか「キャッシュレス化」が進んだ。還元額をついレシートで確かめている▲その額は知れたもので、それほど得をしたとは思わないが、損をしたとも思いたくない…。増税から1カ月たった今、自分の「消費者心理」を言うならばこんな感じだろうか▲同じような人は多いのかもしれない。政府はポイント還元の“元手”となる予算を上積みするという。還元額は1日平均10億円に上り、予想を上回った▲といっても、キャッシュレス決済になじみのない人に還元はない。かたや、子育て世代などに向けたプレミアム付き商品券は浸透していないという。増税による景気の冷え込みを防ぐ策は成否が分かれる▲膨らむ社会保障費を増税で賄う。それが「消費税10%」の目的だと思い返せば、「還元」の上積みに疑問も湧く。消費税を払う身としてその使い道が気になり、消費者として「還元」が気になる。昨今、心の持ちようが難しい。(徹)

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