競輪選手を目指した「大場翔太」現在は「楽しくユーチューバー」

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「競輪選手はあきらめたというか……。ひとまず今年は試験を見送りました。(2年連続で落ちて)無理なのかな、難しいのかなと思いました」

2007年、大学生・社会人ドラフト会議で、6球団から1位指名を受け、福岡ソフトバンクホークスに入団した大場翔太さん。中日ドラゴンズを経て、2016年に現役を退いた。

引退後、競輪選手を目指すべく試験を受けるも、2017年、2018年と、2年連続で不合格に。現在、アルバイトで生活を営むかたわら、YouTubeの動画配信をひっそりと行っている。

「今年の3月からです。なにかを発信したいと思ったとき、自分の強みで、なおかつ経験してきたことを伝えないともったいないかなと思って始めました」

大場さんが配信しているチャンネル名は「ばっくすTV」。本名で行っていない理由には、「恥ずかしさ」があった。

「もっと認知されたいという気持ちもあるけど、こっそりやりたいな、と。元プロ野球選手がYouTubeやってることに恥ずかしさを感じまして……。(ファンから)認められない時代もあって、くだらないことをやってるんじゃないという批判もあったので」

中日の入団会見で、休みの日になにをしているか問われ、「YouTubeを見てます」と答えるなど、現役時代からYouTubeにハマっていた大場さん。その裏では選手としての「やるせなさ」に苛まれていた。

「(現役のとき)最後の3~4年はうまくいかないことが多かったです。頑張っても結果につながらない時期があって。やるせなさ、悔しさ、無力感があって……。

そんななか、日々の楽しみは、休みの前に夜ふかししてYouTubeを見ることでした。プロ野球選手は現場だけじゃなくて、家に帰ってからも研究したり、体のケアをしたり……。

24時間野球に捧げるなかで、YouTubeでバラエティとかくだらなくても面白いものを見て、気持ちをリフレッシュしていました。また明日から頑張ろうかなと。ただ、当時は野球をやめたらYouTubeやろうとは思ってなかったです」

引退後、かつての同僚だった武山真吾・現中日2軍バッテリーコーチに「必死こいて競輪選手になる」と宣言したが……。

「競輪(選手を目指すことを)やめたの、と聞かれることもありますけど、とりあえず見送って。2年やって、力がないから落ちてる(と痛感)。見送ろうと決めるくらい、2回めにかけてました。あれだけやって落ちるなら無理かな、と。

来年以降、受けるかは未定ですけど、今でも定期的に練習はしてますよ。朝から晩まで200キロ走るとか。(競輪を)やりたいと思ったときに(体力が)落ちてからではしんどいので、ある程度、すぐ行けるように。(こんな感じなので)中途半端と思われても仕方ないかなとも思います」

YouTubeへの配信を考えたのは、ちょうど1回めの試験に落ちたとき。

「1回め落ちたときから、競輪目指すならYouTubeやってる場合じゃないとも思うけど、やりたいことは全部やろうかな、と」

だが、YouTubeを生活の糧にしているわけではない。日頃は、テレフォンオペレーターや資材搬入などのアルバイトで暮らす。

「YouTuberとしてはまだ1円ももらえてないです。つい数週間前までは、(収益を得る必要条件の)チャンネル登録者数1000人、総再生時間4000時間に対して、1000人いってませんでしたし。

撮影のため、レンタルオフィスとかにお金を払っているくらいです(11月5日時点ではチャンネル登録者数2030人、総再生時間は本人曰く3000時間超)。ただ、お金を稼ぎたいというより好きだからやってます」

YouTuber1本でやるのは、「プロ野球選手になるくらい難しい」と正直な思いを口にするが、「楽しい」と話す大場さんの笑顔には、かつてYouTubeのCMで流れていた「好きなことで、生きていく」像が垣間見えた。

「今のままで、僕みたいな(チャンネル登録者数)数千人だと、正直月2000円にしかならないです。これでは生活できない。ただ、面白い。1カ月前までめっちゃ凝って作っても、再生回数が30回くらいだったのが、最近は500回台に。結果が出ると面白いですね。それでお金が出たら、なおいいけど(笑)」

おおばしょうた

1985年6月27日生まれ 東京都出身 八千代松陰高、東洋大を経て、2007年に6球団競合の末、ドラフト1位で福岡ソフトバンクホークスに入団。2015年、中日ドラゴンズに移籍。2016年シーズンに現役を引退した。プロ通算15勝21敗