東洋5位、現地で感じた課題

詳報で振り返る東洋大の全日本大学駅伝

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森尾 伊久美

TOYO Press Editor

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 3日に行われた第51回全日本大学対抗駅伝選手権(全日本、全日本駅伝)。東洋大は5位の結果で終わったが、4年生を中心に力強い走りを見せた。

 毎年、東洋大の学祭開催日と重なる全日本駅伝に、TOYO Pressは開催当日、現地で1人・東京(速報)で1人の計2人体制で臨んだ。東洋大の今後の課題とは何か。現地で取材したライターが感じたことを、時系列でまとめた。

(森尾伊久美=文・写真、相澤一朗=編集)

1区渡邉、復帰戦で役目果たす

1区・渡邉奏太

 昨年はけがで三大駅伝を走ることのできなかった1区・渡邉(経済4)は、今回が復帰戦。1キロ3分超のスローな展開だったが先頭を引っ張った。5キロでペースアップを仕掛けると、集団が縦長になり後方の選手と距離を広げた。

 ラストで城西大・荻久保にトップを譲るも、区間6位。トップが見える位置でタスキを繋ぎ、1区としての役目を十分に果たした。

ハイペース展開の2区、大澤に課題

 1区とは対照的に、2区は区間新が11人も出るハイペースな展開に。比較的距離が短くフラットなコースは、スピードランナーの2区・大澤(経済3)にぴったりの区間配置と言えた。10月の出雲のような好走が期待されたが、國學院大のエース・浦野に追いつかれると、ついていくことができなかった。

 箱根に向け距離に対応する力にまだ不足があり、今回は課題が浮き彫りになった。今年急成長を遂げた大澤はじきに「東洋大のエース」と呼ばれる存在になってくれると期待が高まる。

 3区相澤、11位から1位へ そして独走

 エースで主将の相澤(経済4)は11位でタスキを受け取ると、1キロ2分50秒を切るペースであっという間に先頭に立ち、40秒あった差を僅か6.4キロで巻き返し、後続にさらに39秒の差をつけた。

 10キロの通過タイムは27分47秒で、相澤の進路先である旭化成の村山紘太が持つ「日本記録」に迫る好走。他大学の選手が誰もついていくことができない世界レベルの走りと、主将の意地を見せつけた。11キロを30分38秒で通過し、最後の1.9キロを2’51”-2’23”で刻んだ。残り3キロ地点では酒井監督から「休むな!休むな!」と声を掛けられ、そのスピードは終始落ちることを知らなかった。

 4区今西、アップダウンこなす

 相澤からポンと背中を叩かれて走り出した4区・今西(経済4)。前半は少し抑え気味に入り後半に余力を備えると、得意のアップダウンを難なくこなし、後続の選手を寄せつけなかった。

 駅伝での今西は安心して見ていられるほど安定感がある。箱根では山下りで「人間じゃない」走りを見せ、有終の美を飾れるか。

 5区西山、けが影響か

 5区・西山(総情3)は序盤こそ快調なペースで走り5キロを14分10秒ほどで通過したが、後半で失速。9キロ過ぎで東海大・市村に首位を譲る展開になった。故障明けの出場となり、けがの影響がついていけなかった要因か。

 19秒差の2位で前田にタスキを繋いだ。ここからの練習で、箱根に調子を合わせてくれると信じている。

6区前田、苦いデビュー戦 

 6区の前田(経済1)はほろ苦いデビュー戦となった。序盤は突っ込み東海大との差を縮めるも、同じ1年生の順天堂大・西澤にかわされると、青学大・中村(友)、國學院大・中西(唯)にも前を譲る結果に。

 189cmと大柄で、高身長ランナーで有名な堀尾謙介(中大卒=トヨタ自動車)よりも6cm高い。大きなストライドを生かすには体づくりにまだ時間が必要だろう。「附属高校から選手を育成する時代」とも言われる昨今、東洋大牛久高校から内部進学の前田は好例となるか。東洋大の中核をなすであろう前田に、これからも注目したい。

鉄紺らしい走り、7区定方

 7区の定方(理工4)は序盤からハイペースで入り、「怯まず前へ」を体現する走りを見せた。5キロで國學院大・茂原の背後につくと、「前に行け」というジェスチャーを受けるが応じなかった。順天堂大・澤藤も捕らえて3位グループを形成すると、風除けには使われまいとまたたく間に差を広げた。

 青学大のエース・吉田(圭)と同タイムの区間2位。先頭と1分28秒あった差を25秒差まで詰め、優勝へ一縷の望みを繋いだ。箱根は往路での起用もあるかもしれない。

 父・兄も東洋大の出身。DNAに刻まれた「その1秒をけずりだ」す鉄紺スピリットで、最も東洋大らしい走りを見せてくれたのではないか。

8区宮下、左腕に書かれたスローガン

 8区の宮下(理工2)は、左腕に東洋大のスローガン「その1秒をけずりだせ」を書いてレースに臨んだ。前に追いつくしかない宮下は序盤から果敢に攻めるも、なかなか差が縮まらず苦しい展開に。

 駒沢大・山下に捕らえられ、ゴールを目前に東国大・ムセンビにもかわされた。他大学のエースとの実力差を見せつけられる結果になった。今までのエース達がそうであったように、出雲と全日本での悔しさをバネに、宮下が一皮剥けてエースに名乗りをあげてくれることに期待したい。

現地で感じた応援の「アツさ」の差。

 出雲では國學院大が初優勝、今回の全日本では初出場の東京国際大が東洋大を上回る4位と、近年の注目校が台頭している。また、黄金世代と呼ばれる4年生4人が出場しなかったにもかかわらず、下級生の実力で優勝した東海大とは、選手層の厚さに差を感じずにはいられない。

 優勝した東海大は出雲も全日本も、OBや在校生の応援が特にアツい。沿道にはもの凄い数ののぼりが立ち並び、スティックバルーンなど応援グッズを配布して大学一丸となって選手の背中を押している。吹奏楽も全国大会で3年連続金賞とハイレベルで、思わず立ち止まって聴き入ってしまうほどだった。

 伝統校も近年の注目校も「ミスなく繋ぐ」ことが優勝のカギとなる戦国駅伝時代だ。もはや、東洋大もシード圏内が当たり前とは言い切れない。MGCに出場した東洋大OB5名は全員優勝を知っている世代だが、今回活躍した相澤が、4年生が、優勝しないまま卒業することがあっていいのだろうか。チャンスはあと1回。箱根に向けて課題が明確になった今、残り2ヶ月間、準備が急がれる。


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