外来水草 捨てないで 繁殖力強い「ホテイアオイ」

フックを取り付けた長い棒を使い、ホテイアオイを水路から引き上げて駆除する上田さん=五島市平蔵町

 メダカなどの水槽に浮かべられる水草で、観賞用として販売されている「ホテイアオイ」。南米原産の外来種で繁殖力が強く、野外の水辺に放たれると一気に増殖し水面を覆い尽くす。五島市内でも時折、人が捨てたとみられる株が見つかっており、島の自然を調査している同市の五島自然環境ネットワーク代表、上田浩一さん(49)は「五島本来の生態系を壊し、生物の多様性を低下させる行為。絶対にやめてほしい」と訴えている。
 上田さんは3日、同市平蔵町の県道脇にある水路で繁殖していたホテイアオイ46株を駆除した。上田さんが20年以上前からトンボの観察などで訪れているこの水路で、今年8月には5株捨てられているのを初めて発見。一度、全て取り除いたが、10月末に再び見つけた。あらためて駆除した上田さんは、「自宅の水槽や池で増えすぎたものを捨てているのだろう」と嘆く。
 ホテイアオイは明治時代に観賞用として輸入された浮遊性の水草。国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に含まれ、日本では防除や遺棄予防など総合的な対策が必要な国の「総合対策外来種」に分類される。
 上田さんは、ホテイアオイが水面を覆って在来の水草を駆逐したり、水面下に太陽光が届かず水中生物がすみづらくなったりする可能性を指摘。市内ではホテイアオイが繁殖し、既に水面を覆い尽くしてしまった池なども複数あるという。上田さんは「五島市は『豊かな自然』を売りにしているのだから、環境や生態系の保全に積極的に取り組んでほしい。外来生物対策などに対応する部署も必要ではないか」と提言する。

水路で繁殖していたホテイアオイ=五島市平蔵町

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