“歌う語り部”発足15周年 被爆者合唱団 ひまわり

合唱の練習に励む「ひまわり」のメンバー=長崎市、県交通会館

 長崎原爆の被爆者でつくる合唱団「ひまわり」(田崎禎子会長)が今年、発足15周年を迎えた。10日に長崎市内で15周年記念コンサートを開き、24日は爆心地公園(松山町)でローマ法王フランシスコに歌を披露する予定。メンバーたちの練習が、一層熱を帯びている。
 10月29日、大黒町の県交通会館。ひまわりは毎週火曜日に同館の一室で練習している。団員たちが息のあった歌声を響かせると「ああ、いい感じ。今の感じ」。同市の音楽家でひまわりの主宰、寺井一通さん(70)から指導の声が飛んだ。
 ひまわりは2004年、寺井さんの呼び掛けで発足。「世界唯一の被爆者の合唱団」を掲げ、歌を通して核兵器廃絶と世界平和を訴え続けてきた。平均年齢は81歳。一時、最大で約50人の被爆者が所属していたが、病気や高齢などの理由で現在は約30人に減少している。
 記念コンサートでは計5曲を合唱し、寺井さん作詞作曲の新曲「ラストメッセージ」を初めて披露する。寺井さんは「15年間、ひまわりで生きてきた一人一人の団員を思いやって作った」と話す。ひまわりから次世代の若者に、「平和への思いを託す」という意味も込められているという。
 コンサートの2週間後には、ローマ法王フランシスコが長崎を訪問する。法王への合唱披露は、カトリック長崎大司教区の高見三明大司教の進言で実現したという。法王には、被爆の惨状を歌った「もう二度と」を披露する。
 高見大司教の姉で団員の一人、田川代枝子さん(86)は「パパさま(法王)の前で歌えることは15年の中でも一番の喜び。核兵器を世界からなくしてほしいという、ひまわりの願いを込めた歌を、パパさまに聴いてほしい」と願っている。
 15周年記念コンサートは、11月10日午後2時に同市本尾町の浦上天主堂で開演。入場料は2千円(中高生千円、小学生以下無料)。問い合わせはひまわり事務局の野元さん(電090.9608.0581)。

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