【プレミア12】なぜ稲葉監督は坂本を先発で起用し続けたのか そこにある思い「彼の復調は…」

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復調の兆しを見せた侍ジャパンの巨人・坂本勇人【写真:Getty Images】

打順は6番に下げたものの、4回の第2打席で侍ジャパン合流後14打席目で初安打

■日本 4-0 プエルトリコ(プレミア12・6日・台湾)

 6日に行われた「第2回 WBSCプレミア12」(テレビ朝日系列で放送)オープニングラウンド第2戦でプエルトリコに勝利し、スーパーラウンド進出を決めた野球日本代表「侍ジャパン」。4番の鈴木誠也外野手の3ラン、先発の高橋礼投手の6回1安打無失点の好投などでプエルトリコに4-0で完勝した。

 この試合で明るい材料となったのが「6番・遊撃」でスタメン出場し、2本の安打を放った坂本勇人内野手。日本シリーズ、沖縄でのカナダとの強化試合、そして前日のベネズエラ戦と不振に苦しんできたチームリーダーについに快音が響いた。

 待望の一打は4回に飛び出した。先頭で打席に入った坂本は、プエルトリコ先発の左腕ソトから左前安打。沖縄から侍ジャパンに合流してから14打席目で飛び出した初安打だった。さらに6回の第3打席でも左前安打を放ってマルチ安打とした。

 沖縄でのカナダとの強化試合でも8打席で無安打だった坂本。前日のベネズエラ戦も4打席無安打。12打席連続無安打となり、8回1死満塁のチャンスでは山田哲人内野手を代打に送られていた。それでも、稲葉監督は坂本をこの日もスタメンから外さなかった。6番に打順を下げたとはいえ。メンバー表には「SAKAMOTO」の名前を書き込んだ。

 坂本のスタメン起用に迷いはなかったか? 試合後の会見で問われた稲葉監督はこう答えた。

「今日の中で迷いはなかったです。打順を下げて少し楽なところで打たせたらどうだ、というのをまず考えました」

坂本の復調は不可欠「チームリーダーとしても期待」

 その理由の1つとして考えられるのが、相手の先発投手。プエルトリコの先発ソトは左投手で、しかもクロスステップ気味に踏み出し、スリークォーターで投げるタイプの投手だった。左打者の苦戦が予想される変則左腕で、この日のスタメンからも分かるように、指揮官は右打者を7人、打線に並べた。

 左打者で名を連ねたのは調子のいい近藤と、そしてただ1人、中堅を本職とする追加招集の丸の2人だけ。遊撃には源田壮亮という名手もいるが、左打者。対ソトというところでは、なかなか起用しづらいはずだった。

 そして、チームにとっての坂本の影響力の大きさもある。「当然、彼の復調というのがチームにとっても大きいと思いましたので、何かきっかけを作ってもらえないかという思いで、今日も彼をスタメンで使いました」。プレミア12の優勝を勝ち取るには、チームリーダーとしても期待する坂本の復調は不可欠。なんとしても復調へのキッカケを掴んで貰いたい、という指揮官としての思いがあった。

 試合前の打撃練習では、指揮官自ら坂本にアドバイスを送った。「フォームを固めたい、しっかり打ちたいという気持ちが強すぎて、左足を上げた時に左足が固い気がした。『もう少し柔らかく使ったらどうだ』という話をしました」。この助言に応えるかのように早速、2本の安打を放った坂本。スーパーラウンド進出を決めた侍ジャパンにとって、この2本の安打は大きな意味を持つものになるかもしれない。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)