フォルクスワーゲン 自動運転の市場導入に向けて子会社を設立 第一ステップは都市部のMaaSとTaaSの導入を目指す

フォルクスワーゲンAGは、10月28日、Volkswagen Autonomy GmbH(フォルクスワーゲン オートノミーGmbH)(以下「VWAT」)を設立したことを発表した。レベル4以上の自動運転システムのセンター・オブ・エクセレンス(最先端技術研究所)として設立するVWATは、グループ内に蓄積されたノウハウを集約して、自動運転システムの市場導入を目指す。

本社は、ミュンヘンとウォルフスブルグに設置する。2020年には、子会社をシリコンバレーに設立し、2021年には、中国にも子会社を設立することを計画している。この新会社の責任者には、フォルクスワーゲン・グループ自動運転担当上級副社長であり、フォルクスワーゲン商用車ブランド(VWCV)において技術開発担当取締役を務めるアレクサンダー・ヒッツィンガー氏が就任する。

ハノーバーに本社を置くVWCVは、MaaSおよびTaaS(Transport-as-a- Service)の自動運転技術において、グループ全体を主導する役割を担っている。

VWATが導入を目指す最初のSDSは、都市部における人とモノのモビリティ・ソリューション。フォルクスワーゲン・グループは、2019年7月に、自動運転の分野でフォードと協力することを発表した。この協力関係には、自動運転のソフトウェア開発に特化したARGO AIへの出資が含まれる。したがって、ARGO AIとVWATは、自動運転システムの実現に向けて協力していく予定だ。

VWATによる自動運転システム開発にあたっては、システム・エンジニアリングと工業化に大きな焦点を当てる。その目標は、将来的にすべてのグループ ブランドに活用してもらえる標準モジュールのSDSを開発することだ。

最初の運用ケースは、商業分野で計画している。フォルクスワーゲン商用車ブランドは、グループ内でMaaSおよびTaaSを主導するブランドとして、ロボ・タクシーやロボ・バンといったSPV(Special Purpose Vehicles)を開発・生産する。VWATは、顧客としてのフォルクスワーゲン商用車ブランドと「Co-Creation」という形態により、これらのシステムを共同開発する。フォルクスワーゲンの小型商用車ブランドには、VWATの自動運転システムを最初に応用搭載する予定だ。

2019年年末までには、現在フォルクスワーゲン・グループ研究部門に属している自動運転チームが、VWATに配属される。

ミュンヘンが選択された理由は、グループ企業のAutonomous Intelligent Driving GmbH(AID)がすでに本社を構えているためだ。同時に、この拠点はARGO AIのヨーロッパ本社としても機能することになる。

シリコンバレーが選択された理由は、ARGO AIの拠点があることに加え、自動運転に関する世界有数の人材が集まっていること。また、自動運転システムのさらなる開発に有利な条件をもたらす法律が制定されていることも理由である。

中国のSDS開発拠点は、現地の法的要件に準拠するために必要だ。中国は、フォルクスワーゲングループ最大の市場として特に重要な役割を果たす。また、交通環境が複雑であることも理由となっている。

VWATは、システムの開発、確認、検証に関する作業に加えて、フォルクスワーゲン・グループ内のレベル4以上の自動運転システムに関するあらゆる活動を統括することになる。

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