《論説》民生委員・児童委員 理解を求め担い手確保へ

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地域の福祉を支える民生委員・児童委員の担い手の確保が難しい状況となっている。12月1日に全国一斉の改選が行われるが、いまのところ県全体の定員を満たすことは困難な見通しだ。

大規模災害が相次ぐ近年は、民生委員・児童委員が災害時に自力での避難が困難な高齢者や障害のある人の把握などの役割も担い、その役割の重要性はますます高まっている。

担い手を確保できなければ、支援を必要する人たちを十分に支えることが難しくなる。国や県、市町村は、同委員の職務内容や重要性を多くの人たちに理解してもらうことで担い手の確保に手を尽くしてほしい。

民生委員・児童委員は非常勤の地方公務員。担当区域で1人暮らしの高齢者や障害のある人、家庭的に恵まれない子どもたちの見守りや安否確認などのほか、経済的に困窮する家庭や介護を必要とする人たちの相談に応じて、必要な支援が受けられるよう専門機関とのつなぎ役を担う。定年は原則75歳で、県は研修や交通費などの活動支援費として1人当たり年間5万9千円を支給している。

改選は3年ごとに行われるが、県内の充足率は過去2回の改選時にも、定員に届かない状況が続いている。

今回の改選では、県南地域での世帯数の増加や1人暮らしの高齢者の増加などで支援を必要とする家庭が増えているため、県全体の定員は30人増えて計5291人となる。

担い手の確保が困難な背景には時代の変化があるようだ。責任が重く、職務も多様になっていることに加え、企業などの定年年齢の引き上げによって高齢の現役世代が増えていることがある。

さらに高齢化社会を反映して親の介護があったり、共働き家庭が増加したりして民生委員・児童委員として活躍することができない人が増えているためだ。

担い手の確保が難しい時代に、長く委員を務めてもらうため、県は経験年数に応じた研修会を通して情報や知識を習得して職務が円滑に進むようにし、定員増で負担の軽減を図ろうとしている。

県民生委員児童委員協議会によると、職務も時代の変遷に伴って変化しているという。かつては生活困窮者の生活保護受給申請の相談に乗ることが主な仕事だったが、高齢化が進むに従い、1人暮らしの高齢者の生活支援が増えてきた。

さらに大規模災害が相次ぐ中で避難困難者の把握など職務内容も多様化し、複雑になっている。こうした中で担い手を確保していくためには「若いうちから福祉に関心を持ってもらうことが一番大事」と指摘。「民生委員自身も活動の喜びを伝えることが必要」と語る。

高齢化が進み、貧困も拡大する中で、地域の福祉を支える民生委員・児童委員の役割はますます重要性を増していると言えよう。

県は「誰もが取り残されない社会にするために有意義な仕事。皆さんに知ってもらい、積極的に担い手になってほしい」と呼び掛ける。

市民の善意に頼る民生委員・児童委員は地域づくりにも大切な役割を果たしている。その役割の重要性を多くの人に理解してもらうことで担い手を確保して、地域福祉の充実を図っていきたい。