FPがオススメする、子どもと読みたい「お金と仕事を考える本3選」

人生100年時代、この言葉が当たり前のように使われています。今を生きる子どもたちは私たち親よりも長い年月を生きていかなければなりません。しかし、長い人生にはお金はつきものです。

子どもにはお金について早くから触れさせたいと思っていても、何から始めればいいのかわからないことも多いものです。

お金やお金を稼ぐことを考えるきっかけを作ってくれるのが本です。おこづかいを始めていない家庭も、すでに始めている家庭も、本を通して子どもとお金について考えてみてはいかがでしょうか。

読み聞かせで子どもたちに好評だった絵本や、私が影響を受けた本などを紹介します。


お金があればほんとうに幸せかを考える

お金は欲しいものを手に入れることができます。では、お金があればしあわせになれるでしょうか。小学生のうちは、お金やお金持ちという言葉に何か特別な想いや期待感を抱いているものです。また、興味を持つ関心事でもあります。

小学生では、お金の勘定よりも、お金のやり取りや管理をするうえで、嬉しい、みじめ、悲しいなどの経験をとおして、「心を育てる」ことをおすすめします。また、親にとっては、子どものお金に対する潜在意識や考え方を知ることもできます。

ともだちや
作:内田麟太郎 絵:降矢なな (偕成社)

約20年前に刊行された絵本。絵本作家として人気の内田麟太郎さんの作品です。可愛いキツネが印象的な絵は、降矢ななさんが手掛けています。
ともだちのいないキツネは1時間100円でともだちになるという可笑しな「ともだちや」をはじめます。そして、オオカミと遊ぶことになるのですが。結末は読んでのお楽しみです。

ともだちはお金では買えないよね。本当のともだちについて親子で考えることができる1冊です。読み聞かせをしていた当時で、子ども達からのリクエストでNO,1がこの「ともだちや」です。

絵本の対象年齢は、3歳くらいからでも理解ができますし、小学3年生くらいまで楽しく読める内容です。

歯みがきつくって億万長者
作:ジーン・メリル 訳:岡本さゆり 絵:平野恵理子 (偕成社)

外国のストーリーです。偕成社のサイトによるとこの「歯みがきつくって億万長者」はアメリカで20年以上読まれ続けているそうです。

主人公は、12歳の男の子ルーファス。この子が手作りの歯みがきを売り出すというストーリー展開です。そして、大人の助言を受けながらあっという間に億万長者になってしまいます。まさにアメリカンドリームのように思えてしまいますが、じつはどうなのでしょうか。ルーファスはお金持ちになりたいわけではなかったようです。

この本の対象年齢はルーファスと歳が近い11歳から12歳くらいからがちょうどよさそうです。そして、「やさしくわかる経済の話」とあるサブタイトルのように、楽しく経済のしくみについても学ぶことができると思います。

本当のお金持ちとは何かを考える

各家庭にそれぞれ教育方針があるように、親には子育てに対する哲学みたいなものがあるのではないかと思います。子どもには、モノの大切さやお金の尊さを知ってもらいたいものです。そして、ときには親にだって自分自身の人生や仕事について考える時間も必要です。

日本の家庭ではお金の話をオープンにしないところも多いようですが、小学高学年くらいから、少しずつ子どもに話していけるようになってほしいです。

12歳で100万円ためました!
作:キムソンヒ 訳:桑畑優香 絵:はまのゆか (株式会社インフォバーン)

これぞ「金銭教育の家庭版」だと太鼓判を押したいくらい、私が影響を受けた韓国の本です。お金の教育はもちろんなのですが、世間や周りに流されてぶれがちな親こそ読んでおきたい本だと思います。

主人公は、エダミという女の子。お金の大切さも、貧しいクラスメートのために自分の牛乳をあげるエダミの優しさ、ママの友だちが家に来た時にアイスコーヒーを1杯100円で売り、それに怒ったその友だちにママが言い放った子どもを信じる言葉、そして、親の仕事のことまで、様々な場面で考えさせられるストーリーになっています。

対象は小学4年生からおすすめですが、低学年なら親が読んであげてもいいと思います。新品の書籍は手に入らないので中古や図書館を利用してぜひ読んでみてください。

お金教育をやってきて本当によかったと思う理由

最後に、プラスアルファでもう1冊ご紹介します。

お金教育をはじめて15年が経った今だからこそ、お金教育を行って良かったと、その答えが見えてきました。自分と自分のお金(資産)を大切にすること、そのためには仕事についてきちんと向き合うことも理解してくれたと思っています。

お金教育をはじめた当時小学2年生の長女は現在社会人2年生に、長男は大学1年生になりました。さすがに月日の経過を実感しています。長女は大学を卒業する22歳で我が家でのお金教育も卒業しました。長男の成長は緩やかでしたが、振り返ってみると、大きな成長を遂げています。

学校の成績のように、数字で表せないのがお金教育の効果。でも、子育てと同じように、子どもの成長をお金教育からも感じることができます。だからこそ、家庭で、そして親がお金について子どもと向き合ってほしいと思っています。

12歳までにかならず教えたいお金のこと
作:たけやきみこ (かんき出版)

手前味噌で恐縮ですが、私が最初に手掛けたお金教育の本になります。この本は、親のいうことを素直に聞いてくれる12歳までを対象にお金教育についてお伝えしています。

おこづかいや携帯電話のことなど、親なら気になる事柄ばかりです。参考にしていただけると幸いです。本は中古での購入になります。また、図書館でも借りられると思います。

間もなく、クリスマス、そして、お年玉。子どもにとって、お金に関わることができる機会が多くなる季節に突入しますね。本をとおして、お金について、親子で話し合えるきっかけが生まれたら嬉しいです。肌寒くなってきた今、親子でブランケットをひざ掛けにして寄り添いながら本を読んでみるのもいいですね。

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