井上尚弥選手、死闘を制しWBSS優勝 ノニト・ドネア戦を振り返る【写真特集】

 異なる団体の世界王者ら8人で争う賞金トーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンダム級は昨年10月にスタートし、WBA・IBFの同級チャンピオン井上尚弥(いのうえ・なおや)選手は見事、優勝を果たした。決勝では5階級制覇チャンピオンでフィリピンの閃光(フィリピーノ・フラッシュ)の異名を持つノニト・ドネア選手と歴史に残る死闘を演じた。写真で決勝を振り返る。

1回、ノニト・ドネア(右)を攻める井上尚弥

 1回、静かな立ち上がりの中、パンチが徐々に交錯し始める。そのたびに会場のさいたまスーパーアリーナは大歓声に包まれた。

1回、ノニト・ドネア(左)を攻める井上尚弥

 2回、ノニト・ドネアの左フックが井上尚弥の顔面をとらえる。そして目の上をカット。試合後、井上尚弥は「2回から最後までぼやけていた」とその影響を認めた。威力抜群の左フックを最大の武器とするノニト・ドネアはその後もひるまず前に出て、カウンターを狙う。これまで早い回でのKO勝ちを続けていた井上尚弥にとって、試練ともいえる状況となった。

2回を終え、右目上から流血しコーナーに戻る井上尚弥

 ただ、それでも井上尚弥は、足を使いながらスピードを生かした攻撃を続け、ポイントを取る試合運び。お互いダメージを与えるパンチを放っても、ダウンには至らない。パンチをもらっても顔に一切出さずに戦い続けたノニト・ドネアの老獪ぶりが光った。

5回、ロープ際でノニト・ドネアを攻める井上尚弥
10回、ノニト・ドネア(左)を攻める井上尚弥

そして11回、井上尚弥のボディ・ショットがノニト・ドネアをとらえると、ついにダウンを奪う。

11回、ノニト・ドネア(手前)からダウンを奪った井上尚弥

観衆のほとんどが試合の終了を予感したシーンは、しかし、ノニト・ドネアが驚異のタフネスで立ち上がった。12回に入っても井上尚弥は猛攻を見せる。そこでもノニト・ドネアは威力ある反撃のパンチを見せ、勝負は判定となった。

12回を戦い終え、抱き合うノニト・ドネア(左)と井上尚弥

判定は3-0。その結果以上に両者が全力を出し切った試合だった。(文中敬称略、共同通信=川崎経大)

優勝し、トロフィーを掲げ雄たけびを上げる井上尚弥

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