1人7万円弱、結婚式の「招待客単価」が過去最高になったワケ

結婚情報誌「ゼクシィ」を発行するリクルートマーケティングパートナーズは、毎年恒例となっている「結婚トレンド調査」の2019年版を発表しました。これによると、結婚式に呼ぶ招待客の数が減る一方、招待客1人あたりの挙式・披露宴の費用は5年連続で過去最高を更新していることが判明しました。

新郎新婦の結婚式に対する考え方に、どのような変化があるのでしょうか。最新の調査結果から探ります。


増加した費用はどこへ消えるのか

同調査は、2018年4月~2019年3月の間に結婚(挙式、披露宴、披露パーティ)、もしくは結婚予定があったゼクシィ読者5,147人から回答を得たもの。披露宴の招待客数は4年連続で減少していますが、披露宴の総額には大きな変化がありません。その結果、招待客1人あたりにかかる費用が6.8万円と、2009年の調査以来、過去最高を記録しています。

2014年の調査結果と比べて年間で1.3万円の増加となりますが、どのような内容にあてられているのでしょうか。大きく増加したのが「料理+飲み物」費用。2014年の調査と比べて、1.3万円上昇していることがわかります。また、引き物などによる「ギフト費」についても、5年間で5,000円の増加でした。

「料理+飲み物」と「ギフト」この2つの費用が増加している要因について、同社の広報担当者は「 参列者に最もダイレクトに感謝の気持ちを伝えられるからではないか」と分析します。

結婚式は「参列者に感謝の気持ちを伝える場」と思う割合は93.3%に上り、2013年以降、9割以上を推移。参列者を楽しませたいという思いから、新郎新婦自ら余興に参加するケースも多くなっているといいます。このことから「新郎新婦の参列者に対するおもてなし志向は、年々強まっていく」と、同社は予想しています。

両親もおもてなしの対象に?

また、披露宴・披露パーティを挙げた理由として「親・親族に感謝の気持ちを伝えるため」との回答が2013年以降7ポイント近く上昇。結婚式を「人生を振り返り、生き方を再認識する場」と考える人の割合が67.6%と増加傾向にあります。

両親の結婚式への関わり方にも変化があるようで、たとえば「子育て卒業証書授与」といった両親へ向けた演出が増加しているそうです。結婚式が「お披露目」の場から、これまでの人生でお世話になった人に感謝を伝え、「おもてなし」する場へと変化しているのかもしれません。

さらに最近の傾向として、「結婚式を参列者同士、あるいは両家同士の関係を築く基盤とする考えが増えつつある」と同社の担当者は話します。実際、「結婚式以降、親やゲストとの関係性がさらに深まった」と89%が回答。「結婚式以降、参列者同士で集まる機会があった」と回答した人が71%にのぼります。

では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。

「父親同士のファーストバイト」も

その1つが、席次表に1人ひとりのプライベート紹介文を記載すること。「この取り組みを実施するカップルが非常に増えている」と、ゼクシィ首都圏版の平山彩子編集長は言います。初対面同士であるゲストの会話のきっかけになるとして、非常に支持される取り組みの1つです。

このほかにも、通常は新郎新婦のみの「ファーストバイト」を、参列者全員が隣同士のゲストとするなどの演出が挙げられます。中には、両家の関係性を築くきっかけとして「父親同士のファーストバイト」を行うケースもあるようです。

平山編集長は「リアルな場での集いが貴重となっていく2020年以降、このような考え方は増加していくだろう」と予想しています。

「結婚こそが幸せ」と考えられていた昔とは違い、結婚が1つの「選択肢」と捉えられている現代。生き方の多様化に合わせて、結婚式の考え方も変わりつつあるのかもしれません。

<文:川高元輝>

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