女子日本代表、アジア杯連覇へ 125キロ右腕、ハム吉田輝と対戦経験ある選手も

6日の練習試合に先発したマドンナジャパン・小野寺佳奈【写真:武山智史】

「デジタルチャレンジ」を経てU-18の名だたる選手が集結

 11月9日から中国・広東省で始まる「BFA女子野球アジアカップ」。2回目を迎える今大会で女子野球日本代表(マドンナジャパン)は連覇を狙う。

 昨年8月、女子野球W杯(米フロリダ州)を制し、大会6連覇を達成したマドンナジャパン。トップチームはもちろんのこと、全世代の成長・発展は永遠の課題だ。W杯の激闘から約1年3か月、次に迎えた国際試合は「第2回 BFA女子野球アジアカップ」。2017年に香港で行われた第1回大会で日本は5戦全勝で優勝を飾っている。ただ勝つだけではなく、大会に参加していたインドやパキスタンの選手たちとともに練習やミニ野球教室を行い、選手同士の交流と同時に日本がアジア球界の発展に寄与する一面もあった。

 そして、連覇を狙う今年は前回大会でコーチとして参加していた長野恵利子氏(福知山成美・女子野球部監督)を指揮官に据えた。第2回アジアカップにはU18の選手で臨むこともあり、多くの選手に挑戦の機会を与えたいという想いからプレー動画を参考に選手を選考する「デジタルチャレンジ」を実施。その後の最終選考を経て20人の選手が決定し、その中には春の選抜で女子高校野球歴代最速の125キロを計測した右腕・小野寺佳奈投手(クラーク記念国際仙台キャンパス・2年)や、秋田出身で中学時代は吉田輝星投手(日本ハム)と対戦経験がある工藤里菜内野手(神戸弘陵・3年)など名だたる選手が顔を揃えた。

 9月の出場選手決定後は日本各地で代表合宿を行い、長野監督は代表選手としての心構えや試合の中で目指す形などを時間をかけてチームに浸透させていった。

大会直前最後の試合では敗戦もプラスに

 6日には立川市民球場で尚美学園大連合チームとの試合が行われた。マドンナジャパンは初回、1死三塁から小櫃莉央内野手(花咲徳栄高3年)の犠飛で幸先の良いスタートを切る。この日の先発、小野寺は三塁打を浴びた後、味方のミスで失点するも3回1失点でまとめた。1-1で迎えた6回、3番手・北澤神楽投手(埼玉栄・2年)の制球が定まらず、2死球を与え、その後は内野ゴロの間に1失点。1点ビハインドのまま最終回も反撃及ばず、惜しい敗戦となった。

 試合後、長野監督は「(選手たちは)試合の流れを掴むことができなかった」と振り返ったが、今回の敗戦をプラスに捉えており、新たな課題の発見にさらに気を引き締めていた。マドンナジャパンは一夜明けた7日に羽田空港から決戦の地・中国へ入った。

 今回のアジアカップでは日本のほかに韓国や台湾、中国、香港、フィリピン、インド、パキスタンの8の国と地域が参加し、マドンナジャパンは中国、インド、パキスタンとともにAグループを戦う。今大会の上位4チームに来年開催予定の「第9回女子野球W杯」の出場権が与えられる。今回のU18世代の活躍がはこれからのトップチームにも繋がる。マドンナジャパンは9日のインド戦が大会初戦。場所は中国・広東省、中山にある熊猫記念球場だ。大会連覇と同時に、女子野球界全体の発展を目指す試合が始まる。(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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