長崎市で被爆75周年記念の11事業発表 慰霊盆踊り、爆心地でアート

 長崎市は8日、市内に活動拠点のある団体を対象に6~8月にかけて公募した「被爆75周年記念事業」の選定結果を発表した。10年ぶりの復活となる原爆犠牲者を慰霊する盆踊り大会事業や、芸術家による爆心地公園の地表を使ったアート事業など11件が選ばれた。
 22件の応募から、学識者らでつくる選定審査会が書類やプレゼンテーションを通して選んだ。選ばれた事業には、事業費の4分の3(上限額100万円)を市が補助する。いずれも2020年度中に実施される。
 選定事業のうち、原爆犠牲者を慰霊し、被爆からの復興に感謝する3千人規模の「長崎平和盆踊り大会」は、8月9日前後に市営陸上競技場(松山町)で開催される予定。企画した長崎民謡舞踊連盟によると、同競技場での慰霊盆踊り大会は2010年以来になるという。
 メキシコやドイツを拠点に活動する芸術家・竹田信平さんが、爆心地公園の地表にペンキで被爆者の声紋を描く事業も選定。来年7月の予定で、スマートフォンを声紋にかざすと被爆者の声が聞ける仕組みも計画中という。このほか、被爆証言を演劇で披露する事業や、被爆体験記出版事業などが選ばれた。
 8日、市役所で田上富久市長が選定団体に選定書を手渡した。選定団体を代表し、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長が「被爆の継承や一日も早い核廃絶のため、私たち選定団体は来年、一生懸命頑張る」と述べた。

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