「回答を誘導する可能性があるのではないか」-。神奈川県教育委員会が卒業を控えた県立高校の生徒に毎年実施しているアンケートの選択肢を巡り、8日の県議会特別委員会でこんな質問が投げ掛けられた。
異議を唱えたのは、立憲民主党・民権クラブの中村武人氏。県教委が毎年1月に県立高3年の生徒を対象に実施している「魅力と特色ある県立高校づくりについてのアンケート」で、設問への回答を五つの選択肢から一つ選ぶ方式だ。
例えば、「あなたが通っている高校に満足していますか」との設問。選択肢には(1)とても満足している(2)満足している(3)おおむね満足している(4)あまり満足していない(5)満足していない-が並び、5択のうち「満足している」との回答が三つを占める。
県教委によると、(1)~(3)を足した「満足した生徒の割合」は2014年度から18年度までの平均は8割超。県が取り組むべき政策をまとめた実施計画の指標にもなっており、県教委は22年度までに90%にする目標を掲げている。
「満足」「満足しない」の選択肢は同数が望ましい-。中村氏はこう指摘する国の研究機関が作成した資料を示し、「選択肢の内容が偏っていることで暗黙の圧力となり、回答を誘導してしまう可能性がある」と強調。「正確、客観的に調査しなければ、教育の実像がゆがんでしまう」と改善を求めた。
県教委は「11年ごろから現在の形で経年変化を見続けてきた。検討課題にさせてほしい」と答えるにとどめた。