キャッシュレス・消費者還元事業の要点まとめ これさえ覚えておけば買い物で損をしない方法

2019年10月1日からスタートしたキャッシュレス決済のポイント還元制度について、周囲の人たちとアレコレと話しています。そのときに思うのですが、みんな部分部分は理解しているけど、ゴチャゴチャになっているところも多いなということ。そこで制度を理解するために押さえておきたいポイントをわかりやすく解説してみたいと思います。

ちなみに、覚えてほしいのはたったの4つだけなので、サクッと読んでみてください。

[Point1]軽減税率について

今回の消費税増税に際して、軽減税率が導入されました。食料品などの特定商品が8%で、それ以外が10%の消費税がかかりますよというアレです。もっと言うと、本みりんはアルコールだから10%だけど、みりん風調味料はアルコールじゃなく食品扱いで8%というやつ。フードコートとか、新聞とか、「分かりにくい!」とニュースで批判されていましたから、覚えている人も多いのではないでしょうか。

でも、この軽減税率についてはキャッシュレスだろうが、現金だろうが、あらゆる商品の支払いにかかってくる消費税の税率です。つまり、ポイント還元とは何の関係もないということなので、それだけ押さえておいてください。還元じゃなく、税金として払う額が大きいか、小さいかというだけの話ですよ。

[Point2]キャッシュレス・消費者還元事業について

還元事業に登録した業者、いわゆる〝中小規模店〟で購入した場合、5%もしくは2%(※お店によって異なる)を現金やポイントなどの何らかの形でキャッシュバックするという制度です。ただし、軽減税率とは違って支払いはお店が用意しているキャッシュレス(※スマホ決済やクレカなど)でないといけません。そして、別に食品でなくても、制度の対象となるお店で買ったものが還元の対象になります(※対象外の商品あり)。ただ、制度に登録できる業者には条件があって、西友やイトーヨーカドー、イオンのように全国展開しているような大手企業で買い物をしても還元されません。ちょっと分かりにくいかもしれないので、以下に要点をまとめてみます。

(1)還元事業の登録企業で買い物した場合、購入額の5%もしくは2%のキャッシュバックを受けられる

(2)還元を受けるためには、対象店が用意したキャッシュレス決済での支払いが必須

(3)キャッシュバックは即時還元の場合もあれば、後日のポイント付与もあるなど、お店で異なる

(4)軽減税率とは関係ないので、対象店で買えば食品じゃなくても還元される

(5)どこでも還元されるわけではなく、いわゆる〝中小規模店〟が対象

ちなみに、5%還元はココとか、2%還元はココとか、細かく覚える必要はありません。お店にポイント還元事業のシールが貼ってあるし、アプリでも対象店は探せるので、自分の活動圏内にある還元対象店と、そこがどんなキャッシュレス支払いに対応しているかだけ覚えておけばOK。あと、よく利用するであろうコンビニ(2%還元)も還元されるけど、大手スーパーとか牛丼チェーンは還元されないということくらいでしょうか。

[Point3]消費者還元事業に乗っかったキャッシュレス業者のキャンペーン

ポイント還元の同制度はキャッシュレス決済が必須なので、新規ユーザー獲得のために、還元事業のスタートに合わせて多くのキャッシュレス決済企業が独自のキャンペーンを開催しました。ちなみにそのキャンペーンのほとんどが「●%還元」というものだったので、消費者はポイント還元事業なのか、キャッシュレス決済サービスのキャンペーンなのか、把握できない人が多かったのではないでしょうか。

ちなみにPayPayの「まちかどペイペイ」(10月1日~11月30日開催)なんて、ポイント還元事業の「5%(ないし2%)」に、自分のところが「最大5%」のキャッシュバックを乗せて、合計で「最大10%還元」なんてしてましたし。キャッシュレス・ポイント還元とPayPayの還元がごっちゃになって、混同してしまうこと間違いなしでした。というか、〝10%〟をさも自分の手柄のように見せるかのような告知方法に、思わず「こういうところがなあ……」と思わされました。

まあ、これらのキャンペーンはポイント還元事業のキャッシュバックと併用できることも多いので、理解できなくても開催していたら利用するに越したことはありません。ただ、還元事業は来年6月30日まで行われますが、キャッシュレス決済サービス独自のキャンペーンはそれより短い期間がほとんどのため、その独自キャンペーン込みの還元率だと思ってバカ買いしたら期間が終わっていたなんてこともあります。なので、これらのキャンペーンとキャッシュレス・消費者還元事業は同じものじゃないことは覚えておいてください。

[Point4]キャッシュレスサービス独自のキャッシュバック還元

キャッシュレス決済サービスの多くは、ポイント還元事業とは関係なく、自社で利用したあらゆる支払い金額についてポイント還元を行っています(※一部、対象外の商品あり)。こちらは基本的に「0.5%」がスタンダードだと思います(※期間限定キャンペーンが適用される場合はそちらが優先になることが多いです)。あと、ベースは「0.5%」ですが、現金入金や提携のクレカの引き落としで還元率がアップして「1.5%」とかになったりします。メジャーなのはPayPayがヤフーカード、楽天Payが楽天カードからの入金や引き落としで、ともに還元率が「0.5%→1.5%」にアップします。

何が言いたいかというと、ポイント還元事業で「5%」とか「2%」とか、大きい還元率を耳にしていますね。そのつもりで大手スーパーなんかの非対象店で買い物をしたとき、たった0.5%しか還元されなかったら、ちょっと損した気分になりませんか。

例えば、筆者はつい最近、大手スーパーのライフでPayPay払いをしたのですが、「2618」円の買い物額に対して「39円」のポイント還元でした。「約1.5%」の還元なんですけど、「なんか少ねぇ」というのがぶっちゃけた感想。でも、PayPayは通常時の還元率が「最大1.5%」(PayPay残高もしくはヤフーカードの支払い時で最大還元率)なんで、間違っていないんですよね。だってライフは大手スーパーなんでポイント還元事業の対象店じゃないし、だからポイント還元事業の還元率に上乗せする「まちかどペイペイ」も適用されないわけで、PayPayの通常時の還元しか受けられないわけですから。もちろん現金で買うよりも得しているんですけど、なんだかな~とモヤモヤしました。

ということで、スマホ決済の基本還元率を表にまとめたので、こちらを参考にしてメジャーなキャッシュレス決済アプリの通常時の還元率についても押さえておきましょう。ポイント還元事業を理解するという観点からすると必ずというわけではないんですけど、意味なく残念な気分にならないように一応ですね。

できるだけ理解しやすいようにキャッシュレス・消費者還元事業の要点をまとめてみました。これでもわかりにくいという人は、ぶっちゃけ[Point2]だけ押さえておくだけでも大丈夫です。

というか、もっと最低限ということであれば、前述したように「自分の活動圏(住所や勤務先など)にあるキャッシュレス・ポイント還元事業の対象店を調べる」→「その対象店で対応しているキャッシュレス決済を利用できるようにする」→「その対象店でキャッシュレス決済で支払う」の3つだけでもOK。ものぐさな人でも、これくらいならできるのではないでしょうか。

このポイント還元制度は2020年6月30日まで行われています。分からないからと投げず、各Pointを参考にして利用してみてください。(文◎百園雷太)

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