町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」 <第6回 森川暢哉さん(ロケーションマネジャー)>

町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」

<第6回 森川暢哉さん(ロケーションマネジャー)>

シンガー・ソングライターの町あかりが、テレビの裏側を支える「テレビの仕事人」から、あんな話やこんな話を聞いちゃう連載企画! 今回はテレビカメラマンの秋山勇人さんからのご紹介で、ロケーションマネジャーの森川暢哉さんにお話を伺いました。

<ロケーションマネージャーのお仕事って?>

── 私はロケーションマネジャーという職業名を、今回初めて聞きました! テレビのロケ撮影をマネージメントする…ということでしょうか? 森川さんのお仕事内容を教えてください。

「私は現在、三慶サービス株式会社という会社でバラエティー番組のロケーション撮影(テレビ局などのスタジオ以外での撮影)に携わっています。ロケ撮影に必要な許可を取ったり、スタッフ、タレントさんや機材を移動させるための車両、撮影で使用する物や、お弁当などの手配もやります」

── お弁当の手配まで! ロケに関する“なんでも屋さん”なのですね。撮影の準備はどのように進めるのですか?

「まずは番組の演出の方と『○○のような場所でこういうものを撮りたい』『そこにさらに肉付けできないか?』など、打ち合わせをします。それからお店や施設など、候補のロケ場所へ交渉に行きます。あと、街中や道路で撮影するために警察や行政の許可も取りに行きます。『こういったルートで撮影を行います』という資料を作成して提出するんです。よく撮影中に近隣の方や視聴者の方から『これは許可を取ってやってるの?』と言われることもあるんですよ。そういった場合にもきちんと説明できるようにしています」

── あれは毎回許可を取っているんですか! 考えたことなかったです…。「撮影で使用する物も準備する」とのことですが、具体的にはどんな物を用意するのですか?

「以前『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)のハワイでのロケで、映画『ランボー』に出てくるような古い型の銃を小道具として使う企画がありまして…。現地ではモデルガンというものがなかったため、本物の銃を取り寄せました(笑)。そういった道具の準備を行うこともあります。みんなが気持ちよくロケをできるように準備するのが、この仕事です」

<情報収集はインターネットを使わず、直接行く!>

── 予期せぬ出来事も多そうなロケ撮影ですが、印象的なエピソードを教えてください!

「大変だったのは、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の落とし穴ドッキリのロケですね。それまでは落とし穴ロケの前例がなかったので(笑)、ロケ場所も断られっぱなしでなかなか決まらなくて…。そんな中、東京ドイツ村(千葉県)の当時の副支配人の方が『とんねるず大好きです! ぜひやりましょう』と言ってくれて。しかし、芝の落とし穴も初めてなので、前日まで落とし穴が仕上がらなくて…。美術さんが試行錯誤して、1週間かけてなんとか完成したんです。それから名物企画になって、落とし穴作りもだんだんうまくなりました。東京ドイツ村が『落とし穴のメッカ』と呼ばれるようにもなったり(笑)」

── ひえー! 前代未聞の企画を成功させなきゃいけないなんて、ものすごいプレッシャー。お話を聞いてるだけで緊張してきます…。そしてロケ場所へと導いてくれた、とんねるずさんの存在はやはりすごい! ところで私は飲食店の紹介番組が好きなのですが、ロケ先のお店や施設の情報はどうやって収集しているのですか?

「インターネットで調べるだけ…というのが苦手なんです。必ずその場へ行ってみて、お店の方にも直接会って話すようにしています。ちなみに自分のルールとして、ロケ先の方が少しでも難色を示したら、無理に押さない。すぐに退くようにしています。一緒に楽しんでロケをやっていただけない場合、無理にやってもお互いにとって良くないんですよね。ちょっとでも引っかかりがあったら無理をしない!と、心がけています」

<「ありがとう」と思いながらやっています>

── なるほど! そういったマイ・ルールは大切ですね…。他にも、仕事の上で日々心がけていることや、森川さんならではの考え方などはありますか?

「最初の頃は、自分の思い通りにいかない…ということでイライラすることもあったんです。しかし5~6年前から『皆さんは専門分野の方なんだから、たくさん頼って助けてもらえばいいんだ』と考えるようになりました。それからは関わるすべての方に『ありがとうございます』と思いながらロケをしています」

「美術さんがテントを立てるのを総出で手伝ってくれたり、車両さんが素早く車両の整理をしてくれていたり。技術さんが『成功させないと森川が怒られる!』と言って、湖の真ん中にケーブルを通して撮影してくれたこともあるんです。感謝することばかりです。撮影に協力してくれるお店に対しても、昔は『テレビでロケをやって、宣伝してあげてる』と思っていたのですが、最近は常に『撮影させていただいてる』『本当にありがとう!』と思っています。自分一人だと何もできない。それこそ『みなさんのおかげ』なんですよ」

── なんてすてきな考え方! まるでお寺で若いお坊さんのお話を聞いているかのよう…。これはテレビのロケだけでなく、すべての仕事、いや、人間関係すべてに当てはまることですよね。こういう考え方ができるようになりたいなあ。大変勉強になりました。精進します…(思わず両手を合わせつつ)。この度は貴重なお話をありがとうございました!

ちなみに、森川さんは昨年3月まで放送されていた「とんねるずのみなさんのおかげでした」のほかにも、「さんまのお笑い向上委員会」の特番ロケ、「いただきハイジャンプ」「ダウンタウンなう」(すべてフジテレビ系)や「石橋貴明プレミアム」(AbemaTV)などの番組ロケに携わっているそうですよ。ぜひご覧くださいね。

さて、読者の皆さまから「テレビ番組のこんなことが知りたい」「こういう職業の人の話を聞いてみたい」というリクエストや感想も大募集しています。次回もどうぞお楽しみに!

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町あかり


シンガー・ソングライター。作詞・作曲、編曲、イラスト、衣装制作まで自身で行う。2017年ビクターエンタテインメントからメジャー3rdアルバム「EXPO町あかり」をリリース。現在、絵本&CD「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」が発売中。他の歌手への楽曲提供も行う。文鳥を溺愛中。

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