CASANOVA FISH「極上のメロディと鋭角サウンドで描写する蒼の追憶と夢の残像」

©有限会社ルーフトップ

音の隙間を爆音で埋めていた3ピース時代

──今はどれくらいの頻度で東京でライブをやっているんですか。

西牧:女子2人は東京に住んでて、僕らは長野に住んでるんですけど、東京は月に2、3本とか。ライブ自体は月に8本から10本くらいですかね。ギターの和花が今年の2月に入るまでは3人でバンドをやっていて、当時は僕も就職していたので土日しかライブをやれなかったんですよ。それでも6本くらいはやってましたけど。でも今は全員がフリーターになって、平日でもライブをやれるようになったんです。

──退路を断ってバンドに打ち込むことにしたと?

西牧:もはや背水の陣ですね(笑)。

──西牧さんと勝田さんが今も長野在住なのは、何かこだわりがあってのことなんですか。

西牧:まぁ、そこに生まれ育ったので(笑)。東京に移り住んだほうがもっとライブがしやすいのは分かってるんですけど、僕の肌には合わないし、東京に住むのは自分にとってハードルが高いことなんです。

──東京に住んでしまうと楽曲の作風が変わってしまう?

西牧:どうなんですかね。もし東京に生まれ育っていたら、今回の『FLASHBACK IN MY DREAM』はできなかったアルバムかもしれない。こういうストーリーはきっと生まれなかったと思います。

──CASANOVA FISHのオリジナル・メンバーは西牧さんだけなんですよね。

西牧:結成時のメンバーは僕しかいなくて、半年で自分以外のメンバーがやめたタイミングで史也さんと奎那と当時のギターが入ったんですけど、そのギターも3カ月くらいでやめて、それから2年くらい3人でやってました。和花とは1年以上前に出会ってはいたんだけど、すぐには入らなくて。

熊田:当時、私は別のバンドをやっていたので。CASANOVA FISHと出会ってちょっとしてからそのバンドが解散して、バンドをちゃんとやれていなかったんですけど、ふとしたタイミングで嵩大さんからCASANOVA FISHを一緒にやらないかと電話がかかってきて。

西牧:とあるライブハウスの店長に「キミはギターがヘタだからギターを入れたほうがいいよ」と言われたので電話しました(笑)。

──結成当初からメロディアスな楽曲を轟音で弾き倒すスタイルのバンドだったんですか。

西牧:いま僕はストラトキャスター、和花はジャズマスターを使ってるんですけど、結成当初は僕がレスポールを使っていたので曲調も雰囲気も全然違うバンドだったんです。初期メンバーが揃ってやめた段階で今のスタイルにガラッと変えました。

──ガラッと変えた時にストラトを使うようになったと。

西牧:その時はジャガーでした。カート・コバーンが好きだったので。カートはハムのジャガーだったけど、僕はシングルコイルのジャガーにして。ただ間違えて買っただけなんですけど(笑)。もっと言えば、テレキャスを買うつもりがジャガーを買ってしまって(笑)。

──3ピース時代は今と音楽性が微妙に違ったんですか。

西牧:今は当時の延長線上にはあると思うんですけど、やっぱり当時とはちょっと違うことをやってるように思いますね。ギターは自分一人で満足に弾けなかったし、結成当初も4人だったからギターが2本ある音楽をやりたかったし。3ピースのバンドももちろん格好いいと思うけど、自分のルーツ的な部分ではないんです。結局、ビートルズとかナンバーガールとか、4ピースのバンドが好きなんですよ。

──4ピースになったことで、西牧さんが歌に専念できるようにもなったのでは?

西牧:それよりも演奏が以前に増して楽しくなりましたね。できることが増えたので。

矢満田:たしかに演奏はすごく楽しくなりました。3人の時は音がスッカスカだなぁ…って感覚だったし。

勝田:そんなこと思ってたの!?(笑)

矢満田:スッカスカを異常に大きな音で埋め合わせるみたいな。そんな感覚がたまにあった。

西牧:今は逆に、音数が増えてちゃんと演奏をしなきゃいけなくなったんですよね。3人の時は雑な演奏でも良かったけど、今はごまかしが効かなくなった。自分が弾かなくていいところもあるけど、弾く時はちゃんと弾かなくちゃいけない。そんな感じでごまかしが効かないぶん、演奏の楽しさを知ったところはありますけどね。

──熊田さんがソロを弾く時は、西牧さんがしっかりとリズムを刻まなきゃいけないとか。

西牧:ギター・ソロの時はだいたいぶら下がってるんですよ。

──熊田さんの演奏に?

西牧:いや、ステージの上に吊ってある棒みたいなものに。

──ああ、物理的にぶら下がるんですか(笑)。

西牧:はい。一度、頭から落ちて死にかけたことがありました(笑)。

再録よりも新曲を書き下ろすことを選んだ

──今回発表される『FLASHBACK IN MY DREAM』は初の全国流通盤ということで、これまでの代表曲を再録する発想はなかったんですか。

西牧:最初はそう思ったんです。だけど周りのバンドが全国流通盤を出す時、よく自主制作盤のベストみたいになるじゃないですか。そういうのが個人的な意見として面白くないなと思って。それでレコーディングの1カ月前になって新曲を入れることに決めたんです。「深夜徘徊少年少女」、「今夜は私も眠れない」、「夢で逢えたら」、「少年と海」の4曲を。

──レーベル元はライブで盛り上がる定番曲を入れたいだろうし、反対されませんでした?

西牧:「大丈夫なの?」とは言われました。

熊田:私も同じことを言いました(笑)。

西牧:ライブで盛り上がる曲と同じくらいパワーのある曲をこのタイミングで作れなければ、この先だって作れないと思って。結果的に定番曲と同じくらい武器になる曲ができて良かったです。

勝田:多少不安ではありましたけど、彼の作る曲はどれもいいので。

矢満田:ただ急に新曲をやりたいと言うので、けっこう話し合いもしましたね。今までやってきて初めてちゃんと全員でアレンジを詰めたし。それまでは弾き語りで持ってきたのと同じコードを弾いてたんですけど、今回は全員がかなり細かいところまで曲作りに参加できたんです。だから結果的に4人とも満足できたアルバムになりました。

西牧:レコーディングの前夜までずっとアレンジを詰めましたからね。

──デモの段階からガラッと変わった曲もあるんですか。

矢満田:「夢で逢えたら」は全然違ったよね。

西牧:うん。イントロのフレーズが最初は全然違ったし。CASANOVA FISHは銀杏BOYZとナンバーガールが好きそうなバンドだと周りから思われがちだったと思うんですよ。もちろん好きではあるんだけど、僕のルーツはそこじゃなくて浜田省吾さんなんです。新たに書き下ろした4曲は浜田省吾さんみたいな曲にしたかったと言うとおこがましいですが、一度自分のルーツに返ってみたかった。それこそが店頭に並んでほしい自分の音源だったので。

──その4曲が浜田省吾さんらしいというのがいまいちピンと来ませんけど(笑)。

西牧:僕なりにポイントがあるんです。コード進行やサウンド的にも今までとは違うし。

熊田:たしかに前の音源と聴き比べたら差があるとは思います。

西牧:今回の音源を作ったことで、バンドとしてはすごく前へ進めたと思いますね。

──以前にも「海まで」という曲があったり、今回のアルバムにも「少年と海」や「ブルーブルーブルー」という海をテーマにした曲がありますが、ここまで海に固執するのはなぜなんでしょう。

西牧:この話をすると長くなりますよ?(笑) 簡潔に言いますと、自分にとって海へ行くことは大変なイベントなんです。長野には海がないし、行くなら上越や神奈川のほうまで行くしかないんですよ。以前、とある女の子と一緒に車で江の島へ行ったことがあって、それが僕の中ではとても大きな出来事で、今回のアルバムに入れた7曲はその出来事に端を発したものなんです。だから自分の中ではコンセプト・アルバムでもあるんですよ。いろんな思い出が夢の中でフラッシュバックするっていう。

──アルバム・ジャケットには浜辺に長野の特産であるリンゴがドーンと写っていますが、これもコンセプトの一環なんですね。

西牧:はい。長野県民が海へ行った物語なので。

熊田:そのリンゴも長野のブランド〈ふじ〉で、品種までちゃんとこだわってるんです(笑)。

──「深夜徘徊少年少女」のMVも朝陽が昇る夜明けの海岸で撮影されていましたね。

西牧:あれは江の島ではなく、三浦市の剱埼灯台の近くで撮りました。

──MVを制作するくらいだから「深夜徘徊少年少女」は本作でも一押しの曲なわけですよね。〈抱きしめて 抱きしめてほしいのさ〉というサビのメロディとコーラスが流麗で、一度聴いたら忘れられない曲ですし。

西牧:何と言うか、自分にとってもあって良かったと思える曲です。

矢満田:最初に聴いた時、全員が「これだ!」と思ったよね。

熊田:加入前からCASANOVA FISHの曲はすごく好きで、対バンした時にもらった音源以外の曲もすぐに唄えてすごくキャッチーだなと思っていたんです。歌詞も面白いし、メロディも覚えやすいし。「深夜徘徊少年少女」もCASANOVA FISHの持ち味がよく出た曲だと思います。

──歌詞を読むと現在進行形の順調な恋を唄ったようにも思えますが。

西牧:上手くは行ってないですよ。〈抱きしめたい〉ではなく〈抱きしめてほしい〉と唄う曲なので。実を言うと、新曲を書くぞと言っておきながらずっと曲ができなくて、「深夜徘徊少年少女」は4曲の中で最初にできた曲なんです。それからすぐに他の曲も書けたんですけど。

熊田:歌詞の通り、〈トンネルを抜け〉られたね(笑)。

西牧:曲作りのスランプは抜け出せたけど、失恋のトンネルはまだ抜け出せてないかも(笑)。

収録曲にはどれも英語のタイトルが付いている

──「今夜は私も眠れない」はビートルズからの影響が窺えるメロディアスなナンバーですね。

西牧:自分なりにビートルズっぽい曲をやりたかったんです。でもギター・サウンドはニルヴァーナみたいにしたかった。

熊田:最初はビートルズとニルヴァーナがケンカしてるみたいなイメージだったけど(笑)。

西牧:デモの段階では全部適当な英語で唄ってたんです。あとで英語と同じ発音に聞こえる日本語をはめていきました。

──「犬になりたい」も性急なビートと畳み掛けるようなサビに惹き込まれる、いかにもライブ映えしそうな一曲ですね。

西牧:「犬になりたい」もそうだけど、イントロからAメロ、Bメロとメチャクチャやってるのにサビで急にキャッチーになる曲がこれまでは多くて、それはたしかに僕ららしさなのかもしれない。

──「マイランドスケープ」は本作の中では珍しいミッドテンポの曲で、アコギが絶妙な隠し味となった繊細なアレンジは〈まだ大人にはなれないな〉と唄いつつもちょっと大人っぽい印象を受けますね。

西牧:僕が仕事を辞めるか辞めないかで悩んでいた時期の曲なんです。激しいタイプの曲もやってて楽しいんだけど、最近、自分としてはこういうミッドの曲のほうが好きなのかもしれないなと思って。

──「マイランドスケープ」と「少年と海」でアコギを弾いているのはどちらなんですか。

西牧:僕です。

──デモもアコギで作ることが多いんですか。

西牧:ちゃんとしたデモ的なものはないんです。当日スタジオに入って、「よし、曲を作ろう。Gで」みたいな感じなので。データを事前に送ったりもしますけど、メンバーにもインパクトを与えたいのでその場で聴かせてやり取りをするほうが面白い。みんなはいい迷惑だろうけど(笑)。

矢満田:でも実際、その場でみんなで一斉に作った曲のほうが残ってるような気がします。

勝田:曲作りは彼だけど、みんなけっこう自由にやってるんですよ。僕も最初は好きなように叩かせてもらって、それからみんなにああしてこうしてと言われて整えていくような感じですね。

西牧:ギターやベースと違ってドラムの詳しいことはよく分からないので、一度は任せるんです。

──ライブ同様、ドラムの音はアレンジを詰める段階から異常なデカさなんでしょうね。

熊田:ドラムがデカくないと、前の3人も音をデカくできませんからね。

西牧:ドラムがあってこそのCASANOVA FISHなんですよ(笑)。

──「夢で逢えたら」と「少年と海」は本作の支柱と言うべき名曲で、この2曲はとりわけ“FLASHBACK”感が強いように思えますね。

西牧:実は今回の収録曲にはどれも英語のタイトルが付いていて、「夢で逢えたら」は「FLASHBACK IN MY DREAM」なんです。タイトル曲みたいなものですね。

──ああ、やっぱり。音はけたたましいけど、曲調は文字通りドリーミーな雰囲気がありますしね。それぞれに英語のタイトルがあるということは、「犬になりたい」は「I WANNA BE YOUR DOG」ですか?

西牧:そうです。「今夜は私も眠れない」は「FROM YOU TO ME」なんですよ。

──「FROM ME TO YOU」ではなく(笑)。「深夜徘徊少年少女」は?

西牧:「BOYS AND GIRLS ON THE RUN」。悲しみから逃げてるんですね。「少年と海」は「THE BOY AND THE SEA」。ヘミングウェイの『老人と海』の原題が「THE OLD MAN AND THE SEA」だから、最初は「THE YOUNG MAN AND THE SEA」にしようと思ったんですけど。

──なぜ英題を付けようと思ったんですか。

西牧:浜田省吾さんに倣って(笑)。浜田省吾さんのアルバムの裏ジャケは曲タイトルの表記が英語なんです。尾崎豊さんのアルバムでもそういう表記があって、それに影響を受けた僕が今回はやりたいようにやらせてもらいました。

──「夢で逢えたら」は別れた恋人の幸せを願う曲ですが、やはり恋が終わった時期のほうが曲は生まれやすいものですか。

西牧:僕の場合、だいたいは恋が終わった後の曲ですね。幸せな時に曲ができることはほぼないです。

──恋に落ちた直後の昂揚感で曲ができたりは?

西牧:書いてみたいとは思いますけど、どうなるんでしょうね? 浜田省吾さんにもそういう曲はあるし、その手の曲に抵抗感は全くないし、ただ僕自身が不幸せな人間ってだけなんだと思いますけど。

ライブとスタジオ音源を意図的に差別化

──矢満田さんと熊田さんは西牧さんの書くラブソングの歌詞を率直なところどう捉えているんですか。

矢満田:ああ、失恋しちゃったんだなぁ…とか状況が分かりますね(笑)。そんなに分かりやすい歌詞じゃないと言うか、遠回しな表現や比喩があるのに何となく状況が分かるのはいいなと思うし、私自身は好きですね。ハッピーな歌詞を書いてきたら素直におめでとうって言いたいし(笑)。

熊田:私も男の子らしい歌詞でいいなと思うし、男の子ってこう感じるのかぁ…って思います。ノンフィクションみたいで気取ってない感じもいいし、いま彼女とはこういう感じなんだなというのが手に取るように分かりますね。

──メンバーにも筒抜けなわけですね(笑)。

西牧:嘘はあまりつけないので。

──10代最後の恋を唄った「少年と海」なんて、恋の古傷を自分からえぐりまくってますもんね(笑)。

熊田:人の経験なのになぜか自分にも重なる歌詞なんですよ。だからすごく共感できる。

──西牧さんは恋愛体質なんですかね?

矢満田:恋愛をしてなきゃダメってタイプではないよね。

西牧:うん。今回はたまたまずっと片思いをしていた人がいたっていうだけで。

矢満田:すごく一途なんだと思う。軽く好きになるんじゃなくて、のめり込んで愛してしまうタイプなんじゃないかな。

──「少年と海」と「ブルーブルーブルー」を打ち返す波の音でつなげるのは粋な演出ですね。

西牧:それも浜田省吾さんからの影響です(笑)。浜田省吾さんの曲にSEとして波の音を入れたのが何曲かあって好きだったので、今回は当然のように入れました。

──何かが始まる期待に胸が躍るようなメロディの「ブルーブルーブルー」は明朗快活でアルバムの締めに相応しいし、最後にまた波の音で終わる構成がニクいですね。

西牧:その波の音の後にもお楽しみがあるので、最後の最後までちゃんと聴いてほしいですね。

──全体的にとてもよく練られた構成だと思うし、アルバム一枚を通して一篇の物語として完結していますよね。

西牧:そうしたかったし、全体に流れを持たせたかったんです。今は配信全盛の時代だけど僕らはCDとして聴いてもらいたいので、7曲がすべてつながっているアルバムにしたかったんです。前作(『CENTER OF THE YOUTH』)も7曲の流れを気に留めて作りましたし。

──ここはぜひ聴いてほしいというポイントはありますか。

熊田:自分で考えてきたフレーズがいくつかある中で、「少年と海」のギター・ソロはぜひ聴いてほしいです。右から左へ音を振ってもらっているところは、私としてはカモメをイメージしながら弾いてみたんです。あと、みんなと出会った時にやってたバンドの曲のフレーズを加えたりして、自分の中で過去と現在をつなげてみたところもあるんです。

矢満田:そういう和花さんらしいギターが入ってるのもそうだし、「少年と海」は新しいことを詰め込めた曲なんです。CASANOVA FISHとしては初めてあそこまで綺麗なコーラスを入れてみたりもしたので。ライブとはまた違った音源ならではの良さがあると思います。

──たしかに荒くれた轟音爆音を容赦なく叩きつけるいつものライブに比べると、音源は全体的にだいぶおとなしく聴こえますね。

西牧:それは意図したことで、あえてライブとは違う音作りにしたんです。ライブはライブの面白さがある一方、音源はすごく綺麗な音にしたかったんですよ。

熊田:音源から入った人がライブに来た時に衝撃を覚えるのもいいんじゃないかと思って(笑)。

西牧:今後はもっとバラードを増やして、バラード・バンドと勘違いさせた後にライブで衝撃を与えたいですね(笑)。

──前作も今作もミニ・アルバムという体ですが、フル・アルバムを作るのはまだ早いと考えているんですか。

西牧:作らせてくれるなら作りたいですけどね。

──いつかフル・アルバムを作る時も再録より新曲を入れたい?

西牧:そうですね。漠然とフルを作るならと考えることがあるんですけど、新しいストーリー、新しい曲を作りたい気持ちが強いです。長野県民が海へ行った経験はもう使えないし(笑)、今後はもっとフィクション作りが上手くなりたいです。

CASANOVA FISHという名の海へ連れて行きたい

──今回のアルバム作りを終えて、ライブのアプローチに変化が出るようなことはありましたか。

西牧:落ち着くところが落ち着いたと言うか、ライブの流れに緩急をつけられるようになってきました。「夢で逢えたら」とか「今夜は私も眠れない」とかまだライブでやってない曲もあるし、それを今後やっていくのも楽しみです。

熊田:アルバムの曲はリリース前に頑張って抑えてやらないようにしてるんですけど、我慢できずにやっちゃってるのが何曲かありますね(笑)。

西牧:「マイランドスケープ」は最近全然やってないね。レコーディングした後に数回しかやってない。逆に「少年と海」はよくやってますけどね。

──アルバムはシェルターのレーベルからのリリースなのに、レコ発はなぜかシェルターではやっていただけないんですね。

矢満田:シェルターは自分たちが大好きだったバンドがライブをやってる場所という認識があるので、ライブをやるタイミングを大事にしたいんですよ。私たちはまだ自信満々でシェルターでライブをやれる状況じゃないし、いつかやれるなら満を持してやりたいですね。シェルターのレーベルからCDを出すからって、いつでもシェルターに出られるっていうのも甘えてるようでイヤだし。やるからには絶対にソールドアウトさせたいし、それくらいの自信とお客さんがつくように頑張るのが今だと思っています。

──なるほど。ちなみに現時点で持ち曲はどれくらいあるんですか。

熊田:私が入ってからライブでできるのはギリ20曲ないくらいだけど、3人時代や弾き語りを入れると50曲くらいあるんだっけ?

西牧:いや、結成当初から数えたらもっとあるね。

──レパートリーが20曲弱あるならワンマンをやれるのでは?

西牧:お客さんがいればできます(笑)。

──増やしていきましょうよ、せっかく全国流通盤も出ることだし。近い将来、バンドとして実現させたいのはどんなことですか。

西牧:もっともっといい曲を作って、いい演奏をするバンドになるのが目標と言うか、それは常にテーマとして考えてますね。

矢満田:私は目先のことよりも一番近いところから考えるので、こうして全国流通盤を出させていただけることになった以上、一人でも多くの人にアルバムを届けたい。今はそれしか考えられないです。

勝田:僕は地元の人にもっと知られたいですね。最初のアルバムも地元のCDショップではかなり宣伝をしてくれたんですけど、まだまだ知られていないので。

熊田:私は野外でライブをやってみたい。野外の大きいステージでやると気持ちいいと思うので、一度は体験してみたいです。あと、自分たちがいいと思う音楽に対していいと思ってくれる人が増えれば嬉しい。

──今さらなんですが、海に対する愛着と憧れがあるからバンド名をCASANOVA FISHにした、なんてことは…ありませんよね(笑)。

西牧:僕が浜田省吾さんと同じくらい好きな佐野元春さんの曲に「HEART BEAT(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド)」というのがあって、“CASANOVA”はそこからです。当時は意味が分からなかったけどいいワードだなと思って、あとで〈女たらし〉って意味を知ったんですけど。

──ということは、“FISH”は「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」から?

西牧:違うんです。当時、サカナクションとかSHISHAMOとか魚系のバンド名が多くて、“FISH”を付けたら売れるんじゃないかと思って(笑)。

熊田:それは初めて聞いた(笑)。

西牧:いや、やっぱり「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」から取ったことにしておこうかな(笑)。

──お世辞抜きで本当に良いアルバムが完成したことだし、今後ブリやスズキのように出世魚として成長することに期待しています。

西牧:今回はセカンド・アルバムだけど、この4人になってからのファースト・アルバムでもあるし、今のCASANOVA FISHの最初のアルバムとしてはすごくいいものができた自負があるんです。だから〈このトンネルを抜けて〉早くブレイクしたいですね(笑)。「ブルーブルーブルー」で僕が“Hey baby, I wanna take you seaside!”とシャウトしていますけど、みんなを連れて行きたいんですよ、海へ。CASANOVA FISHという名の海まで(笑)。