【島人の目】長洲未来の未来は?

 NHKテレビで昨年11月28日に行われたNHK杯フィギュアスケートを見た。米日系2世のミライ・ナガスさん(22)は5位。真剣に再挑戦に取り組むミライさんの姿に感動した瞬間だった。ミライさんの人生について触れてみたい。

 ミライさんに初めて会ったのは2010年の8月だった。ロサンゼルスのリトル東京のホテルで「長洲未来をソチ五輪に送り込むための基金募集」のキャンペーンに参加した。当時ロス近郊出身の日系人スケーターを皆で助け合い、五輪で頑張ってほしいとの趣旨に賛同した。早速8月23日の琉球新報に当時の二世ウイーク女王ラニ・ニシヤマさん(沖縄系4世、14年女王のトリー・レオンさんのいとこ)と一緒のミライさんの写真を記事にした。

 未来さんはカリフォルニア州ロス近郊のモンテベロ出身で1993年生まれ、両親はともに日本出身でロスですし屋を営んでいる。未来さんは米日両国籍の留保を維持、ミライ・ナガスと長洲未来の両方を使っているのもそのためだ。

 未来さんは2007年にジュニア世界選手権で2位、08年全米選手権で優勝、10年のバンクーバー五輪アメリカ代表で4位の経歴を持つ。14年のソチ五輪代表選出の段階で全米3位に入賞するも、4位の白人選手が2回も転倒したのに代表に選ばれ、人種差別だと騒がれたことがあった。

 しかし、米五輪選考委員会の決定は覆されることはなく、未来さんは涙をのむしかなかった。日系人の多くが落胆したのはいうまでもない。それでも未来さんは未来に挑み、18年の五輪優勝へ涙ぐましいほどの努力を続け、現在はオレゴン州に移り練習に励んでいる。

 浅田真央さんとよく似た過程を歩む。一時諦めかけたスケートに再び情熱を燃やし、浅田さんを友人・ライバルとして互いに将来を見詰め合っている。その将来は世界選手権よりも五輪の表彰台であることはいうまでもない。

(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)

© 株式会社琉球新報社